管理栄養士国家試験合格に向けてチャレンジする人を応援するブログ

独学で学習を進める人をはじめ、受験勉強中の悩みを解消するための情報をお伝えしていきます。

脂質の代謝についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
質問等ありましたら、コメント欄にお気軽にどうぞ

 


A.脂質の臓器菅輸送に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.カイロミクロンは、肝臓で合成されたトリアシルグリセロールを輸送する。
2.VLDLのコレステロール含有率は、LDLより大きい。
3.LDLのコレステロールの抹消細胞への取り込みは、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)が関与する。
4.抹消細胞のコレステロールのHDLへの取り込みは、リポたんぱく質リパーゼ(LPL)が関与する。
5.脂肪組織から血中に放出された脂肪酸は、アルブミンと結合して輸送される。

 

 

B.コレステロール代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.コレステロールはエネルギー源として利用される。
2.コレステロールは、甲状腺ホルモンの原料となる。
3.コレステロールの合成は、食事性コレステロールの影響を受けない。
4.胆汁酸は、腸内細菌により代謝される。
5.胆汁酸は、大部分が空腸で再吸収される。

 

 

C.脂質の栄養に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.脂肪酸の利用が高まると、ビタミンB1の必要量が増加する。
2.パルミチン酸は、必須脂肪酸である。
3.エイコサペンタエン酸(EPA)は、リノール酸から合成される。
4.エイコサノイドは、アラキドン酸から合成される。
5.α-リノレン酸は、n-6系脂肪酸である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答5

 

1.
カイロミクロンは、「小腸」で合成されたトリアシルグリセロールを輸送する。

 

脂質の消化順
①胆嚢から胆汁酸が分泌され、トリアシルグリセロールを乳化
膵臓からリパーゼが分泌され、モノアシルグリセロールと2つの脂肪酸に分解され、小腸内に取り込まれる
③モノアシルグリセロールは再度脂肪酸と結合し、トリアシルグリセロールになる。
④血液の中を移動するため、カイロミクロンの状態になる。

 

2.
VLDLのコレステロール含有率は、LDLより「小さい」。

 

VLDL(超低密度リポタンパク)
中性脂肪コレステロールを肝臓から筋肉や脂肪組織に運ぶ役割を持つリポタンパク質

LDL(低密度リポタンパク)
コレステロールが非常に多く、中性脂肪が少ないリポたんぱく質。肝臓で作ったコレステロールを善人に運ぶ役割を担う。

HDL(高密度リポタンパク)
たんぱく質の割合が多い。血液を巡りながら、全身の細胞で余ったコレステロールを回収して肝臓に運ぶ。

 

覚えるポイントは、
中性脂肪含有量 1位カイロミクロン 2位VLDL
粒子の大きさ カイロミクロン>VLDV>LDL>HDL
コレステロール含有量 1番多い LDL

という感じで良いと思う。


3.
「抹消細胞のコレステロールのHDLへの取り込み」は、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)が関与する。

 

少し意地悪な問題ですね。
覚える事が出来るのであれば、意味を掘り下げず、このまままるっと覚える方がいいよ。

<補足>
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、血中および組織の脂質代謝に関与し、レシチン脂肪酸コレステロール水酸基に転移させて、リゾレシチンコレステロールエステルを生成する酵素である。


4.
リポタンパク質中の脂質の脂肪組織への取り込み」は、リポたんぱく質リパーゼ(LPL)が関与する。

 

<リポ蛋白リパーゼ(LPL)>
肝臓以外の脂肪組織や筋肉などの毛細血管内皮細胞表面に存在し、トリグリセリド(TG)を遊離脂肪酸とグリセロールに分解する酵素


リポたんぱく質リパーゼは、血液中のリポたんぱく質(カイロミクロン・VLDL)により輸送されるトリアシルグリセロールを、グリセロールと脂肪酸に分解する働きがある。
分解により生じた脂肪酸は、脂肪組織に取り込まれ、脂肪組織内でトリアシルグリセロールとして貯蔵される。


5.正答
脂肪組織から血中に放出された脂肪酸は、アルブミンと結合して輸送される。

 

<遊離脂肪酸
血中に存在する脂肪酸のうち、コレステロールのようにエステルとなっていないものをさし、非エステル化脂肪酸ともいう。血液中ではほとんどが血清アルブミンと結合して運搬される。

 

 

B.正答4

 

1.
コレステロールはエネルギー源として「利用されない」。

 

コレステロールは全身の細胞膜の成分になります。
ホルモン(男性、女性ホルモン、ステロイドホルモンなど)やビタミンDの原料となります。
胆汁酸の原料となり、食事の脂質やビタミンの吸収を手助けします。
これらは生命の維持になくてはならない物質で、細胞の働きの調節や栄養素の吸収などに関わっています。
ただし、コレステロールはエネルギー源として使用されることはありません。

 

2.
コレステロールは、「ステロイドホルモン」の原料となる。

 

甲状腺ホルモンは、甲状腺の濾胞細胞(ろほうさいぼう)と呼ばれる場所でヨウ素を原料に作られます。
そして、濾胞細胞では、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)と呼ばれる2種類の甲状腺ホルモンが作られます。

 

3.
コレステロールの合成は、食事性コレステロールの影響を「受ける」。

 

人間の体内では、1日に1gから1.5gのコレステロールが合成されています。
通常、食物から摂っているのが0.3gから0.5gですから、食事由来のものの約3倍が体内で作られていることになります。
コレステロールを多く含む食品を食べると、通常の場合、体には調節機能があり、食物中のコレステロールが体内に取り込まれると肝臓でのコレステロールの生産が抑えられるのです。
体内におけるコレステロール量の調節には幾つかの仕組みがかかわっていて、動的恒常性(ホメオスタシス)が保たれています。

 

4.正答
胆汁酸は、腸内細菌により代謝される。

 

一次胆汁酸は、胆汁成分として小腸に分泌される。その後、一部の一次胆汁酸は、腸内細菌の作用を受け、二次胆汁酸へと代謝される。
腸内細菌は、回腸末端以降に存在すると考えられている。

回腸末端以降から胆汁酸は腸内から再吸収され、門脈を通して肝臓に戻る体循環をしています。実に分泌量の99%が再吸収されています。

 

5.
胆汁酸は、大部分が「回腸」で再吸収される。

 

 

C.正答4

 

1.
脂肪酸の利用が高まると、「ビタミンB2」の必要量が増加する。

 

P:F:C=B6:B2:B1

が関与します。

 

2.
パルミチン酸は、「非必須脂肪酸」である。

 

生体で生合成出来ない必須脂肪酸は、リノール酸とα-リノレン酸

 

3.
エイコサペンタエン酸(EPA)は、「α-リノレン酸」から合成される。

 

4.正答
エイコサノイドは、アラキドン酸から合成される。

 

エイコサノイド:アラキドン酸・ジホモγ-リノレン酸・エイコサペンタ塩酸など、炭素数20の多価不飽和脂肪酸から合成される生理活性物質

 

5.
α-リノレン酸は、「n-3系脂肪酸」である。

 

 


今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!