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行動科学の理論とモデルについての問題その1 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.児童の野菜摂取に関する記述である。オペラント条件づけに当てはまるものとして、正しいものを2つ。

 

1.先生に「野菜を食べましょう」と言われたので、食べた。
2.野菜を食べたら先生に褒められたので、次も食べた。
3.運動後おなかが空いたので、野菜も食べた。
4.友達が野菜を残したので、自分も食べなかった。
5.野菜を食べたが美味しくなかったので、食べなくなった。

 

 

B.特定保健指導の積極的支援の対象になり、節酒を行動目標とした男性である。初回面接1カ月後の支援時に、「酒の量は減らせたが、たまに飲み過ぎてしまいそうになる。」と話している。トランスセオレティカルモデルに基づく行動変容ステージにあった管理栄養士の対応である。正しいものを1つ。

 

1.お酒を減らせば、検査結果も改善する事を説明する。
2.悪化すると、家族にどのような影響を及ぼすかを、考えてもらう。
3.節酒が成功して、スリムになった自分の姿を想像してもらう。
4.節酒している事を、同僚に対して宣言してもらう。
5.節酒できている自分へのほうびを、考えてもらう。

 

 

C.「週3日休肝日にする」という行動目標を、1カ月継続している男性への管理栄養士の支援である。トランスセオレティカルモデルに基づいた支援として、正しいものを1つ。

 

1.行動目標について、家族に宣言するように勧める。
2.毎晩の飲酒を続ける事による健康へのリスクを説明する。
3.家に、アルコール飲料を置かない事を勧める。
4.休肝日を守る事のメリットとデメリットを、一緒に考える。
5.お酒のエネルギー量を、調べてみるように伝える。

 

 

D.運動部に所属する高校生で、行動変容ステージが無関心期(前熟考期)の者に対し、栄養サポートを行なう事になった。トランスセオレティカルモデルに基づいた支援内容である。正しいものを1つ。

 

1.食事内容の改善が、競技力向上に及ぼすメリットを考えさせる。
2.コンディションが悪くて負けた時の悔しさを想像させる。
3.食事内容の改善に取り組む事をチーム内で宣言させる。
4.練習量が多い日は、あらかじめ捕食を用意させる。
5.食事内容の改善に、家族の協力が得られるかを考えさせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答2と5

 

<オペラント条件付け>
オペラントはOperationに由来する言葉。
「ある行動をした結果、環境がどう変化したか、を経験することによって、環境に適応するような行動を学習すること」
「自分の意思で行動を起こした(自発行動)後、刺激の変化によって、その行動の頻度が変化すること」を指す。
この「刺激」には良い刺激(正の刺激)もあれば、悪い刺激(負の刺激)もある。
例えば、レバーを押せば餌が出る、という経験を繰り返すことで、自発的にレバーを押すようになる行動をオペラント条件付けという。


2.正答
野菜を食べたら先生に褒められたので、次も食べた。

 

野菜を食べた(自発的行動)→褒められた(正の刺激)により、野菜摂取が促進(行動の頻度が変化)されている。

 

5.正答
野菜を食べたが美味しくなかったので、食べなくなった。

 

野菜を食べた(自発的行動)→美味しくなかった(負の刺激)により、野菜摂取が抑制(行動の頻度が変化)されている。

 


B.正答5

 

<トランスセオレティカルモデル>
元々は禁煙指導のために開発されたモデルだが、食事・運動といった様々な健康に関する行動について用いられている。

行動変容は5つのステージに分けられる。
「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」
・無関心期(前熟考期)…6か月以内に行動を変えようと思っていない
・関心期(熟考期)…6か月以内に行動を変えようとしている。
・準備期…1か月以内に行動を変えようと思っている。
・実行期…行動を変えてから6か月未満
・維持期…行動を変えてから6か月以上

「無関心期」「関心期」については、考え方へのアプローチが主となる
「実行期」「維持期」については、行動へのアプローチが主となる

 

※前熟考期…行動変容について考えていない時期
無関心期の働きかけとしては
 『意識の高揚』
 『運動のメリットを知る』
 『感情的経験』
 『このままでは「まずい」と思う』
 『環境の再評価』
 『周りへの影響を考える』
などがあげられる。

 

正答5

5.節酒できている自分へのほうびを、考えてもらう。

 

この男性はトランスセオレティカルモデルの実行期に該当する。実行期から維持期への変容を促すため、行動変容が出来た場合に褒美を与える「強化マネジメント」の手法を用いる。

 


C.正答3

 

1.
行動目標について、家族に宣言するように勧める。

 

「自己解放」の例にあたり、「準備期」の対象者に対するアプローチとなる。

 

2.
毎晩の飲酒を続ける事による健康へのリスクを説明する。

 

リスク説明による「意識の高揚」による支援であるため、「無関心期(前熟考期)」の対象者に対するアプローチとなる。

 

3.正答
家に、アルコール飲料を置かない事を勧める。

 

この男性はトランスセオレティカルモデルの実行期に該当する。実行期から維持期への変容を促すため、「家にアルコール飲料を置く」という刺激を取り除き、行動変容を継続させる「刺激統制」の手法を用いる。

 

4.
休肝日を守る事のメリットとデメリットを、一緒に考える。

 

「意思決定バランス」による自己再評価であり、「関心期(熟考期)」におけるアプローチとなる。

 

5.
お酒のエネルギー量を、調べてみるように伝える。

 

「意識の高揚」であり、「無関心期(前熟考期)」や「関心期(熟考期)」に行われる支援となる。

 


D.正答2

 

1.
食事内容の改善が、競技力向上に及ぼすメリットを考えさせる。

 

行動変容によるメリットを考える「自己の再評価」であるため、関心期から準備期に変容する過程となる。

 

2.正答
コンディションが悪くて負けた時の悔しさを想像させる。

 

行動変容しなかった事でどのような気持ちになるかを考える「感情的経験」であるため、無関心期から関心期に変容する過程となる。

 

3.
食事内容の改善に取り組む事をチーム内で宣言させる。

 

行動変容を起こす事を決める「自己の解放」であるため、準備期から実行期に変容する過程となる。

 

4.
練習量が多い日は、あらかじめ捕食を用意させる。

 

行動変容の実践を用意にする刺激を設定する「刺激統制」であるため、実行期から維持期に変容する過程となる。

 

5.
食事内容の改善に、家族の協力が得られるかを考えさせる。

 

行動変容の実践を容易にする協力者を設定する「援助関係の利用」であるため、実行期から維持期に変容する過程となる。

 

 

今回は以上。

本日からは栄養教育論です。

理論の部分なので難しく思うかもしれないです(私もそうでした)。
これは出題する側も同じで、あまりねちっこい問題を出してしまうと、「解なし」となるので、結構シンプルなものにしかできないんですよね。
キーワードをしっかりと理解し、正答を選べるようにしていきましょう。


繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!