栄養の概念についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】
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A.栄養の定義、栄養と健康・疾患に関する記述である。正しいものを2つ。
1.栄養とは、生物が生命を維持するために摂取すべき物質のことをいう。
2.栄養素には、生体内において他の栄養素に変換されるものがある。
3.欠乏症は、潜在的な欠乏状態を経て生じる。
4.エネルギーの過剰摂取は、マラスムスを誘発する。
5.飽和脂肪酸の過剰摂取は、循環器疾患のリスクを下げる。
B.栄養学の歴史に関する記述である。正しいものを1つ。
1.リービッヒは、窒素定量法を確立した。
2.マッカラムは、エネルギー換算係数を提唱した。
3.フンクは、ビタミンKを発見した。
4.クレブスは、膵臓にリパーゼが存在する事を発見した。
5.鈴木梅太郎は、抗脚気因子を発見した。
C.遺伝子多型と倹約(節約)遺伝子に関する記述である。正しいものを2つ。
1.フェニルケトン尿症は、遺伝子多型によって発症する。
2.遺伝子多型の出現頻度には、人種差は存在しない。
3.倹約(節約)遺伝子とは、体脂肪の蓄積しやすい体質を生む遺伝子である。
4.倹約(節約)遺伝子仮説を唱えたのは、リネンである。
5.脱共役たんぱく質(UCP)遺伝子は、倹約(節約)遺伝子の候補である。
続いて回答と解説。
A.正解2かつ3
1.
「栄養素」とは、生物が生命を維持するために摂取すべき物質のことをいう。
栄養:生物が生存に必要な物質を摂取して生命を維持する営みの事
2.
正答
栄養素には、生体内において他の栄養素に変換されるものがある。
3.
正答
欠乏症は、潜在的な欠乏状態を経て生じる。
4.
「エネルギーの不足」は、マラスムスを誘発する。
マラスムス:エネルギー欠乏とたんぱく質摂取量減少により生じる栄養障害。体重減少がみられる。
クワシオルコル:たんぱく質欠乏(エネルギー摂取は比較的保たれる)により生じる栄養障害。脂肪肝・低アルブミン血症・浮腫などがみられる。
5.
飽和脂肪酸の過剰摂取は、循環器疾患のリスクを「上げる」。
飽和脂肪酸の摂取が血液中の総(LDL-)コレステロールの増加に働くこと、さらに血液中のコレステロールが非常に高い人では心筋梗塞等になりやすいとされる。
B.正解5
1.
「ケルダール」は、窒素定量法を確立した。
2.
「アトウォーター」は、エネルギー換算係数を提唱した。
3.
「ダム」は、ビタミンKを発見した。
4.
「ベルナール」は、膵臓にリパーゼが存在する事を発見した。
リービッヒ:有機化学の確立に貢献
マッカラム:ビタミンAを発見
フンク:ビタミンB1を発見
クレブス:クエン酸回路(別名TCA回路、クレブス回路)、尿素回路を発見
語呂合わせなどで一気に覚えていきましょう
C.正解3かつ5
1.
フェニルケトン尿症は、「単一遺伝子病」によって発症する。
同一遺伝子でみられる、わずかな相違を「遺伝子多型(いでんしたけい)」という。
ほとんどは、直接、表現型に病的な影響を及ぼす事はないが、この変異が特定の遺伝子の決定的な場所で起こると、フェニルケトン尿症などの単一遺伝子病が発症する。
フェニルケトン尿症:常染色体劣性遺伝病。フェニルアラニン(Phe)の代謝経路の障害によって引き起こされる疾患群は、先天性アミノ酸代謝異常症の一種である。
Pheは必須アミノ酸のひとつで、正常な蛋白合成を営むためには体外から摂取する必要がある。
<参照>
遺伝子多型(polymorphism)(単に多型ともいう)とは遺伝子を構成しているDNAの配列の個体差であり、集団の1%以上の頻度であるものと定義されることが多い。
同じDNAの配列の個体差でも変異(mutation)は例外的な変化で、それだけで大きな表現型(観察できる生物の性質のことで、設計図である遺伝型に対比する言葉)の変化や、病気(これも遺伝学では一種の表現型と考えられる)を起こす原因になっている。
頻度が1%以下のDNAの変化でもあまり表現型に影響を及ぼさないものは、まれな多型と言われることがある。
また頻度が1%以上でも頻度の多いタイプを野生型、少ないタイプの遺伝型を変異型と表現することもあり、変異と多型の定義には混乱がある。
<単一遺伝子病>
メンデルの法則によってほとんど説明が可能な一つの遺伝子の異常で病気が発生することを総称したもの。
こうした病気は、子供の代の遺伝子に変異が起こる突然変異による場合と親から病気の遺伝子を受け取ることで発症する場合とがある。
2.
遺伝子多型の出現頻度には、人種差は「存在する」。
欧米人に比べて日本人は酒で顔が赤くなりやすいとか、日本人は海藻を消化出来るが欧米人は出来ないとか。
3.
正答
倹約(節約)遺伝子とは、体脂肪の蓄積しやすい体質を生む遺伝子である。
倹約(節約)遺伝子:過去の飢餓時代に、少ない栄養を効率的に利用したり、体内にエネルギーを少しでも多く蓄えられるように進化してきた仮説遺伝子の事
4.
倹約(節約)遺伝子仮説を唱えたのは、「ジェームス・ニール」である。
リネン:β酸化によるアセチルCoAの生成等の機序を明らかにした。
5.
正答
脱共役たんぱく質(UCP)遺伝子は、倹約(節約)遺伝子の候補である。
脱共役たんぱく質:ミトコンドリアでの酸化的リン酸化によるATP合成の前にエネルギーを熱として放出するたんぱく質。
この遺伝子に変異が生じると、基礎代謝が1日あたり100㎉低くなるため、エネルギーを貯蔵する倹約遺伝子の1つと考えられている。
<倹約(節約)遺伝子の候補>
アドレナリンβ₃受容体変異
欧米人:10人に1人、日本人:3人に1人・・・この変異を持つ人は肥満や糖尿病になりやすい
脱共役たんぱく質1遺伝子変異
日本人:4人に1人・・・この変異を持つ人は基礎代謝が1日あたり100㎉低くなる
などがあげられます。
今回は以上。
今回から基礎栄養学に入ってます。
歴史については私も覚えるのを苦労しましたが、語呂合わせ等で一気に覚えていきましょう!
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
頑張っていきましょう!!