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免疫と生体防御についての問題 6問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.免疫に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.ヘルパーT細胞は、非特異的防御機構を担う。
2.形質細胞は、非特異的防御機構を担う。
3.ナチュラルキラー(NK)細胞は、特異的防御機構を担う。
4.B細胞は、細胞性免疫を担う。
5.抗原提示細胞は、細胞性免疫と体液性免疫を担う。

 


B.免疫と生体防御に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.好中球は、自然免疫を担っている。
2.ナチュラルキラー(NK)細胞は、特異的防御機構を担う。
3.Bリンパ球は、胸腺で成熟する。
4.Tリンパ球は、免疫グロブリンを産生する。
5.免疫グロブリンは、細胞性免疫を担っている。

 

 

C.免疫と生体防御に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.溶血性貧血は、Ⅲ型アレルギーの機序で起こる。
2.ツベルクリン反応は、Ⅱ型アレルギーの機序で起こる。
3.形質細胞は、液性免疫を担う。
4.IgAは、免疫グロブリンの中で最も血中濃度が高い。
5.IgGは、5量体である。

 

 

D.免疫グロブリンについての記述である。正しいものを1つ。

 

1.IgMは、胎盤を通過する。
2.IgAは、唾液中に含まれる。
3.IgGは、即時型アレルギー反応に関わる。
4.IgEは、肥満細胞から分泌される。
5.IgEは、免疫グロブリンの中で最も血液中濃度が高い。

 

 

E.免疫グロブリンに関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.1本のH鎖と1本のL線から構成される。
2.液性免疫を担当する。
3.血中に最も多く存在するのは、IgEである。
4.母乳中に最も多く存在するのは、IgMである。
5.IgAは、胎盤を通過する。

 

 

F.食物アレルギーに関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.発症にはIgMが関与する。
2.鶏卵は、乳児期に最も頻度の高い原因食物である。
3.Ⅲ型アレルギー反応に分類される。
4.食物経口負荷試験は、家庭で行う。
5.アナフィラキシーショックには、抗ヒスタミン薬が第一選択である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解5

 

1.
ヘルパーT細胞は、「特異的防御機構」を担う。

 

非特異的防御機構:抗原の種類に関わらず反応する防御機能。マクロファージ・好中球が関わる。

特異的防御機構 :ある特定の抗原のみに反応する防御機能。B細胞等、白血球が中心に関わる。

 

2.
形質細胞は、「特異的防御機構」を担う。

 

形質細胞:抗体を産生する事で、特定の異物(抗原)を攻撃する、特異的防御機構を担っている。B 細胞が抗原の刺激と T 細胞の補助を受けて増殖分化した最終形のもので、免疫グロブリンを生産する細胞のこと。

 

3.
ナチュラルキラー(NK)細胞は、「非特異的防御機構」を担う。

 

がん細胞やウイルス感染細胞を破壊する非特異的防御機構を担っています。

自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要である。
がんに特異的な免疫反応(獲得免疫)を示すのではなく、がんに非特異的な免疫反応である、いわゆる自然免疫を担っています。

 


4.
B細胞は、「体液性免疫」を担う。

 

細胞性免疫:抗原をリンパ球や食細胞などの働きにより攻撃する。細胞が直接働き抗原を排除する。

体液性免疫:B細胞が分化した形質細胞が産生する抗体により、抗原を攻撃する。体液中の抗体が働いて抗原を排除する。

 

この大元の部分・指示を出す役割を担っているのは「樹状細胞」


<参考 体液性免疫・細胞性免疫の仕組みの違い>
体液性免疫と細胞性免疫では,最初に抗原を認識する過程は共通。

 

抗原が体内に侵入すると「樹状細胞」が食作用により取り込んだ抗原の情報を細胞表面に提示(抗原提示)

抗原提示を受けた「ヘルパーT細胞」が活性化して増殖

ここから体液性免疫と細胞性免疫それぞれに作用します。


体液性免疫では・・・
ヘルパーT細胞により「B細胞」が活性化され、分裂・増殖する。

B細胞が「抗体産生細胞」となり、抗体を産生して「体液中に分泌」する。
抗体は抗原と特異的に結合し、抗原抗体複合体(抗原抗体反応)、抗原抗体複合体はマクロファージなどの食作用により排除される。


細胞性免疫では・・・
ヘルパーT細胞により
・マクロファージが集合:抗原を食作用により直接排除する。
・キラーT細胞が増殖 :感染細胞を直接攻撃して排除する。

  

5.
正答
抗原提示細胞は、細胞性免疫と体液性免疫を担う。

 

抗原提示細胞:樹状細胞の事。(マクロファージも含まれる場合もあるが、試験ではそこまで細かく求められないので、大丈夫)

 


B.正解1

1.
正答
好中球は、自然免疫を担っている。

 

自然免疫・獲得免疫という分類もあります。

自然免疫:原始的な生物からある生まれながらに備わっている免疫機構
マクロファージ・ナチュラルキラー細胞・好中球といった食細胞(細菌などを食べる細胞)

獲得免疫:出生後、病原体や毒素などの異物と接することにより誘導(獲得)される、抗原特異的な免疫機構
キラーT細胞・B細胞といったリンパ球

 

獲得免疫は、ワクチンによる予防接種でも獲得免疫とする事が出来る。

 

今回の流行性ウイルスも、自然免疫では対抗できないため、時間をかけて獲得免疫が出来ればかなりのリスクを低減させる事が出来るため、ワクチンの開発が急がれているのですよ。


2.
ナチュラルキラー(NK)細胞は、「非特異的防御機構」を担う。

 

抗原の種類に関わらず反応する防御機能が「非特異的防御機構」です。
がん細胞やウイルス感染細胞を破壊する非特異的防御機構を担っています。

ナチュラルキラー細胞は、自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要。
がんに特異的な免疫反応(獲得免疫)を示すのではなく、がんに非特異的な免疫反応である、いわゆる自然免疫を担っています。

 

3.
「Tリンパ球」は、胸腺で成熟する。

 

Tリンパ球:幹細胞が血流を介して胸腺に移行し、分化・熟成する。
Bリンパ球:幹細胞がそのまま骨髄で分化・熟成する。

 

Tリンパ球は、胸腺(thymus)に由来しT細胞と呼ばれ、3種類存在。

 

キラーT細胞
樹状細胞から抗原情報を受け取り、ウィルスに感染した細胞やがん細胞にとりつき排除する働きを持つ。

ヘルパーT細胞
樹状細胞やマクロファージから異物の情報(抗原)を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生して、攻撃の戦略をたてて指令を出す。

制御性T細胞
キラーT細胞などが、正常細胞にも過剰な攻撃をしないように、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導く働きを持っている。


4.
「Bリンパ球」は、免疫グロブリンを産生する。

 

<Bリンパ球>
免疫応答に関与するリンパ球で、抗原の刺激に応答して抗体産生を行う。 骨髄(Bone marrow)で作られるため、B細胞とよばれる。

骨髄における分化の過程で免疫グロブリン遺伝子の再編成が誘導される結果、細胞表面上に免疫グロブリンを発現する。
その後血流を介して末梢リンパ組織に移動し、抗原やT細胞を介した刺激により抗体産生細胞に成熟し、IgM、 IgG、IgA、IgE、IgDの抗体を産生して分泌する。

 

B細胞表面には、Ig受容体のほかにサイトカイン受容体が発現し、T細胞上に発現するリガンドやT細胞が産生するサイトカインと反応し、B細胞活性化に重要な役割を果たす。

 

5.
免疫グロブリンは、「液性免疫」を担っている。

 

免疫グロブリン(Immunoglobulin、略称Ig):血液や体液中にあって抗体としての機能と構造を持つ蛋白質の総称で、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5クラスに分かれている。

 

細胞性免疫:抗原をリンパ球や食細胞などの働きにより攻撃する。細胞が直接働き抗原を排除する。
体液性免疫:B細胞が分化した形質細胞が産生する抗体により、抗原を攻撃する。体液中の抗体が働いて抗原を排除する。

 

まとめると

 

B細胞は骨髄(Bone marrow)内の造血幹細胞から派生、分化成熟し、体液性免疫を担っていて、成熟すると免疫グロブリン遺伝子を持つ。
その後、ヘルパーT細胞や抗原で活性化され形質細胞へと変化し、IgM、 IgG、IgA、IgE、IgDの抗体を産生して分泌する。

 

という感じです。

 


C.正解3

1.
溶血性貧血は、「Ⅱ型アレルギー」の機序で起こる。

 

2.
ツベルクリン反応は、「Ⅳ型アレルギー」の機序で起こる。

 

3.
正答
形質細胞は、液性免疫を担う。

 

形質細胞:B細胞が分化した細胞。 分泌型免疫グロブリンの合成と分泌に特化している。

B細胞は骨髄(Bone marrow)内の造血幹細胞から派生、分化成熟し、体液性免疫を担っていて、成熟すると免疫グロブリン遺伝子を持つ。
その後、ヘルパーT細胞や抗原で活性化され「形質細胞」へと変化し、IgM、 IgG、IgA、IgE、IgDの抗体を産生して分泌する。

 

4.
「IgG」は、免疫グロブリンの中で最も血中濃度が高い。

 

血液中の割合:最大と最小を覚える程度でOK
IgG:80% > IgA:13% > IgM:6% > IgD:1% > IgE:0.002%

 

5.
IgM」は、5量体である。

 

Ig〇は、Yのような形をしている。それが単体(一つ)で作用するなら単量体、2つなら2量体、5つなら5量体となる。

(Ig省略)
単量体:E・D・G エッジ(Edge:刃・鋭利・端っこ)って覚えてたよ。
2量体:A
5量体:M

 

 

D.正解2

 

1.

「IgG」は、胎盤を通過する。

良く問われる特徴です。

 

2.
正答
IgAは、唾液中に含まれる。

「IgA」は消化器や気管支粘膜に存在してます。母乳中にも一番多く含まれています。

 

3.
「IgE」は、即時型アレルギー反応に関わる。

アレルギーと言えば、「IgE」

 

4.
IgEは、「B細胞(形質細胞)」から分泌される。

 

IgM、 IgG、IgA、IgE、IgDは全て免疫グロブリンで、B細胞またはB細胞が変化した形質細胞より分泌される。

 

5.
「IgG」は、免疫グロブリンの中で最も血液中濃度が高い。

 

血液中の割合:最大と最小を覚える程度でOK
IgG:80% > IgA:13% > IgM:6% > IgD:1% > IgE:0.002%

 

免疫グロブリンの特徴を簡単にまとめると
IgG:胎盤通過
IgA:分泌型
IgM:感染初期出現
IgE:アレルギー

IgDは、役割がよく分からないものなので、存在だけ知ってればOK


アレルギーの種類

液性/Ⅰ=即時型/IgE関与,アナフィラキシー,ペニシリンショック,気管支喘息,アトピー,食事性アレルギー,過敏症

液性/Ⅱ=細胞障害型/(溶血性貧血,血小板減少性紫斑病)

液性/Ⅲ=免疫結合体型/慢性関節リウマチ,SLE,アルサス型反応

細胞性/Ⅳ=遅延型/ツベルクリン反応,接触性皮膚炎/T細胞/抗体は直接関与せず

 


E.正解

 

1.
「2本」のH鎖と「2本」のL線から構成される。

 

2.
正答
液性免疫を担当する。

 

B細胞は骨髄(Bone marrow)内の造血幹細胞から派生、分化成熟し、体液性免疫を担っていて、成熟すると免疫グロブリン遺伝子を持つ。
その後、ヘルパーT細胞や抗原で活性化され「形質細胞」へと変化し、IgM、 IgG、IgA、IgE、IgDの抗体を産生して分泌する。

 

3.
血中に最も多く存在するのは、「IgG」である。

 

血液中の割合:最大と最小を覚える程度でOK
IgG:80% > IgA:13% > IgM:6% > IgD:1% > IgE:0.002%

 

4.
母乳中に最も多く存在するのは、「IgA」である。

 

「IgA」は消化器や気管支粘膜に存在してます。母乳中にも一番多く含まれています。


5.
「IgG」は、胎盤を通過する。

 

IgG:胎盤通過
IgA:分泌型
IgM:感染初期出現
IgE:アレルギー

 

 

F.正解2

1.
発症には「IgE」が関与する。

アレルギーといえば「IgE」

 

2.
正答
鶏卵は、乳児期に最も頻度の高い原因食物である。

 

食物アレルギーの原因となる食べ物は、0歳児では鶏卵が最も多く、牛乳、小麦の3つで9割を占めている。
その後も鶏卵・乳製品アレルギーは多いが、7歳くらいから甲殻類アレルギーが多くなっていく傾向にある

 

3.
「Ⅰ型アレルギー反応」に分類される。

 

液性/Ⅰ=即時型/IgE関与,アナフィラキシー,ペニシリンショック,気管支喘息,アトピー,食事性アレルギー,過敏症

液性/Ⅱ=細胞障害型/(溶血性貧血,血小板減少性紫斑病)

液性/Ⅲ=免疫結合体型/慢性関節リウマチ,SLE,アルサス型反応

細胞性/Ⅳ=遅延型/ツベルクリン反応,接触性皮膚炎/T細胞/抗体は直接関与せず


4.
食物経口負荷試験は、「医療機関」で行う。

 

家庭で行うと、様態急変した時に即時対応が出来ないし、専門知識も持ってない。

 

5.
アナフィラキシーショックには、「アドレナリン筋肉注射」が第一選択である。

 

アナフィラキシーショック
循環器、呼吸器、消化器神経症状と全身に自覚・他覚症状が現れ、血圧低下や呼吸困難、意識障害などに進展する。

アドレナリンは人の副腎で作られるホルモンで、心臓の働きを強め末梢の血管を縮めることで血圧を上昇させる作用がある。
また、気管支を拡張する作用、粘膜の浮腫を改善する作用、アナフィラキシー症状を引き起こす体内からの化学物質の放出を抑制する作用もあるため、第一選択となる。

 

ヒスタミンは、鼻水といったアレルギー症状や、酔い止めの成分として知られ、花粉症の薬や総合感冒薬にも含まれるものなので、これではアナフィラキシー症状には対応出来ない。

 

 

今回は以上。

それぞれ特徴があるから、しっかりと把握して覚えていきましょう!!


繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!