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栄養・食事療法と栄養補給法についての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.栄養補給法に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.成分栄養剤は、食物繊維を含む。
2.成分栄養剤の脂質エネルギー比率は、20%Eである。
3.経腸栄養剤のNPC/N(非たんぱく質カロリー窒素比)は、50未満である。
4.中心静脈栄養法では、糖質濃度30%の維持液が用いられる。
5.抹消静脈栄養法では、糖質濃度20%の維持液が用いられる。

 

 

B.経腸栄養法に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.半消化態栄養剤は、脂質を含まない。
2.成分栄養剤の窒素源は、たんぱく質である。
3.半固形タイプの栄養剤は、胃瘻に使用出来ない。
4.下部消化管完全閉塞時には、禁忌である。
5.下痢が生じた場合は、投与速度を速める。

 

 

C.経鼻胃管にて、1.0㎉/mlの半消化態栄養剤(常温)を100ml/時で250ml投与した所、下痢を生じた。その対策に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.脂質含量の多い経腸栄養剤に変更する。
2.浸透圧の高い経腸栄養剤に変更する。
3.2.0㎉/mlの経腸栄養剤に変更する。
4.4℃にして投与する。
5.25ml/時で投与する。

 

 

D.経腸栄養補給法が禁忌となる患者である。正しいものを1つ。

 

1.口腔がん術後
2.食道がんによる通過障害
3.胃食道逆流症
4.下部消化管完全閉塞
5.脳卒中後の意識障害

 

 

E.経腸栄養剤の種類とその特徴に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.成分栄養剤の糖質は、マルトースである。
2.成分栄養剤の窒素源は、ジペプチドである。
3.消化態栄養剤の糖質は、キシリトールである。
4.消化態栄養剤の窒素源は、たんぱく質である。
5.半消化態栄養剤の糖質は、デキストリンである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、栄養補給法にはいくつかの方法があります。

 

経静脈栄養法:腸を経由せず静脈に直接栄養剤を投与

 

・抹消静脈栄養(PPN: Peripheral Parenteral Nutrition)
投与期間:2週間未満
投与エネルギー:約1000㎉

輸液は、
ブドウ糖液(5~10%)
アミノ酸製剤(3~10%)
脂肪乳剤(10~20%)
維持液
等を組み合わせて投与する。


・中心静脈栄養(TPN:total parenteral nutrition)
投与期間:2週間以上
投与エネルギー:2000㎉以上の投与可能

輸液は、糖質20~50%程度を投与可能
カテーテルを鎖骨下静脈を通して上大静脈に留置する場合が多い

 

中心静脈栄養では下記の合併症が起こりやすい
ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ・コルサコフ症候群の発症

防止策としてビタミンB1を添加して投与する

<ウェルニッケ・コルサコフ症候群>
ビタミンB1チアミン)の不足により発症する脳障害である。 眼球運動障害、筋肉の動きの随意協調運動障害(運動失調)および錯乱の一部またはすべての急性発症を特徴とする。 患者は急性期に死亡することもあり、生存者の多くは永続的な記憶障害へと進展する。

 

・リフィーディング症候群

慢性的な栄養障害がある状態に対して、急激に栄養補給を行うと発症する代謝性の合併症。 飢餓状態が長く続いたあとに急に栄養補給されると、心不全や呼吸不全、腎不全、肝機能障害ほか低リン血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症などを呈することがある。


バクテリアルトランスロケーション
長期間、中心静脈栄養を行うことで腸粘膜が萎縮し、バクテリアルトランスロケーションが起こりやすくなり

バクテリアルトランスロケーション>
腸管内細菌が粘膜バリアーを通過して、体内に移行する状態。全身的な栄養不全や種々のストレス、消化管疾患などによる全身性・局所性免疫能低下、肝の網内系機能低下、腸粘膜萎縮などが背景となる。

 

経静脈栄養剤では、用いられる輸液は1種類のみではなく、輸液を組み合わせて投与していく事も可能。

 

・高カロリー輸液用基本液:糖質を12~20%程度含有する他、アミノ酸電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム)と微量元素では「亜鉛」が添加されている。

 

・微量元素製剤:長期にわたる中心静脈栄養で欠乏症が懸念される微量元素(鉄・マンガン亜鉛・銅・ヨウ素)を含む。

両方に含まれない微量元素として「セレン」「クロム」がある。

 

 

経腸栄養法:腸を経由して栄養補給する方法
・経口栄養法
・経管栄養法
 〇瘻管栄養法・鼻腔栄養法・・・自然食品流動食・半消化態栄養剤・消化態栄養剤・成分栄養剤等

 

経腸栄養法には3つの種類がある。

 

・半消化態栄養剤
糖質 : デキストリン
窒素源 : たんぱく質ポリペプチド
脂質含有量(エネルギー比) : 比較的多い(約30%)
浸透圧 : 比較的低い

 

・消化態栄養剤
糖質 : デキストリン
窒素源 : オリゴペプチド、アミノ酸
脂質含有量(エネルギー比) : 少ない(約10%)
浸透圧 : 高い

 

・成分栄養剤
糖質 : デキストリン
窒素源 : アミノ酸
脂質含有量(エネルギー比) : 極めて少ない(1~2%)
浸透圧 : 高い

含まれる栄養成分の単位が小さいほど、消化の必要性も少なくなり、消化の負担が小さくなる。
(半消化態栄養剤>消化態栄養剤>成分栄養剤)

 

浸透圧が高いほど、下痢を起こすリスクが高くなる。

 

 

A.正答4

 

1.
成分栄養剤は、食物繊維を「含まない」。

 

2.
成分栄養剤の脂質エネルギー比率は、「1~2%E」である。

 

3.
経腸栄養剤のNPC/N(非たんぱく質カロリー窒素比)は、「150~200」である。

 

4.正答
中心静脈栄養法では、糖質濃度30%の維持液が用いられる。

 

5.
抹消静脈栄養法では、糖質濃度「5~10%」の維持液が用いられる。

 

 

B.正答4

 

1.
半消化態栄養剤は、脂質を「含む」。

 

2.
成分栄養剤の窒素源は、「アミノ酸」である。

 

3.
半固形タイプの栄養剤は、胃瘻に「使用出来る」。

 

4.正答
下部消化管完全閉塞時には、禁忌である。

 

5.
下痢が生じた場合は、投与速度を「遅くする」。

 

 

C.正答5

 

1.脂質含量の多い経腸栄養剤に変更する。→脂質が多いほど下痢になりやすい

 

2.浸透圧の高い経腸栄養剤に変更する。→浸透圧が高くなるほど下痢になりやすい

 

3.2.0㎉/mlの経腸栄養剤に変更する。→高エネルギーの経腸栄養剤は浸透圧が高い傾向にあるため、下痢になりやすい

 

4.4℃にして投与する。→温度が低いと下痢になりやすい

 

5.正答
25ml/時で投与する。

投与スピードを遅くする事で下痢リスクを小さくしていく

 

 

D.正答4

 

4.下部消化管完全閉塞

下部消化管閉塞時に経腸栄養補給法を用いる事は出来ない。
この場合は、経静脈栄養補給法を選択する。

 

 

E.正答5

 

1.
成分栄養剤の糖質は、「デキストリン」である。

 

2.
成分栄養剤の窒素源は、「アミノ酸」である。

 

3.
消化態栄養剤の糖質は、「デキストリン」である。

 

4.
消化態栄養剤の窒素源は、「アミノ酸・ジペプチド・トリペプチド」である。

 

5.正答
半消化態栄養剤の糖質は、デキストリンである。

成分栄養剤・消化態栄養剤・半消化態栄養剤で使われる糖質は、全て「デキストリン

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!