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ホルモン・サイトカインについて 過去問2013年度 第33問

代謝に関係するホルモン・サイトカインに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。 

 

(1)アディポネクチンは、インスリンの作用を減弱する。
(2)インクレチンは、インスリン分泌を促進する。
(3)アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪合成を促進する。
(4)レプチンは、エネルギー消費を抑制する。
(5)TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリンの作用を増強する。

 

 

 

 

 

 

 

※アディポサイトカイン

アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質(内分泌因子)の総称。
これらは、善玉と悪玉に分別されている。

 

善玉

・アディポネクチン
動脈硬化作用・抗炎症作用・インスリン感受性上昇 等

・レプチン
食欲調整・脂肪分解亢進


悪玉

・TNF-α
インスリン抵抗性上昇・血管壁の炎症を引き起こす 等

・アンジオテンシノーゲン
血圧上昇

・レジ須陳
インスリン抵抗性上昇

・PAI-1
血栓形成促進

・HB-EGF
血管平滑筋の増殖

 


これにより、

(1)アディポネクチンは、インスリンの作用を減弱する。

 

インスリンの作用を低下 → インスリンの作用を増強

 


(5)TNF-α(腫瘍壊死因子α)は、インスリンの作用を増強する。

 

インスリンの作用を増強 → インスリンの作用を減弱

 

なので、誤りとなります。

 

 

 

(4)レプチンは、エネルギー消費を抑制する。

 

※レプチン
レプチンは脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一種で、脂肪蓄積とともに分泌される。
食欲抑制作用・脂肪分解作用があります。

 

エネルギー消費を抑制 → エネルギー消費を促進

 

なので、この問題も誤りとなります。

ちなみに、肥満の人はレプチンの分泌は健常人よりも多いです。
ですが、レプチン抵抗性も大きくなるので、レプチンが作用しにくいと考えられています。

 


(3)アドレナリンは、脂肪細胞での脂肪合成を促進する。

 

アドレナリンは、副腎髄質より分泌され、脂肪細胞での脂肪分解を促進します。

アドレナリン・ノルアドレナリンドーパミンの3種をカテコールアミンと呼びますが、アドレナリン・ノルアドレナリンは交感神経に強く作用します。

ノルアドレナリンは血圧上昇(末梢神経収縮によるため)
アドレナリンは心拍数・血液・血糖値・体温が上昇(心血管系・平滑筋・糖や脂質の代謝 等に作用するため)

 

交感神経が上昇させる = 本能的には生存競争で勝ち残る事が目的(生か死かという極限状況)

 

なので、身体の色んな個所を戦闘態勢にもっていくため、ホルモンが働き、戦うためのエネルギーや環境を作り出すよう、身体を変化させます。

 

瞳孔の散瞳(瞳孔が開いた状態):光を多くとりこむため
気管支拡張:多くの空気(酸素)を取り込み、より長く活動出来るようにするため
心拍数増加:血液を送り込み、より長く活動出来るようにするため
腸管運動抑制:食事・消化よりも、生存・行動のためにエネルギーをつかうため

 

他にも交感神経上位になる事で、尿が出にくくなったり、怪我をしても出血しにくくなったりします。

 

 


(2)インクレチンは、インスリン分泌を促進する。


※インクレチン
食事摂取に伴って、消化管(主に小腸)から分泌され、インスリンの分泌を促進するホルモンの総称。
現在は、GIP・GLP-1という2種類が知られている。
小腸 → K細胞 → GIP   → すい臓
小腸 → L細胞 → GLP-1 → すい臓

 

このため、(2)が正答となります。

 

 

私は、このインクレチンの作用の覚え方として、

インスリンをくれ → イン(スリンを)クレ → インクレ

と、連想させていました。

余談ですが、ホルモンの名称は、最後に「ン」がつくのがほとんど。
他は「コルチゾール」と「~ペプチド」があります。
厳密にいうと異なるくくり方なのですが、覚えておいても良いと思います。

 

 

今回は、ここまで。