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循環器疾患の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題その2 問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
質問等ありましたら、コメント欄にお気軽にどうぞ

 


A.医薬品とその作用の組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 ――― 尿中ナトリウム排泄抑制
2.アンジオテンシン変換酵素阻害薬 ――― 尿中カリウム排泄抑制
3.抗アルドステロン薬       ――― 尿中ナトリウム排泄抑制
4.ループ利尿薬          ――― 尿中カリウム排泄抑制 
5.サイアザイド系利尿薬      ――― 尿中ナトリウム排泄抑制

 

 

B.医薬品とその作用の組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.サイアザイド系利尿薬      ――― 血清尿酸値低下
2.β遮断薬            ――― 気管支拡張
3.カルシウム拮抗薬        ――― 血管収縮
4.アンジオテンシン変換酵素阻害薬 ――― 尿中ナトリウム排泄促進
5.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 ――― 血清カリウム値低下

 

 

C.60歳男性。身長168㎝、体重65㎏(標準体重62㎏)。虚血性心疾患と診断された。この患者の1日当たりの目標栄養量である。正しいものを1つ。

 

1.エネルギー 1000㎉
2.たんぱく質 40g
3.脂質    80g
4.飽和脂肪酸の摂取エネルギー比率 6%E
5.食物繊維  10g

 

 

D.うっ血性心不全が憎悪した時の病態と栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.心胸郭比は、小さくなる。
2.交感神経系は、抑制される。
3.血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値は、上昇する。
4.水分摂取量は、50ml/㎏標準体重/日とする。
5.食塩摂取量は、8g/日とする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答2

 

1.
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 ――― 「尿中ナトリウム排泄促進」

 

アンジオテンシンⅡ受容体の遮断による血圧降下作用がある。
アンジオテンシンⅡ受容体が作用しなくなると、アルドステロンの分泌が抑制され、ナトリウムの排泄が促進される。

 

2.正答
アンジオテンシン変換酵素阻害薬 ――― 尿中カリウム排泄抑制

 

アンジオテンシンⅡの生成抑制による血圧降下作用がある。
アンジオテンシンⅡ受容体が作用しなくなると、アルドステロンの分泌が抑制され、カリウムの排泄が抑制される。

 

3.
抗アルドステロン薬       ――― 「尿中ナトリウム排泄促進」

 

アルドステロンの作用阻害による血圧降下作用がある。
アルドステロン作用が抑制され、ナトリウムの排泄が促進される。

 

4.
ループ利尿薬          ――― 「尿中カリウム排泄促進」 

 

利尿作用による血圧降下作用がある。
尿量が増加し、カリウムの排泄が促進される。

 

5.
サイアザイド系利尿薬      ――― 「尿中ナトリウム排泄促進」

ナトリウムの排泄を促進し、利尿を促す事で、血圧降下作用を示す。


※この問題だったら、正しく知識を習得しきれていなくても推測で正答を導けそうだと感じます。

前提として設問の1、2、3が血圧に関する薬だというのを把握しておくことは必要となりますが。

 

まず、利尿薬とは「尿量を多くして、尿そのものだったり、尿と一緒に排泄する作用を促すもの」です。
それなのに、設問の選択肢の中では「排泄抑制」とあります。
真逆の内容なので、設問4と5は消去できます。

 

そして、設問1、2、3に関してですが、高血圧の治療方針としては「ナトリウムを減らしてカリウムを増やす」となりやすいです。
そうすると、「ナトリウム排泄抑制」となる設問1、3は消去出来て、残りの設問2が正答となる訳です。

 

前提として挙げた「設問1、2、3の薬剤が高血圧の薬だと分からなかった」場合ですが、基本的に「ナトリウム摂取を控える方が健康」という部分で推測する事になります。
「体内に取り込むナトリウムが少ない→健康」という考え方を前提とするので、ナトリウムの排泄を抑制するという薬は、よほど特殊な事例でないと必要がないんですね。(そんな薬剤を開発しなくても、生理食塩水で点滴をするのが手っ取り早いと思います)

 

となると、「ナトリウム排泄抑制」とある設問1、3、5はこの時点で消去できます。
あとは、利尿薬の大まかな働きを知っていれば、設問4も消去できる訳なんですね。

 

こういう回答方法もありますので、試してみてください。
この方法に頼らず、しっかりとした知識を身に着ける事が出来るのが、一番いいんですけどね。

 


B.正答4

 

1.
サイアザイド系利尿薬      ――― 「尿中ナトリウム排泄促進」

 

尿中へのナトリウムの排泄を促進し、利尿を促して血圧降下作用を示す薬剤。

 

2.
β遮断薬            ――― 「気管支収縮」

 

交感神経受容体の一つであるβ受容体を遮断することで、血圧降下作用を示す薬剤。
交感神経には気管支を拡張する作用があるため、β遮断薬の副作用として「気管支収縮」がある。

 

3.
カルシウム拮抗薬        ――― 「血管拡張」

 

血管平滑筋へのカルシウムの流入を抑制し、血管を弛緩させて血圧降下作用を示す薬剤。

 

4.正答
アンジオテンシン変換酵素阻害薬 ――― 尿中ナトリウム排泄促進

 

アンジオテンシンⅡ生成抑制による血圧降下作用を示す薬剤。
アンジオテンシンⅡ受容体が作用しなくなると、アルドステロンの分泌が抑制され、尿中へのナトリウムの排泄が促進される。

 

5.
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 ――― 「血清カリウム値上昇」

 

アンジオテンシンⅡ受容体の遮断による血圧降下作用を示す薬剤。
アンジオテンシンⅡ受容体が作用しなくなると、アルドステロンの分泌が抑制され、ナトリウムの排泄が促進される。
「アルドステロンには、カリウム排泄促進作用がある」ため、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の副作用に、「血清カリウム値の上昇」がある。

 

アルドステロン分泌抑制 → カリウム排泄促進作用が小さくなる → 血清カリウム値上昇

 


C.正答4

 

1.
エネルギー 「1800㎉」

 

エネルギーは普通量の、30㎉/㎏標準体重/日

 

2.
たんぱく質 「60g」

 

たんぱく質は普通量の、1.0g/㎏標準体重/日

 

3.
脂質    「50g」

 

脂質の摂取エネルギー比率は、20~25%Eとする。

 

4.正答
飽和脂肪酸の摂取エネルギー比率 6%E

 

飽和脂肪酸の摂取エネルギー比率は、7%E以下とする。

 

5.
食物繊維  「18g」

 

食物繊維は、10g/1000㎉とする。


※この手の問題は、正確な基準を知らなくても選択肢を減らす方法があります。
実際にカロリー計算をして、それが常識的な量になっているかどうか?という方法で選択肢を絞っていくというやり方です。

 

エネルギーについてですが、いくら標準体重よりも3㎏重いといっても、一気に摂取カロリーを成人男性の標準的な2000㎉前後から、1000㎉に下げるというのはちょっとあり得ないです。

 

たんぱく質ですが、1日の摂取目標量が男性60g、女性50gというのを知っていれば消去できると思います。
もっと言うと、虚血性心疾患は「動脈硬化」が主な原因とされる症状です。血流不足であったり、血管自体がもろくなると心筋梗塞狭心症へと進行してしまうリスクがあります。それを防ぐためにも、血管自体の柔軟性を高めたり、血液量を維持・増加させるためにも、たんぱく質は必要となる訳なので、減らす方向では良くないという事になります。

 

脂質ですが、「80g」となると、カロリーが「720㎉」となります。私個人の意見としては否定はしませんが、基本的には「低脂質高たんぱく」「血液系疾患には低脂質」という食事が健康的であるという前提があるので、その摂取量は多すぎるという事になります。

 

食物繊維ですが、

生活習慣病の発症予防の観点から考えると、成人では、食物繊維を一日24g以上、できれば1,000kcalあたり14g摂取するのが理想とされています。」
「日本人の食事摂取基準(2015年版)では、食物繊維の目標量は、18~69歳では1日あたり男性20g以上、女性18g以上」

という考え方や目標量があります。

 

基本的に「食物繊維は、摂れば摂る程良い」という考えが前提となるので、10gだと目標量の数値よりも低い訳ですので、これ以上の数値の基準であることが推測できます。

こんな感じが、私が受験勉強をする際、試験を受ける際に行っていた思考方法の一つです。

 

常識的な部分にあてはめて考えるやり方ですが、その常識部分が無いと判断がつかなくなります。
ですので、まずは基本をしっかりと抑えていきましょう。

 


D.正答3

 

1.
心胸郭比は、「大きくなる」。

 

心胸郭比:胸郭(胸全体の大きさ)に対する心臓の占める割合の事

うっ血性心不全では、水分の貯留・心臓負担増加により、心筋が肥大している傾向にあるので、心胸郭比が大きくなる。

 

2.
交感神経系は、「促進」される。

 

心拍出量の減少による血圧の低下を改善するため、交感神経系が促進される。

 

3.正答
血漿BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値は、上昇する。

 

BNPにはナトリウム利尿作用がある。
心臓に負担がかかると、血漿BNP値が上昇し、ナトリウムの排泄を促進する。

 

4.
水分摂取量は、「1000ml/日以下」とする。

 

うっ血性心不全が憎悪している場合、水分貯留を改善するため、厳しい水分制限を行う。

 

5.
食塩摂取量は、「6g/日未満」とする。

 

 

今回は以上。

今回は、「私だったらこういった方法で回答していた」という感じのものを紹介させていただきました。
どのような方法であっても(悪い事はしちゃダメだよ)、結果として正答を選ぶことが出来ればいいんです!(重要)
よかったら参考にしていただければと思います。
それが出来るようにするためにも、知識を深める事や一般論を身に着けるという事が重要ですよ。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!