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エネルギー代謝についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.エネルギー代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.基礎代謝量は、除脂肪体重より体重との相関が高い。
2.基礎代謝量は、甲状腺機能が低下すると上昇する。
3.身体活動レベル(PAL)は、総エネルギー消費量を安静時のエネルギー消費量で除して求める。
4.メッツ(METS)は、各種身体活動時のエネルギー消費量を安静時の消費エネルギー量で除して求める。
5.食事誘発性熱産生は、脂質が一番高い。

 

 

B.エネルギー代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.メッツ(METS)は、身体活動時のエネルギー消費量を基礎代謝量で除して求める。
2.身体活動レベル(PAL)は、1日の総エネルギー消費量を安静時代謝量で除して求める。
3.体内におけるたんぱく質の燃焼量は、尿中に排泄された窒素量から求める。
4.呼吸商は、酸素消費量を二酸化炭素排出量で除して求める。
5.グルコースが燃焼した場合の呼吸商は、0.7である。

 

 

C.基礎代謝量に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.安静座位で測定する。
2.男性に比べて女性が高い。
3.環境温度に影響されない。
4.低栄養状態で増大する。
5.アドレナリンにより増大する。

 

 

D.20歳、体重50㎏の女性が、3.0メッツの運動を1時間行った。その1時間の総エネルギー消費量(kcal)の計算式である。正しいものを1つ。
身体活動レベル(PAL)は1.75、基礎代謝基準値は22.1(kcal/kg 体重/日)、安静時代謝量は基礎代謝量の1.2倍とする。

 

1.22.1×50×3.0×1/24
2.22.1×1.2×3.0×1/24
3.22.1×50×1.2×3.0×1/24
4.22.1×1.75×3.0×1/24
5.22.1×50×1.75×3.0×1/24

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答4

 

1.
基礎代謝量は、「体重」より「除脂肪体重」との相関が高い。

 

基礎代謝量は、骨格筋や内臓・期間といった除脂肪体重との相関が高くなる。

 

2.
基礎代謝量は、甲状腺機能が低下すると「低下する」。
基礎代謝量は、甲状腺機能が「上昇」すると上昇する。

 

甲状腺機能が亢進すると物質代謝基礎代謝量が増大するため、心拍数の増加、体温の上昇、発汗の増加などがみられるようになります。この状態がバセドウ病甲状腺機能亢進症)です。
甲状腺機能が低下すると、熱の産生や基礎代謝が低下し、精神的、肉体的活動が低下します
。新生児期に甲状腺機能が低下すると、クレチン病になります。
また甲状腺に炎症が起きると、甲状腺の機能が低下し甲状腺機能低下症となります。橋本(はしもと)病(慢性甲状腺炎)はその1つです。

 

3.
身体活動レベル(PAL)は、総エネルギー消費量を「基礎代謝量」で除して求める。

 

身体活動レベル(PAL:Physical Activity Level):日常生活の平均的な活動の強度を表したもので、1日の総エネルギー消費量が基礎代謝量の何倍になるかを示した値

 

4.正答
メッツ(METS)は、各種身体活動時のエネルギー消費量を安静時の消費エネルギー量で除して求める。

 

メッツ(MET: metabolic equivalent):身体活動におけるエネルギー消費量を座位安静時代謝量(酸素摂取量で約3.5 ml/kg/分に相当)で除したもの。
座位安静状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当する。

 

5.
食事誘発性熱産生は、脂質が一番高い。

 

食事誘発性熱産生:食物摂取によりエネルギー代謝が亢進する現象で、代謝の亢進は、たんぱく質を単独で摂取した場合が最も高くなる。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%。

 


B.正答3

 

1.
メッツ(METS)は、身体活動時のエネルギー消費量を「安静時代謝量」で除して求める。

 

メッツ(MET: metabolic equivalent):身体活動におけるエネルギー消費量を座位安静時代謝量(酸素摂取量で約3.5 ml/kg/分に相当)で除したもの。
座位安静状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当する。

消費カロリー(kcal) = METs × 時間 × 体重(kg)

 

2.
身体活動レベル(PAL)は、1日の総エネルギー消費量を「基礎代謝量」で除して求める。

 

身体活動レベル(PAL:Physical Activity Level):日常生活の平均的な活動の強度を表したもので、1日の総エネルギー消費量が基礎代謝量の何倍になるかを示した値

 

3.正答
体内におけるたんぱく質の燃焼量は、尿中に排泄された窒素量から求める。

 

タンパク質の燃焼量(g)は、尿中窒素排泄量(g)に6.25を乗じて求める。

 

4.
呼吸商は、二酸化炭素排出量を酸素消費量で除して求める。

 

呼吸商(respiratory quotient; RQ):ある時間において生体内で栄養素が分解されてエネルギーに変換するまでの酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の体積比のことである。
呼吸率、呼吸係数とも呼ばれる。

呼吸商 = 単位時間あたりのCO2排出量/単位時間あたりのO2消費量

 

5.
グルコースが燃焼した場合の呼吸商は、「1.0」である。

 

呼吸商

糖質:1.0
たんぱく質:0.85
脂質:0.75

 


C.正答5

 

1.
「安静仰臥位(あんせいぎょうがい)」で測定する。

 

仰臥位:仰向けになって寝ている姿勢の事

 

2.
「女性」に比べて「男性」が高い。

 

基礎代謝量は、骨格筋や内臓諸器官などの除脂肪体重(LBM:Lean body mass)に比例するため、筋肉量の多い男性の方が基礎代謝量は高くなる。

 

3.
環境温度に「影響される」。

 

熱産生が亢進する低温環境下では、基礎代謝量は高くなる。

 

4.
低栄養状態で「減少する」。

 

低栄養状態ではエネルギー消費が抑制されるため、基礎代謝量は減少する。

 

5.正答
アドレナリンにより増大する。

 

<アドレナリン>
血液中のブドウ糖濃度である血糖値を上げる働きがあるホルモンで、腎臓の傍らにある副腎の髄質(ふくじんずいしつ)から分泌され、血糖値を下げるインスリンとは、反対の作用を持つホルモンです。
また、血糖値を上げる働きのほか、脈拍や血圧を上げ、全身の基礎代謝を高める働きもあります。

 

 

D.正答3

3.22.1×50×1.2×3.0×1/24

 

メッツを利用した総エネルギー消費量は、安静時代謝量×メッツ×運動時間で算出できる。

安静時代謝量=基礎代謝量(基礎代謝基準値×体重)×1.2=22.1×50×1.2
メッツ=3.0
安静時代謝量の時間単位は1日あたりでの計算。実際の運動時間である1時間をあてはめると1/24

結果、3の「22.1×50×1.2×3.0×1/24」が正答となる。


PALは今回の計算には影響を与えないため、解答者を迷わせるための存在です。

身体活動レベル(PAL)は、総エネルギー消費量を「基礎代謝量」で除して求める。

身体活動レベル(PAL:Physical Activity Level):日常生活の平均的な活動の強度を表したもので、1日の総エネルギー消費量が基礎代謝量の何倍になるかを示した値

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!