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バセドウ病と橋本病 過去問2016年度 第35問

皆さん、こんにちは。

 

今回は、上記の問題で出題されたバセドウ病と橋本病についての話をします。

深い所まで行くとキリがないので、試験に出題されるポイントを抑えながらの解説を行なっていきます。

 

内分泌疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)クッシング症候群では、テタニーを起こす。
(2)原発性アルドステロン症では、高カリウム血症を起こす。
(3)褐色細胞腫では、高血圧を起こす。
(4)甲状腺機能低下症では、眼球突出を起こす。
(5)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症を起こす。

 


この問題では、(4)に該当する内容についての解説・補足となります。

・関連してくるホルモンは、甲状腺ホルモンです。


甲状腺ホルモンの働き

代謝の活性・非活性化
酵素消費量
心拍機能調節(心拍数・心拍出量・心筋収縮力)


甲状腺ホルモンは、基本的に異化ホルモンのため、栄養をエネルギーとして利用していきます。


※同化と異化

同化 外界から摂取した物質から、生命活動に必要な物質を合成する過程であり、エネルギーを必要とする。

   AとBが合成する ← エネルギーが必要


異化 体内で不要になった物質を分解する過程であり、エネルギーが放出される。

   AをBに分解する → エネルギーを放出

 


甲状腺機能亢進症 = 甲状腺ホルモン過剰状態

外から取り入れたり、貯蔵していた栄養がエネルギーとして通常より多く利用される

前進の代謝・各臓器の働きが活発化・亢進する
血清コレステロール値(血液中のコレステロール値)低下 ← 普段以上に利用されるため、少なくなる


甲状腺機能低下症 = 甲状腺ホルモン不足状態

エネルギーが消費されない(不活性化する)

徐脈(不整脈の一種で心拍数が低下した状態)や体重増加(エネルギーが利用されないため)
血清コレステロール値(血液中のコレステロール値)上昇 ← 普段以上に利用されないため、多くなる
 

 

・ネガティブフィードバック(甲状腺機能の調節)

甲状腺機能は、下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH:thyroid stimulating hormone)で調整される。


甲状腺ホルモンであるサイロキシン(チロキシン:T4)、トリヨードサイロニン(T3)が過剰に分泌

視床下部・下垂体が反応

甲状腺刺激ホルモン・甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH:thyrotropin-releasing hormone)の分泌調節

甲状腺刺激ホルモン値

低値 = 甲状腺機能亢進症

高値 = 甲状腺機能低下症

を示す事が多い(という前提で、問題は作成されていきます。もし条件があれば、それに従ってください。)

 

 

甲状腺ホルモンの分泌が亢進する(多くなる)と、代表的な疾患として「バセドウ病」があげられる

バセドウ病甲状腺機能亢進症 20~40代女性に多い自己免疫疾患 少し前に、当時21歳の有名女性歌手も患い、活動を一時休止していた事もあった

特有の症状として、眼球突出(目玉が飛び出るような状態)、びまん性甲状腺腫(甲状腺全体が晴れているような状態)
他にも、
エネルギー消費増大による動悸・頻脈、体重減少、るいそう(極度のやせ)、多汗・暑がり、易疲労感、食欲亢進(増進)
手指振戦(ふるえ)、精神的高揚(イライラ)、筋力低下、腸蠕動亢進による下痢・腹痛・月経異常(減少・無月経

特徴として
増加するのが、たんぱく質の異化・血糖値等
低下するのが、インスリン抵抗性・コレステロール・TG(トリアシルグリセロール:中性脂肪)等

 


甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、代表的な疾患として橋本病(慢性甲状腺炎)、クレチン症があげられる

 

※クレチン症 : 先天性の甲状腺機能低下症で、知能や発育にも障害が出る

症状として、思考力低下、思考力低下による言語緩慢や無関心様表情
眼瞼・舌・口唇の浮腫(むくみ)、発汗低下・寒がり、皮膚の乾燥、便秘・脱毛

 


となります。

 


では、改めて

 

(4)甲状腺機能低下症では、眼球突出を起こす。

 

ですが、眼球突出は亢進症(バセドウ病)に多い症状のため、この選択肢は間違いとなります。

 

ちなみに、バセドウ病は女性に多いですが、男性も罹患する事はあります。

私の知り合いもその一人ですが、まだ軽い状態だったため、普段と違和感がある・疲れやすい・お腹が減りやすく普段の食事では満足できないというものでした。

進行していたら、上記のような症状が露見しやすくなっていたと感じます。

 


今回は、ここまで。

他の問題に関しては、次回に解説していきます。