管理栄養士国家試験合格に向けてチャレンジする人を応援するブログ

独学で学習を進める人をはじめ、受験勉強中の悩みを解消するための情報をお伝えしていきます。

鉄代謝と栄養・ミネラルの生物学的利用度についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
質問等ありましたら、コメント欄にお気軽にどうぞ

 


A.鉄の吸収と代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.非ヘム鉄の吸収は、共存する食品成分の影響を受けない。
2.非ヘム鉄の吸収率は、ヘム鉄より高い。
3.鉄の消化管からの吸収は、貯蔵鉄量の影響を受ける。
4.シトクロムaは、鉄を貯蔵する機能を持つ。
5.ミオグロビンは、鉄の血中輸送を担う。

 

 

B.鉄の栄養に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.消化管における非ヘム鉄の吸収率は、ヘム鉄と比べて高い。
2.消化管における非ヘム鉄の吸収率は、鉄欠乏により低下する。
3.体内の総鉄量の大部分は、貯蔵鉄として存在する。
4.体内の機能鉄の大部分は、骨格筋に存在する。
5.赤血球の破壊で遊離した鉄は、ヘモグロビンの合成に再利用される。

 

 

C.カルシウムと鉄の吸収に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.カルシウムの吸収は、脂肪により促進する。
2.カルシウムの吸収は、リンにより促進する。
3.カルシウムの吸収は、フィチン酸により促進する。
4.ヘム鉄の吸収は、ビタミンCにより促進する。
5.非ヘム鉄の吸収は、動物性たんぱく質により促進する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答3

 

1.
非ヘム鉄の吸収は、共存する食品成分の影響を「受ける」。

 

非ヘム鉄の吸収は、たんぱく質・ビタミンC等で促進され、フィチン酸・食物繊維等で阻害される。

 

2.
非ヘム鉄の吸収率は、ヘム鉄より「低い」。

 

動物性食品から得られるヘム鉄の方が、植物性食品から得られる非ヘム鉄に比べて吸収性に優れ、非ヘム鉄より吸収率が5~6倍高い。
非ヘム鉄は腸管から吸収される際に食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害を受けることや、むき出しのまま吸収された鉄が胃壁や腸管を荒らすことがある。
ヘム鉄は鉄イオンがポルフィリン環に囲まれているため、胃壁や腸管を荒らしにくく、食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害も受けにくいので非ヘム鉄より吸収されやすい。

 

3.正答
鉄の消化管からの吸収は、貯蔵鉄量の影響を受ける。

 

鉄の消化管からの吸収率は、体内の貯蔵量が少ない場合は高く、体内の貯蔵鉄量が多い場合は低くなる。

 

4.
「フェリチン」は、鉄を貯蔵する機能を持つ。

 

フェリチン(Ferritin):鉄結合性タンパク質の一種。生物の細胞内において、鉄と結合することにより鉄を保存し、必要なときに鉄を放出する。

シトクロム:酸化還元機能を持つヘム鉄を含有するヘムタンパク質の一種。電子伝達系の構成成分として機能する物質。

 

5.
「トランスフェリン」は、鉄の血中輸送を担う。

 

ミオグロビン:筋肉中にあるヘモグロビンに似たヘム蛋白質。酸素に対する親和性が大きく、筋組織中に酸素分子を必要な時まで貯蔵する色素タンパク質。
一般に動物の筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する。

 


B.正答5

 

1.
消化管における非ヘム鉄の吸収率は、ヘム鉄と比べて「低い」。

 

動物性食品から得られるヘム鉄の方が、植物性食品から得られる非ヘム鉄に比べて吸収性に優れ、非ヘム鉄より吸収率が5~6倍高い。
非ヘム鉄は腸管から吸収される際に食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害を受けることや、むき出しのまま吸収された鉄が胃壁や腸管を荒らすことがある。
ヘム鉄は鉄イオンがポルフィリン環に囲まれているため、胃壁や腸管を荒らしにくく、食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害も受けにくいので非ヘム鉄より吸収されやすい。


2.
消化管における非ヘム鉄の吸収率は、鉄欠乏により「上昇する」。

 

非ヘム鉄の消化管からの吸収率は、体内の貯蔵鉄量が少ない場合は高く、体内の貯蔵鉄量が多い場合は、低くなる。

 

3.
体内の総鉄量の大部分は、「機能鉄」として存在する。

 

体内の鉄は、酸素運搬機能や酵素機能を果たす「機能鉄」、鉄の貯蔵や輸送に使用される「貯蔵鉄」に分類され、大部分は機能鉄として存在する。

 

4.
体内の機能鉄の大部分は、「血液」に存在する。

 

体内の機能鉄の大部分は、血液中にヘモグロビンの形で存在している。

 

5.正答
赤血球の破壊で遊離した鉄は、ヘモグロビンの合成に再利用される。

 

赤血球は寿命(約120日)がくると脾臓等のマクロファージに貪食され、赤血球中のヘモグロビンは分解されてグロビンとヘムになります。
このうちグロビンはアミノ酸に分解され、タンパク質合成に再利用されます。
またヘムはさらに鉄とプロトポリフィリンに分離します。
鉄もグロビン同様にヘモグロビン等の合成に再利用されます。

 


C.正答5

 

1.
カルシウムの吸収は、脂肪により「抑制」する。

 

カルシウムの吸収を抑制するといわれている栄養素にはリンやシュウ酸、フィチン酸、脂肪などがある。
脂肪を過剰に摂取すると、吸収されなかった脂肪がカルシウムと結合して糞便中に排泄されてしまうため、カルシウムの吸収率の低下につながる。

 

2.
カルシウムの吸収は、リンにより「抑制」する。

 

体内で効率よく働くことのできるカルシウムとリンの摂取比率は1:1が理想とされている。カルシウムとリンが結びつくと、リン酸カルシウムとなり体の外へ排出されてしまう。

 

3.
カルシウムの吸収は、フィチン酸により「抑制」する。

 

フィチン酸はカルシウムと結合すると吸収が低減すると言われている。

 

4.
「非ヘム鉄」の吸収は、ビタミンCにより促進する。

 

非ヘム鉄の吸収は、たんぱく質・ビタミンC等で促進され、フィチン酸・食物繊維等で阻害される。
非ヘム鉄には2価鉄と3価鉄があり、腸管からは2価鉄で吸収される。3価鉄は胃酸(塩酸)やビタミンCの働きにより、2価鉄へと変換され吸収される。

 

5.正答
非ヘム鉄の吸収は、動物性たんぱく質により促進する。

 


今回は以上。

ヘム鉄・非ヘム鉄や非ヘム鉄の2価鉄3価鉄という言葉に惑わされないよう、しっかり整理して身に着けていきましょう!

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!