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糖質の代謝についての問題3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
 

A.糖質の代謝
に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.グリコーゲンホスホリラーゼは、グリコーゲンを加水分解する。
2.幹細胞内cAMP(サイクリックAMP)濃度の上昇は、グリコーゲン合成を促進する。
3.グルコース-6-ホスファターゼは、筋肉に存在する。
4.ペンストールリン酸回路は、NADHを生成する。
5.糖新生は、インスリンによって抑制される。
 

B.糖質・脂質代謝に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.腎臓は、糖新生を行わない。
2.筋肉は、糖新生を行なう。
3.インスリンは、肝細胞のグルコース輸送体(GLUT2)に作用する。
4.ホルモン感受性リパーゼの活性は、インスリンによって抑制される。
5.過剰なアルコール摂取により、血清トリグリセリド値は低下する。
 
 
C.糖質・脂質代謝に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.クエン酸回路では、糖新生が行われる。
2.グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解を促進する。
3.赤血球は、脂肪酸をエネルギー源として利用する。
4.HMG-CoA還元酵素は、脂肪酸合成における律速酵素である。
5.コレステロールエステル転送たんぱく質(CETP)は、コレステロールエステル化する。
 
 
 

続いて回答と解説。
 
 
 
 
 
A.正解5
 
1.
加水分解ではなく、加リン酸分解します。
 
ホスホリラーゼはグリコーゲン分子の末端の結合を、リン酸を加えることによって切断します。
その結果、グルコース-1-リン酸ができる。これを加リン酸分解という。
 
2.
合成ではなく「分解を促進」します。
 
cAMPが増加すればグリコーゲン合成酵素は不活性化され、ホスホリラーゼが活性化されるのでグリコーゲン分解が促進されるし、逆に、cAMPが減少するとグリコーゲン合成酵素が活性化され、ホスホリラーゼが不活性化されるのでグリコーゲン合成が促進される。
細胞内のcAMP濃度はホルモンによって調節されている。
例えば、
肝臓ではグルカゴンやアドレナリン・ノルアドレナリンの作用でcAMPが増加してグリコーゲン分解を促進する。
筋肉ではアドレナリン・ノルアドレナリンの作用でcAMPが増加してグリコーゲン分解を促進する。
 
多分ですが、試験レベルであれば「cAMP増加→分解促進」という関係性を覚えておけば大丈夫。
 
3.
グルコース-6-ホスファターゼは、「肝臓や腎臓」に存在します。
グルコース-6-ホスファターゼは、グルコース‐6‐リン酸からグルコースを生成する酵素です。
糖新生の際に関与します。
 
4.
ペントースリン酸回路とは、細胞質内で進行するグルコース-6-リン酸を出発点としリボース-5-リン酸等の5炭糖及びNADPHを生成する回路です。
 
NADH:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの事。解糖系およびクエン酸回路より糖あるいは脂肪酸の酸化によって還元物質NADHが得られる。
 
5.
正答
 

B.正解4
 
1.
腎臓は糖新生を行ないます。
グルコース-6-ホスファターゼは、「肝臓や腎臓」に存在します。
グルコース-6-ホスファターゼは、グルコース‐6‐リン酸からグルコースを生成する酵素です。
糖新生の際に関与します。
 
2.
筋肉は糖新生を行わないです。
筋肉には、グルコース-6-リン酸からグルコースを生成する酵素グルコース-6-ホスファターゼが存在しない」ため、糖新生は行われないです。
 
3.
インスリンは筋肉や脂肪組織のグルコース輸送体(GLUT4)に作用します。
 
GLUT:glucose transporter(糖輸送担体)の略。
GLUTグルコースブドウ糖)の促進拡散型輸送を行うトランスポーターであり、「輸送の際にエネルギーは消費しない」。
 
<参考>
GLUT1:胎児組織に広く表現。成人では、赤血球で最も高頻度に発現。すべての細胞で、呼吸を維持していくのに必要な最低限のグルコース取り込みに深く関わっている。
GLUT2:グルコースを輸送する腎の尿細管上皮細胞および小腸の上皮細胞、それに肝細胞と膵β細胞に発現。3種類の単糖類(グルコースガラクトース、フルクトース)はすべて、GLUT2によって小腸の粘膜上皮細胞から門脈循環へと輸送される。
GLUT3:おもに神経細胞胎盤に発現している。
GLUT4:脂肪組織と横紋筋(骨格筋および心筋)に見出される。
GLUT5:フルクトース、グルコースを輸送
GLUT7:小胞体外へグルコースを輸送
GLUT9:フルクトース、尿酸輸送を輸送。近位尿細管に存在。
GLUT11:フルクトース、グルコースを輸送
 
全部覚えなくてもいいよ。
GLUT1と2と4の発現場所(存在箇所でもいいかも)とインスリンの事と「輸送の際にエネルギー消費無し」という程度までしか出ないと思います。
 
4.
正答
インスリンは、脂肪組織中のトリアシルグリセロールを分解する「ホルモン感受性リパーゼ」の働きを抑制します。
そのため、体脂肪も増加する事になります。
 
5.
血清トリグリセリド値は上昇します。
肝臓が最優先の解毒するため、処理しきれなかったトリグリセリド(中性脂肪)も増加する事で脂肪肝リスクが高まります。
 

C.正解2
 
1.
クエン酸回路では糖新生は行われないです。
クエン酸回路では「NADH2」や「FADH2」の生成がされ、糖新生では「グルコース」の生成が行われます。
 
2.
グルカゴンとは29アミノ酸残基からなるペプチドホルモンの一種で、肝臓のグリコーゲン分解を促進し、血糖値を上昇させます。
 
3.
赤血球のエネルギー源は「グルコース」です。
赤血球は、ミトコンドリアを持たないため、細胞の活動に必要なエネルギーは、グルコースを嫌気的解糖により分解する事で得ています。
 
4.
HMG-CoA還元酵素は、「コレステロール」合成における律速酵素である。
 
HMG-CoA還元酵素:ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼ(レダクターゼ=還元酵素
 
CoA:補酵素AあるいはコエンザイムAの事。物にとって極めて重要な補酵素(助酵素)。
高脂血症薬の一つとして使われている酵素で、「スタチン」というコレステロール降下剤として用いられています。

5.
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、コレステロールエステル化します。
コレステロールエステル転送たんぱく質(CETP)は、HDLのエステル型コレステロールを、VLDLやLDLに受け渡す働きがあります。
言葉のイメージだけで正答にしないように気を付けてね。
 
<参照>
エステル:酸とアルコールとから、水を分離し縮合して生成する化合物の総称。酢酸とエチルアルコールとから得られる酢酸エチルなど。
 
エステル化:酸とアルコールからエステルを生成する反応。可逆反応であり、硫酸などの触媒を用いた、カルボン酸とアルコールの反応などが知られる。
 
HDL:高比重リポタンパク。善玉コレステロールとも呼ばれる。血管内皮など末梢組織に蓄積したコレステロールを肝臓に運ぶ働きがある。
 
VLDL:超低密度リポタンパク質 肝臓で生成されて血中に放出される。約1:5の割合でコレステロールとトリアシルグリセロール(TG)が含まれ、末梢組織にトリアシルグリセロール(TG)を供給する。
 
LDL:低密度リポタンパク質 リポタンパク質の中でコレステロール含有量が最も多く、末梢組織にコレステロールを供給する。
 
 
今回は以上。
出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!