栄養カウンセリングについての問題その1 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】
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A.栄養カウンセリングを行う上で、管理栄養士に求められる態度と倫理に関する記述である。正しいものを1つ。
1.クライアントの外見で、行動への準備性を判断する。
2.クライアントの課題を解決するための答えを、最初に提示する。
3.クライアントの情報を匿名化すれば、SNSに投稿できる。
4.管理栄養士が、主導権を持つ。
5.管理栄養士が、自らの心身の健康管理に努める。
B.半年前に配偶者を亡くし、食欲が低下したままの高齢期の男性に対する栄養カウンセリングである。ラポールの形成が期待できる管理栄養士の発言として、最も適切なものを1つ。
1.昨日、どのようなものを召し上がりましたか?
2.食事の量が不足してますから、もっと食べて元気になりましょう。
3.まだ半年ですから、食べる気力も出ませんよね。
4.もう半年たちますので、そろそろ気持ちを切り替えてみませんか?
C.偏食がひどい幼児に、食事のたびに叱ってしまうと話す母親への栄養カウンセリングである。母親に対し、共感的態度を示す管理栄養士の発言である。最も適切なものを1つ。
1.食事中は、子どもを叱らない方が良いですよ。
2.皆さんも、子育て中は子どもの偏食に悩んでいますよ。
3.幼児期の偏食は、あまり気にしなくて大丈夫ですよ。
4.せっかく作っても、食べてくれないとイライラしますよね。
D.経済的な困窮のために「子どもに十分な食事を食べさせてあげられない」と悲嘆している親への栄養カウンセリングにおける、共感的理解を示す記述である。正しいものを2つ。
1.「子どもに十分な食事を食べさせてあげられない事が辛いのですね。」と返す。
2.経済的に困窮している理由を尋ね、「それはお気の毒ですね」と伝える。
3.子どもの食事記録から、不足の可能性のある栄養素について説明する。
4.地域で開催されている、子ども食堂の場所と参加方法を紹介する。
5.親が言葉を詰まらせた時に、うなずきながら「ゆっくりで良いですよ」と言う。
続いて回答と解説。
A.正答5
1.
クライアントの外見で、行動への準備性を判断する。
外見だけで判断するのは不適切だし、意味がない。
2.
クライアントの課題を解決するための答えを、最初に提示する。
カウンセリングでは、クライアントが自ら問題点に気が付き、解決しようとする事が重視される。
3.
クライアントの情報を匿名化すれば、SNSに投稿できる。
匿名化しても不適切だし、するのであれば事前に内容について許可は必要だと考えられる。そもそも守秘義務があるので、基本はしないし出来ない。
4.
管理栄養士が、主導権を持つ。
カウンセリングの主導権は、クライアントが持つ方が上手くいく。
5.正答
管理栄養士が、自らの心身の健康管理に努める。
不健康な人が健康について説いたところで、説得力が生まれない。
B.正答3
ラポール(信頼関係)の形成を促すためには、共感的理解を示す事が最適であると言える。
共感的理解:相手と同じ立場に立ち、同じ価値観・人生観で感じようとする事
3.まだ半年ですから、食べる気力も出ませんよね。
C.正答4
4.せっかく作っても、食べてくれないとイライラしますよね。
管理栄養士の発言としては、幼児の偏食に対する母親の苛立ちに共感した態度を示す事が最適であると言える。
D.正答1と5
1.
「子どもに十分な食事を食べさせてあげられない事が辛いのですね。」と返す。
クライアントの言葉を反復する事で、共感的理解を示す事が出来る。
5.
親が言葉を詰まらせた時に、うなずきながら「ゆっくりで良いですよ」と言う。
うなずく事でクライアントの気持ちを理解している態度を示す事が出来、共感的理解に繋がる。
この経済的な困窮という内容で、共感的理解を示したとしても、管理栄養士単独で解決するのは限界がある(範疇を超える)と感じる。
今回は以上。
カウンセリングの内容の問題ではなく、カウンセリング時の話法・アプローチ方法についての問題ですが、実際の現場ではこのような対応だけではないですからね。
そこがやっていて難しい部分でもあり、結果として前向きになってくれるような考え方を伝達出来ればいいのかなと感じます。
杓子定規的な感じにならないようには気を付けていかないといけないですね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
頑張っていきましょう!!