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行動科学の倫理とモデルについての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
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A.被災地におけるコミュニティオーガニゼイションに関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.陸上自衛隊が炊き出しを始めた。
2.被災経験者が救援物資を送った。
3.管理栄養士が食物アレルギーを持つ子供に対して支援を行った。
4.被災者が仮設住宅の敷地内に談話喫茶を立ち上げた。
5.職能団体が災害支援チームリーダーを派遣した。

 

 

B.大企業において、社員の健康づくりのための減塩行動の普及を目的に、新たな取り組みを行なう事となった。社内で減塩行動を早く普及させるための、イノベーション普及理論に基づく初期活動である。最も適切なものを1つ。

 

1.全社員に減塩の意義を記載したリーフレットを配布する。
2.全社員に、減塩の意義を社内メールで知らせる。
3.部署ごとに、順次減塩教育を行う。
4.部長を集め、減塩教育を行う。

 

 

C.イノベーション普及理論によれば、イノベーションの普及には、相対的優位性、適合性、わかりやすさ(複雑性)、試行可能性、可観測性の5つの条件が関係する。管理栄養士が新たに作成した離乳食メニュー集を、速やかに普及させるために、相対的優位性を活用した内容である。正しいものを1つ。

 

1.メニュー集を使って試作した人の例を、SNSで公開する。
2.メニュー集を使った離乳食教室への参加を呼び掛ける。
3.よく使う調理器具で作れることをアピールする。
4.これまでの離乳食よりも、経済的に作れることをアピールする。
5.時間のある時に作り置きし、保存する方法を説明する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答4

 

4.被災者が仮設住宅の敷地内に談話喫茶を立ち上げた。

 

コミュニティオーガニゼーション:地域住民の自主的な活動をさす

被災地に住む被災者が、自主的に談話喫茶という組織を立ち上げる事は、これに該当する。

 


B.正答4

 

4.部長を集め、減塩教育を行う。

 

イノベーション普及理論:新しい情報や技術などを普及させていくために用いられる

社員への減塩行動を普及させるには、社会的立場の高い部長に減塩教育を行い、減塩行動を実践してもらう事が最適であると考えられる。

 

追記
イノベーションとは、新商品、新技術、アイデアなどなど、あらゆる新しいものを指す。
イノベーションが登場したときに、それがどのように普及していくかのプロセスと要因を整理した理論で、すぐに採用する人をイノベーターやアーリーアダプターと呼びます。

 

イノベーター:新しいものを進んで採用し、目新しいものを好む。自己満足タイプだが、多大な影響力を及ぼす場合がある。

 

アーリーアダプター:流行に敏感。情報収集も行い、他者への影響力も大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。影響力の差はある。

 

今回の設問での着目点は「大企業」、「イノベーション普及理論に基づく初期活動」の2点。

「大企業」=大勢の社員という考えでの問題設定だと思います。社員全体に向け減塩の情報を伝達した場合、イノベーターが存在する可能性はありますが、アーリーアダプターになってくれるとは限りません。
初期活動という点では、より影響力のあるアーリーアダプターの登場に期待しますので、大企業の部長職ともなればその可能性は大きくなり、普及率も期待できる。

 

という事で、この問題の正答は4となるが、少し強引だと感じる設問・選択肢だと思います。
減塩教育を部長にやった所で、部下が従うか・結果に繋がりやすいかというと、それは難しいと思います。

 

個人的にはね。

 

 

C.正答4

 

イノベーション普及理論>
エベレット・ロジャースのイノベーター理論で明確にした5つの採用者カテゴリーは有名ですが、その理論の中でロジャースは商品が普及する要件を5つあげています。

 

相対的優位性:既存のものより優れていると知覚される度合いで、今まで使っていたものに比べ、いかに優れているかの要件。

適合性(両立可能性):既存の価値観や必要性と相反しないと知覚される度合いで、当面はこれまで使っていたものと併用・両立ができる要件。

 

複雑性:理解や使用が困難だと知覚される度合いで、その構造などが理解できないほど複雑ではない要件。

試行可能性:試しに経験できる度合いで、本格的な導入の前に効果を認識できる要件。

 

可観測性(観察可能性):採用して使用した結果が他人の目に触れる度合いで、効果が目に見えて観察できる度合。

 

1.
メニュー集を使って試作した人の例を、SNSで公開する。

 

可観測性に該当。
SNSで離乳食の公開→他者への情報提供・人へ見せる事に繋がる

 

2.
メニュー集を使った離乳食教室への参加を呼び掛ける。

 

試行可能性に該当。
世間に普及させる前に、離乳食教室での反応を試している。

 

3.
よく使う調理器具で作れることをアピールする。

 

複雑性に該当。
よく使う調理器具で作れるという簡単さ、手軽さをアピールしている。

 

4.正答
これまでの離乳食よりも、経済的に作れることをアピールする。

 

これまでの離乳食と比較し、安価(経済的に優れている)である部分を比較してアピールしている。

 

5.
時間のある時に作り置きし、保存する方法を説明する。

 

適合性に該当。
離乳食を作り置きしたいという人(行動)に合わせている。

 

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!