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手術・周術期の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.消化管手術と合併症の組み合わせである。正しいものを2つ。

 

1.胃切除     ――― 乳酸アシドーシス
2.十二指腸切除  ――― 葉酸欠乏
3.小腸広範囲切除 ――― 下痢
4.回腸切除    ――― ビタミンB12欠乏
5.回盲部切除   ――― ビタミンC欠乏

 

 

B.消化器手術とその合併症の組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.食道切除 ――― 脂肪吸収障害
2.胃全摘  ――― 巨赤芽球性貧血
3.胆嚢摘出 ――― 低血糖
4.膵臓切除 ――― 嚥下障害
5.直腸切除 ――― ダンピング症候群

 

 

C.消化器手術とそれにより引き起こされる障害リスクの組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.食道切除 ――― ビタミンA吸収障害
2.胃全摘  ――― 骨粗鬆症
3.直腸切除 ――― 巨赤芽球性貧血
4.大腸切除 ――― ダンピング症候群
5.胆嚢摘出 ――― ビタミンB1の吸収障害

 

 

D.消化管手術後の病態とその栄養管理の組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.食道がんの術後         ――― 少量頻回食
2.胃切除後の早期ダンピング症候群 ――― 高炭水化物食
3.胃切除後の後期ダンピング症候群 ――― 低カリウム
4.小腸の大量切除後        ――― 低たんぱく質
5.S状結腸がんの術後       ――― 水分制限

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答3と4

 

1.
胃切除     ――― 「ビタミンB12欠乏」

 

胃切除により「キャッスル内因子」が欠乏し、ビタミンB12吸収障害が起こる。

 

<乳酸アシドーシス>
乳酸が何らかの原因により蓄積して生じるアシドーシスで、致死率が約50%と高く、早急な対応が求められる病態。ショックなどの全身状態の悪い患者、糖尿病、肝不全、腎不全、悪性腫瘍などの全身疾患を有する患者、アルコール中毒患者、ビグアナイド薬を内服中の患者が消化器症状を訴えていれば乳酸アシドーシスの発症を疑う必要がある。さらに、意識障害を伴っている場合は緊急度が高い。

 

2.
十二指腸切除  ――― 「脂肪吸収障害など」

 

十二指腸では、脂質・たんぱく質・糖質代謝に必要な胆液・膵液が分泌されにくくなるため、脂肪を主とした栄養素吸収障害が起きやすくなる。

 

3.正答
小腸広範囲切除 ――― 下痢

 

小腸が短くなるため、栄養素・水分吸収能力が低下し、下痢が出現する。

 

4.正答
回腸切除    ――― ビタミンB12欠乏

 

ビタミンB12は主に回腸から吸収されるため、回腸・回盲部切除ビタミンB12吸収障害が起こる。

 

5.
回盲部切除   ――― 「ビタミンB12欠乏」

 


B.正答2

 

1.
「胆嚢摘出」 ――― 脂肪吸収障害

 

2.正答
胃全摘  ――― 巨赤芽球性貧血

 

胃切除により「キャッスル内因子」が欠乏し、ビタミンB12吸収障害が起こる。

 

3.
膵臓切除」 ――― 低血糖

 

膵臓切除によるグルカゴン分泌能低下により、低血糖をきたす。

 

4.
「食道切除」 ――― 嚥下障害

 

5.
「胃切除」 ――― ダンピング症候群

 

ダンピング症候群は、胃切除後、摂取した食物が急速に小腸に流入するために起こる。
食事中や直後(30分程度)にみられる早期と、食後2~3時間たってみられる後期(晩期)に分けられる。

 

 

C.正答2

 

1.
「小腸広範囲切除」 ――― ビタミンA吸収障害

 

小腸広範囲切除 → 下痢リスク上昇 → ビタミン・ミネラル吸収能低下 → 欠乏症リスク増

 

2.正答
胃全摘  ――― 骨粗鬆症

 

胃全摘では、胃酸によるカルシウムのイオン化が障害されるため、骨粗鬆症の発症リスクが高くなる。

 

3.
「胃全摘」 ――― 巨赤芽球性貧血

 

胃切除により「キャッスル内因子」が欠乏し、ビタミンB12吸収障害が起こる。

 

4.
「胃全摘」 ――― ダンピング症候群

 

ダンピング症候群は、胃切除後、摂取した食物が急速に小腸に流入するために起こる。
食事中や直後(30分程度)にみられる早期と、食後2~3時間たってみられる後期(晩期)に分けられる。

 

5.
「小腸広範囲切除」 ――― ビタミンB1の吸収障害

 

小腸広範囲切除 → 下痢リスク上昇 → ビタミン・ミネラル吸収能低下 → 欠乏症リスク増

 

胆嚢摘出時:胆汁分泌低下 → 脂溶性栄養素の吸収障害が起こる。

 


D.正答1

 

1.正答
食道がんの術後         ――― 少量頻回食

 

食道がん術後は食道通過障害が起こりやすいため、少量頻回食とする。

 

2.
胃切除後の早期ダンピング症候群 ――― 「低炭水化物食」

 

<早期ダンピング症候群>
食物が腸に急速に流れ込むことで起こる。主な症状は、動悸、めまい、冷汗、顔面紅潮、全身倦怠感など。腹痛、下痢、悪心、嘔吐などの腹部症状がみられる場合もある。

 

3.
胃切除後の後期ダンピング症候群 ――― 「低炭水化物食」

 

<後期(晩期)ダンピング症候群>
食物が腸に移動し、短時間で吸収されるため、一時的に高血糖になる。これに反応してインスリンが多く分泌され、低血糖が起こる。
症状としては、食後2~3時間たって、頭痛や倦怠感、冷汗、めまい、手指のふるえなどが現れる。

 

4.
小腸の大量切除後        ――― 「低脂肪食」

 

小腸大量切除により、脂肪吸収障害が起こるため、摂取量を制限する。

 

5.
S状結腸がんの術後       ――― 「水分制限は不要」

 

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!