呼吸器疾患の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】
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A.進行した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の栄養アセスメントの結果である。正しいものを1つ。
1.体重の増加
2.安静時エネルギー消費量の増加
3.%1秒量の上昇
4.動脈血酸素分圧(PaO₂)の上昇
5.血清トランスサイレチン値の上昇
B.慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の病態と栄養管理に関する記述である。誤っているものを1つ。
1.体重減少のある患者は、予後が悪い。
2.安静時エネルギー消費量は、亢進している。
3.分割食を勧める。
4.低たんぱく質食を勧める
5.高脂肪食を勧める。
C.70歳男性。慢性閉塞性肺疾患(COPD)。身長170㎝、体重45㎏。基礎代謝量は1125㎉/日で、半年前と比較して5㎏の体重減少がみられた。栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。
1.高度栄養障害である。
2.エネルギー摂取量は、900㎉/日とする。
3.たんぱく質のエネルギー比率は、10%Eとする。
4.脂質のエネルギー比率は、15%Eとする。
5.経腸栄養剤の使用は、禁忌である。
続いて回答と解説。
A.正答2
1.
体重の「減少」
エネルギー消費量増加・食欲不振により、体重減少がみられる。
2.正答
安静時エネルギー消費量の増加
呼吸運動が活発となるため、安静時エネルギー消費量が増加する。
酸素の取り込みが難しくなるから、呼吸が荒くなるという感じです。
3.
%1秒量の「低下」
%1秒量:努力肺活量のうち、最初の1秒間に吐き出せる空気の量の割合の事。
慢性閉塞性肺疾患では、十分に息を吐きだす事が出来ないため、%1秒量が低下する。
4.
動脈血酸素分圧(PaO₂)の「低下」
肺胞でのガス交換障害により、動脈血酸素分圧の低下・動脈血二酸化炭素分圧の上昇が起こる。
5.
血清トランスサイレチン値の「低下」
エネルギー消費量増加・食欲不振により低栄養状態となる。たんぱく質合成能指標となる血清トランスサイレチン値が低下する。
B.正答4
1.
体重減少のある患者は、予後が悪い。
予後:病気にかかった者について、その病気がたどる経過と結末に関する、医学上の見通し。
2.
安静時エネルギー消費量は、亢進している。
呼吸運動が活発となるため、安静時エネルギー消費量が亢進する。
3.
分割食を勧める。
1回当たりの食事摂取量が減少するため、分割食としエネルギー量を確保する。
4.正答
「高たんぱく質食」を勧める
体タンパク質の異化を防ぐため、高タンパク質食とする。
5.
高脂肪食を勧める。
COPDでは、二酸化炭素の排出機能が低下している。
脂質は、エネルギー産生に伴う二酸化炭素生成量が少ないため、摂取量を増加させる。
C.正答1
1.正答
高度栄養障害である。
BMI15.6(低体重)であり、半年で10%の体重減少がみられる事から、高度栄養障害であると判断する。
2.
エネルギー摂取量は、「2200㎉/日」とする。
高エネルギー食(35㎉/㎏標準体重/日)とする。
3.
たんぱく質のエネルギー比率は、「15%E程度」とする。
4.
脂質のエネルギー比率は、「20~30%E」とする。
5.
経腸栄養剤の使用は、「認められている」。
今回は以上。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
頑張っていきましょう!!