摂食障害の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】
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A.神経性食欲不振症に関する記述である。誤っているものを1つ。
1.好発年齢は、30歳以下である。
2.過食行動がみられる。
3.月経異常がみられる。
4.やせを起こす器質性疾患がない。
5.リフィーディング症候群をきたす事はない。
B.神経性やせ症(神経性食欲不振症)の症候である。正しいものを1つ。
1.血清トリヨードサイロニン(T₃)値の上昇
2.高カリウム血症
3.頻脈
4.食行動異常
5.活動量の低下
C.22歳女性。神経性やせ症。嘔吐や下痢を繰り返し、2週間以上ほとんど食事摂取が出来ず入院となった。この患者の病態および栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。
1.インスリンの分泌が亢進する。
2.無月経がみられる。
3.高カリウム血症がみられる。
4.エネルギーの摂取量は、35㎉/㎏標準体重/日から開始する。
5.経腸栄養剤の使用は禁忌である。
D.23歳女性。身長150㎝、体重34㎏(標準体重50㎏)、BMI15.0。2週間以上ほとんど摂食できていない、神経性やせ症の患者である。緊急入院させ、静脈栄養管理となった。輸液開始時に投与する1日当たりのエネルギー量である。最も適切なものを1つ。
1.500㎉/日
2.1000㎉/日
3.1500㎉/日
4.2000㎉/日
続いて回答と解説。
A.正答5
5.リフィーディング症候群をきたす事「がある」。
リフィーディング症候群とは、低栄養状態に陥った患者に対し、急速に栄養補給を行なう事で起こる電解質異常を指す。
低リン・低カリウム・低マグネシウム血症等が起こる。
重症患者に急速に大量の糖質を与えると、最悪死に至る事もある。
B.正答4
1.
血清トリヨードサイロニン(T₃)値の「低下」
低栄養状態にあるため、甲状腺ホルモン分泌量が低下する。
2.
「低」カリウム血症
事故誘発性嘔吐や下剤・利尿薬の乱用等による水分喪失により、循環血液量が減少する。
循環血液量を改善するため、アルドステロン分泌が亢進し、低カリウム血症を引き起こす事がある。
<アルドステロン>
副腎でつくられ分泌されるホルモンで、ナトリウムをより多く保持し、カリウムをより多く排出するよう腎臓に信号を送る。
アルドステロンの分泌は一部では 副腎皮質刺激ホルモン(下垂体から分泌されるホルモン)によって調節されているが、主にレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系によって調節されている。
アルドステロン値が高いと高血圧とカリウム濃度の低下が起こり、脱力感、チクチク感、筋肉のけいれん、一時的な麻痺が生じることがある。
3.
「徐脈」
<徐脈>
脈が遅くなる不整脈で、通常1分間の脈拍が60回未満になることを言う。
脈拍が少ないため、心臓は日常生活や運動に必要な酸素を体中に行き渡らせることができず、めまいや息切れを起こす
4.正答
食行動異常
5.
活動量の「上昇」
神経性やせ症には以下の2種類がある。
摂食制限型:食べる量を制限するが、定期的に過食や排出行動(例えば、意図的に嘔吐する[自己誘発性嘔吐と呼ばれる]、下剤を服用する)を行うことはない。過度に運動をする患者もいる。
過食・排出型:食事を制限するが、定期的な過食や排出行動もみられる。
C.正答2
1.
インスリンの分泌が「低下する」。
摂食量減少に伴う低栄養により、消化管機能やインスリン分泌能が低下する。
2.正答
無月経がみられる。
3.
「低」カリウム血症がみられる。
4.
エネルギーの摂取量は、「500㎉/日程度」から開始する。
長期間の絶食状態の患者に対し、急激な栄養投与を行なうとリフィーディング症候群を発症する可能性がある。特に静脈栄養で発症リスクが高く、リフィーディング症候群発症予防のため、投与開始時のエネルギー量は500㎉/日程度とし、徐々に投与量を増加させていく。
5.
経腸栄養剤の使用は「可能」である。
D.正答1
1.500㎉/日
今回は以上。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
頑張っていきましょう!!