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消化器疾患の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題その4 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.消化器疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.脂肪肝では、肝細胞内にコレステロールが過剰に蓄積する。
2.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、インスリン抵抗性が増大する。
3.急性胆嚢炎では、血清CRP(C反応性たんぱく質)値が低下する。
4.急性膵炎急性期では、尿中アミラーゼ値が低下する。
5.慢性膵炎非代償期では、グルカゴン分泌が亢進する。

 

 

B.消化器疾患の栄養管理に関する記述である。正しいものを2つ。

 

1.急性肝炎の黄疸時には、脂質の摂取量を増やす。
2.C型慢性肝炎では、鉄の摂取量を減らす。
3.肝性脳症では、芳香族アミノ酸の摂取量を増やす。
4.急性胆嚢炎では、脂質の摂取量を減らす。
5.急性膵炎の急性期には、たんぱく質の摂取量を増やす。

 

 

C.消化器疾患の栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.急性肝炎の黄疸時では、たんぱく質の摂取量を制限する。
2.C型慢性肝炎では、鉄の摂取量を増やす。
3.胆石症では、食物繊維の摂取量を制限する。
4.急性胆嚢炎では、脂質の摂取量を制限する。
5.急性膵炎では、脂質の摂取量を増やす。

 

 

D.消化器疾患とその栄養管理の組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.胃・十二指腸潰瘍           ―――  炭水化物制限
2.たんぱく質漏出性胃腸症        ―――  たんぱく質制限
3.C型慢性肝炎             ―――   鉄制限
4.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)  ―――  食物繊維制限
5.胆石症                ―――  水分制限

 

 

E.非代償期の慢性肝炎における病態および栄養管理に関する記述である。正しいものを2つ。

 

1.腹部疼痛が増強する。
2.低血糖を起こしやすい。
3.飲酒を許可する。
4.たんぱく質摂取量を制限する。
5.中鎖脂肪酸を食事に利用する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答2

 

1.
脂肪肝では、肝細胞内に「中性脂肪」が過剰に蓄積する。

 

2.正答
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、インスリン抵抗性が増大する。

 

非アルコール性脂肪肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
明らかな飲酒歴がなく、肥満とそれに基づくインスリン抵抗性の増大が主な病因となる脂肪性肝疾患のうち、進行性の予後不良なものをいう。

 

3.
急性胆嚢炎では、血清CRP(C反応性たんぱく質)値が「上昇する」。

 

血清CRP値は炎症マーカーであるため、急性胆嚢炎で数値は上昇する。

 

4.
急性膵炎急性期では、尿中アミラーゼ値が「上昇する」。

 

急性膵炎の急性期では、膵細胞からの酵素逸脱により、血中及び尿中のアミラーゼ値・リパーゼ値が上昇する。

 

5.
慢性膵炎非代償期では、グルカゴン分泌が「低下する」。

 

慢性膵炎非代償期では、膵臓の内分泌腺の機能低下により、グルカゴンの分泌が低下する。

 


B.正答2と4

 

1.
急性肝炎の黄疸時には、脂質の摂取量を「制限する」。

 

肝障害により脂質の乳化に必要な胆汁の合成が低下するため、脂質を制限する。

 

2.正答
C型慢性肝炎では、鉄の摂取量を減らす。

 

C型慢性肝炎では、鉄の代謝臓器である肝臓に、鉄の過剰沈着が起こる。その過剰な鉄は、活性酸素を産生し、肝炎症状を悪化させるため鉄を制限する。

 

3.
肝性脳症では、芳香族アミノ酸の摂取量を「制限する」。

 

芳香族アミノ酸を制限し、分枝アミノ酸を投与してフィッシャー比を高くする事が必要。

 

4.正答
急性胆嚢炎では、脂質の摂取量を減らす。

 

脂質の多い食品や卵などの食品を制限し、胆のう、胆管の収縮を起こさないようにして発作の予防・膵液分泌の刺激を抑える。

 

5.
急性膵炎の急性期には、「絶食とする」。

 

急性膵炎の場合、膵臓の安静をはかるために絶飲食とし、輸液により水分と栄養を補給するのが原則となる。

 


C.正答4

 

1.
急性肝炎の黄疸時では、「脂質の摂取量」を制限する。

 

肝障害により、脂質の乳化に必要な胆汁の合成が低下するため。

 

2.
C型慢性肝炎では、鉄の摂取量を「制限する」。

 

C型慢性肝炎では、鉄の代謝臓器である肝臓に、鉄の過剰沈着が起こる。その過剰な鉄は、活性酸素を産生し、肝炎症状を悪化させるため鉄を制限する。

 

3.
胆石症では、食物繊維の摂取量を「増やす」。

 

食物繊維を摂取することで、コレステロールの排泄が促進され、胆石症の原因となるコレステロール結石生成の抑制をする事が出来る。

 

4.正答
急性胆嚢炎では、脂質の摂取量を制限する。

 

5.
急性膵炎では、脂質の摂取量を「制限する」。

 

急性期では絶食し、回復期は脂質制限食とする。

 

 

D.正答3

 

1.胃・十二指腸潰瘍           ―――  「脂質制限」

 

胃内滞留時間の長い脂質は制限する

 

2.たんぱく質漏出性胃腸症        ―――  たんぱく質「摂取」

 

喪失したたんぱく質補給のため、摂取量を増加させる

 

3.正答  C型慢性肝炎             ―――   鉄制限

 

C型慢性肝炎では、鉄の代謝臓器である肝臓に、鉄の過剰沈着が起こる。その過剰な鉄は、活性酸素を産生し、肝炎症状を悪化させるため鉄を制限する。

 

4.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)  ―――  食物繊維「摂取」

 

栄養の過剰摂取による内臓脂肪蓄積を予防するため、食物繊維を摂取する

 

5.胆石症                ―――  水分「摂取」

 

水分の摂取不足は、胆石発生リスクを高めるため、積極的に摂取する

 


E.正答2と5

 

1.
腹部疼痛(とうつう)が「減弱する」。

 

消化酵素を含む膵液の分泌量が減少し、膵臓の自己消化が抑制されるため、疼痛は減弱する。

 

2.正答
低血糖を起こしやすい。

 

非代償期の慢性膵炎では、膵内分泌機能低下により、グルカゴンとインスリンの分泌不全が起こる。そのため、低血糖高血糖が出現しやすくなる。

 

3.
「禁酒とする」。

 

アルコール摂取により非代償期から代償期に移行しやすくなるため、原則禁酒。

 

4.
たんぱく質を「不足しないよう摂取する」。

 

三大栄養素の内、制限が必要なものは脂質。たんぱく質・炭水化物については、不足しないよう摂取する。

 

5.正答
中鎖脂肪酸を食事に利用する。

 

中鎖脂肪酸は、膵臓から分泌されるリパーゼの作用を受けずに吸収することができるため、負担をかけにくい。

 

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!