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消化器疾患の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題その2 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.腸疾患の栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.たんぱく質漏出性胃腸症では、たんぱく質摂取量を制限する。
2.クローン病では、カリウム摂取量を制限する。
3.クローン病では、脂質摂取量を制限する。
4.潰瘍性大腸炎では、水溶性食物繊維摂取量を制限する。
5.過敏性腸症候群では、中心静脈栄養を行う。

 

 

B.腸疾患の栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.過敏性腸症候群では、カリウムの摂取量を制限する。
2.潰瘍性大腸炎では、エネルギーの摂取量を制限する。
3.潰瘍性大腸炎では、葉酸の摂取量を制限する。
4.クローン病では、脂質の摂取量を制限する。
5.クローン病では、ビタミンB12の摂取量を制限する。

 

 

C.炎症性腸疾患に関する記述である。誤っているものを1つ。

 

1.クローン病では、抗TNF-α抗体製剤が使用される。
2.クローン病活動期では、成分栄養剤が有効である。
3.クローン病寛解期(かんかいき)では、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を勧める。
4.潰瘍性大腸炎では、5-アミノサリチル酸製剤が使用されている。
5.潰瘍性大腸炎寛解期では、たんぱく質の摂取量を制限する。

 

 

D.潰瘍性大腸炎に対して、サラゾスルファピリジンを使用することで吸収が低下する栄養素である。正しいものを1つ。

 

1.ビタミンK
2.ビタミンB1
3.葉酸
4.パントテン酸
5.ビタミンC

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答3

 

1.
たんぱく質漏出性胃腸症では、たんぱく質摂取量を「増加させる」。

 

<淡白漏出性胃腸症>
消化管粘膜からの血漿蛋白、特にアルブミンの胃腸管腔への異常漏出によって起こる低蛋白血症を主徴とする症候群です。
蛋白漏出の原因にはクローン病潰瘍性大腸炎、メネトリエ病、アレルギー性胃腸炎リンパ系の異常などがあり、むくみ、浮腫、下痢、悪心、貧血、腹痛などの症状を引き起こす場合がある。

 

2.
クローン病では、カリウム摂取量を「増加させる」。

 

下痢によるカリウムの喪失が起こるため、カリウム摂取量を増加させる。

 

3.正答
クローン病では、脂質摂取量を制限する。

 

脂質は消化吸収に時間を要するため、消化管への負担が大きくなるから。

 

4.
潰瘍性大腸炎では、水溶性食物繊維摂取量を「摂取する」。

 

水溶性食物繊維は、便の固形化・腸内フローラ(腸内細菌叢)の改善に有効らしい。

 

5.
過敏性腸症候群では、「暴飲暴食を避けて、規則正しい食生活とする」。

 


B.正答4

 

1.
過敏性腸症候群では、カリウムの摂取量を「増やす」。

 

下痢によるカリウムの喪失が起こるため、カリウム摂取量を増加させる。

 

2.
潰瘍性大腸炎では、エネルギーの摂取量を「増やす」。

 

炎症によりエネルギー消費量が増大するため、エネルギー摂取量を増やす。

 

3.
潰瘍性大腸炎では、葉酸の摂取量を「増やす」。

 

葉酸は、たんぱく質合成に必要なDNAの合成に関わる。炎症により破壊された組織の再生を促すため、葉酸摂取量を増加させる。

 

4.正答
クローン病では、脂質の摂取量を制限する。

 

脂質は消化吸収に時間を要するため、消化管への負担が大きくなるから。

 

5.
クローン病では、ビタミンB12の摂取量を「増やす」。

 

クローン病の好発部位は回腸。回腸からのビタミンB12吸収量が低下するため、摂取量を増加させる。

 


C.正答5

 

1.クローン病では、抗TNF-α抗体製剤が使用される。

 

抗TNF-α抗体製剤:TNF-αは炎症を引き起こすため、この製剤を投与して炎症反応を抑制する。抗炎症剤

 

2.クローン病活動期では、成分栄養剤が有効である。

 

活動期では、消化管への負担を軽減するため成分栄養剤を用いる。

 

3.クローン病寛解期では、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を勧める。

 

n-3系多価不飽和脂肪酸:炎症を抑える効果があるため

 

4.潰瘍性大腸炎では、5-アミノサリチル酸製剤が使用されている。

 

5-アミノサリチル酸製:活性酸素の除去・ロイコトリエン合成抑制→炎症反応を抑制

 

↓試験ではここまで求められないけど、参考程度に。
<ロイコトリエン>
生理活性物質(ケミカルメディエーター)の一つで、脂肪酸代謝によって生じるエイコサノイド(エイコサン酸(アラキドン酸)を骨格に持つ化合物ないしその誘導体の総称)の一種。
ロイコトリエンは炎症反応において重要な役割を持つ。
例えば、好中球の走化性を活性化し、気管支収縮作用、血管拡張作用、血管透過性の亢進などを担う 。

 

5.正答
潰瘍性大腸炎寛解期では、たんぱく質の摂取量を「増加する」。

 

体タンパク質の異化を防ぐため、高蛋白質食とする。

 


D.正答3

 

3.葉酸

 

<サラゾスルファピリジン

腸内細菌の作用で5-アミノサリチル酸とスルファピリジンに分解する。5-アミノサリチル酸が活性代謝物と考えられており、腸管の粘膜下結合組織に蓄積し、抗炎症作用を発現する。
また、T細胞及びマクロファージにも作用して炎症を抑制することで抗リウマチ作用も示す。
活性酸素の消去、LTB4生合成の抑制、肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制、血小板活性化因子の生合成抑制、インターロイキン1-βの産生抑制の関与が認められている。

 

副作用として、低血糖葉酸吸収低下があり、葉酸欠乏に伴う貧血を引き起こす可能性が高まる。

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!