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肥満と代謝疾患の栄養アセスメントと栄養ケアについての問題その1 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.成人の肥満に関する記述である。正しいものを2つ。

 

1.内臓脂肪型肥満は、内臓脂肪面積が100㎠以上をいう。
2.体脂肪量の評価は、血清LDL-コレステロール値を用いる。
3.減量により、血中レプチン値は上昇する。
4.超低エネルギー食(VLCD)は、医療監視下で行う。
5.エネルギーの摂取量は、35~40㎉/㎏標準体重/日とする。

 

 

B.肥満症に関する記述である。正しいものを2つ。

 

1.高度肥満症は、BMI30以上を言う。
2.高度肥満症の治療には、外科療法がある。
3.除脂肪体重の減少を目指す。
4.超低エネルギー食(VLCD)は、600㎉/日以下である。
5.VLCDによる治療では、乳酸アシドーシスを生じやすい。

 

 

C.45歳男性。事務職。身長170cm、体重75㎏、BMI26.0、腹部CT測定により内臓脂肪面積110㎠であった。血圧125/80mmHg。空腹時血液検査値は、血糖100㎎/dl、トリグリセリド140㎎/dl。その他、特別な健康障害はみられない。この患者の病態と栄養管理に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.肥満症である。
2.メタボリックシンドロームである。
3.脂質異常症と診断される。
4.エネルギー摂取量は、35㎉/㎏標準体重/日とする。
5.1カ月に10%の減量を目標とする。

 

 

D.超低エネルギー食(VLCD)に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.外来通院治療とする。
2.6カ月以上継続する。
3.インスリン治療中の患者は、禁忌である。
4.1,000㎉/日である。
5.水分摂取量を制限する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答1と4

 

1.正答
内臓脂肪型肥満は、内臓脂肪面積が100㎠以上をいう。

 

<内臓脂肪型肥満>
肥満タイプのひとつで、腹腔内の腸のまわりに脂肪が過剰に蓄積している状態。比較的男性に多くみられる。

 

内臓脂肪型肥満を高血糖・脂質異常・高血圧などの上流に置き、内臓脂肪の蓄積を防ぐことが心臓病をはじめとする生活習慣病の予防につながる、と考えたのがメタボリックシンドロームの概念です。
このためメタボリックシンドロームの診断基準では、内臓脂肪の蓄積を必須項目としています。この場合の内臓脂肪蓄積とは、CTスキャンでおへその位置で体を輪切りにしたときの内臓脂肪面積が100cm2を超えているものを指し、これに相当する簡便な目安としてウェスト周囲径(男性85cm以上、女性90cm以上)が採用されています。

 

2.
体脂肪量の評価は、「BMI体脂肪率」を用いる。

 

3.
減量により、血中レプチン値は「低下する」。

 

レプチンは脂肪細胞から分泌されるため、減量などにより脂肪細胞が減少すると、血中レプチン値は低下する。

 

4.正答
超低エネルギー食(VLCD)は、医療監視下で行う。

 

超低カロリー食療法(very low calorie diet)
高度肥満症(BMI 35.0以上)の治療に用いられる、1日600 kcal以下という極端な低エネルギー食。
絶対的なエネルギーの不足によりケトン体が蓄積し、アシドーシスを生じやすい。身体に与える影響が大きいため使用は3週間までとし、医師の管理下で行われる。

<禁忌> インスリン治療中の患者

 

5.
エネルギーの摂取量は、「25~30㎉/㎏標準体重/日」とする。

 

肥満(25≦BMI<35)では、一日の摂取エネルギーの算定基準は、25~30kcal×標準体重(kg)以下です。
3~6ケ月で、現在の体重から3%以上の体重減少を目指します(施設により数字は前後する)。

 

高度肥満(BMI≧35)では、一日の摂取エネルギーの算定基準は、20~25kcal×標準体重(kg)以下です。
その他合併症等に応じて、現在の体重から5~10%の体重減少を目指します(施設により数字は前後する)。

 

※このような問題で悩んだら、まずは適当な体重を当てはめて計算していました。
体重60㎏だったら、25~30㎉だと1500~1800㎉、35~40㎉だと2100~2400㎉となるため、後者だと標準摂取カロリーなので制限でも何でもなくなるんですよね。
ここで確信を持てなかったら「体重50㎏だったら・・・、40㎏だったら・・・と数字を入れ替えて計算して、正誤を選んでいました。

 


B.正答2と4

 

1.
高度肥満症は、「BMI35以上」を言う。

 

2.正答
高度肥満症の治療には、外科療法がある。

 

スリーブ状胃切除術、胃バイパス術、スリーブバイパス術等がある。

 

3.
「脂肪体重の減少」を目指す。

 

除脂肪体重だと筋肉量を中心に減らす事になる。

 

4.正答
超低エネルギー食(VLCD)は、600㎉/日以下である。

 

5.
VLCDによる治療では、「ケトアシドーシス」を生じやすい。

 

エネルギー制限をする事で、ケトン体の生成量が増加し、ケトアシドーシスが生じやすくなる。

 


C.正答1

 

1.正答
肥満症である。

 

25≦BMI<35で、健康障害または内臓脂肪蓄積あり(内臓脂肪面積≧100㎠)の場合は肥満症と診断される。

 

2.
メタボリックシンドローム「ではない」。

 

内臓脂肪面積は100㎠なので条件を満たしているが、その他の血圧・血糖・脂質は基準値以下のため該当しない。

 

メタボリックシンドローム
エスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。

 

3.
脂質異常症と「診断されない」。

 

トリグリセリド≧150㎎/dlを満たしてないため。

 

4.
エネルギー摂取量は、「25~30㎉/㎏標準体重/日」とする。

 

肥満(25≦BMI<35)では、一日の摂取エネルギーの算定基準は、25~30kcal×標準体重(kg)以下です。

 

5.
「現体重の3%の減量を目標」とする。

 


D.正答3

 

1.
「入院治療」とする。

 

2.
「短期間の実施が望ましい」

 

超低カロリー食療法(very low calorie diet)
高度肥満症(BMI 35.0以上)の治療に用いられる、1日600 kcal以下という極端な低エネルギー食。
絶対的なエネルギーの不足によりケトン体が蓄積し、アシドーシスを生じやすい。身体に与える影響が大きいため使用は3週間までとし、医師の管理下で行われる。

 

3.正答
インスリン治療中の患者は、禁忌である。

 

食事による血糖値上昇を見込めなくなるため、インスリンを使うと低血糖状態になってしまう。

 

4.
「600㎉/日」である。

 

5.
水分摂取量を「制限しない」。

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!