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特殊環境と栄養ケアについての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.特殊環境と栄養に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.外部環境の影響を受けやすいのは、表面温度より中心温度である。
2.WBGT(湿球黒球温度)が上昇した時は、水分摂取を控える。
3.低温環境下では、皮膚の血流量が増加する。
4.高圧環境から急激に減圧すると、体内の溶存ガスが気泡化する。
5.低圧環境下では、肺胞内酸素分圧が上昇する。

 

 

B.環境温度と身体機能の変化に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.低温環境では、ふるえ熱産生が起こる
2.低温環境では、アドレナリンの分泌が減少する。
3.高温環境では、熱産生が増加する。
4.高温環境では、皮膚血管が収縮する。
5.夏季は、冬季に比べて基礎代謝量が増加する。

 

 

C.特殊環境下での生理的変化に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.高温環境下では、皮膚血管は収縮する。
2.低温環境下では、ビタミンB1の必要量が減少する。
3.低温環境下では、血圧は低下する。
4.低圧環境下では、動脈血の酸素分圧は低下する。
5.無重力環境下では、尿中カルシウム排泄量が減少する。

 

 

D.高温環境に曝露された時に起こる身体変化に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.皮膚血管は、収縮する。
2.換気量は、低下する。
3.熱産生は、亢進する。
4.腎臓でのナトリウムの再吸収は、増加する。
5.バソプレシンの分泌は、低下する。

 

 

E.低温環境に曝露されたときに起こる身体変化に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.ふるえによる産熱は、減少する。
2.基礎代謝量は、減少する。
3.血圧は、低下する。
4.皮膚血流量は、増加する。
5.アドレナリンの分泌は、増加する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答4

 

1.
外部環境の影響を受けやすいのは、「中心温度より表面温度」である。

 

身体の内部より外気に晒されている皮膚表面の方が温度変化の影響が大きい。

 

2.
WBGT(湿球黒球温度)が上昇した時は、水分摂取を「摂取する」。

 

WBGT:熱中症の危険度を判断する指標

WBGTが上昇すると熱中症リスクが上昇するため、水分摂取を積極的に行なう必要がある。

 

3.
低温環境下では、皮膚の血流量が「減少する」。

 

体温維持のため、皮膚血管の収縮、皮膚血流量の減少などにより、放熱が抑制される。

 

4.正答
高圧環境から急激に減圧すると、体内の溶存ガスが気泡化する。

 

気圧が上昇する高圧環境(潜水,鉱山,トンネル工事など)では、窒素などが血液や組織に溶解しやすくなる。その高圧環境下から常圧に戻ると、血液や組織に溶解していた過剰な窒素が体外へ排泄できず、溶解度を超えて気泡化する。

 

減圧症(潜函病)は、高圧環境下で血液や組織中に溶けていた窒素が、減圧に伴い気泡をつくる状態。
症状には疲労感、筋肉や関節の痛みがあり、 重症の場合、症状は脳卒中の症状に似ており、呼吸困難や胸痛がみられる。 酸素と再圧(高気圧酸素)療法で治療します。

 

5.
低圧環境下では、肺胞内酸素分圧が「低下する」。

 

低酸素環境であるため、体内への酸素の取り込みが低下し、肺胞内酸素分圧が低下する。

 

ラソン等持久力を必要とする種目のトレーニングの一環で高地トレーニングがありますが、少ない酸素の中で効率良く高いパフォーマンスを発揮するために行われています。
また、高い山に挑戦するような登山で高山病は、高地で酸素が欠乏することによって引き起こされる病気。
症状には、頭痛、疲労、吐き気や食欲不振、怒りっぽさなどがあり、より重症になると、息切れ、錯乱、そして昏睡などが現れる。

 


B.正答1

 

1.正答
低温環境では、ふるえ熱産生が起こる

 

体温維持のため、ふるえによる熱産生が亢進する。

 

2.
低温環境では、アドレナリンの分泌が「増加する」。

 

代謝の亢進による熱産生を促すため、アドレナリン・ノルアドレナリン甲状腺ホルモンといったホルモン分泌が高まる。
その結果、基礎代謝も上昇する。

 

3.
高温環境では、熱産生が「減少する」。

 

高温環境下では、少しでも体内から熱を下げる(熱を逃がす)ように汗をかいたり呼吸数を多くしたりします。
身体を冷やすために外気温の低い所に行ったり、冷たいものを摂取する事が有効。
加えて水分と電解質補給が必要である。

 

4.
高温環境では、皮膚血管が「拡張する」。

 

皮膚血管拡張により、放熱が亢進します。

 

5.
「冬季は夏季に比べて」基礎代謝量が増加する。

 

熱産生が亢進する低温環境下(冬季)では、基礎代謝量が高くなる。

 


C.正答4

 

1.

高温環境下では、皮膚血管は「拡張する」。

 

皮膚血管拡張により、放熱が亢進する。

 

2.
低温環境下では、ビタミンB1の必要量が「増加する」。

 

熱産生量の増加により、エネルギー代謝が亢進するため、ビタミンB1の必要量は増加する。
ビタミンB1だけでなく、基礎代謝が上昇しエネルギー代謝亢進・産出のため、他のビタミン・ミネラルも必要となる。

 

3.
低温環境下では、血圧は「上昇する」。

 

代謝の亢進による熱産生を促すため、アドレナリン・ノルアドレナリン甲状腺ホルモンといったホルモン分泌が高まる。

交感神経が興奮するため、血圧や基礎代謝が上昇する。

 

4.正答
低圧環境下では、動脈血の酸素分圧は低下する。

 

低圧環境下とは低酸素環境であるため、体内への酸素の取り込みが低下し、肺胞内酸素分圧が低下する。

 

5.
無重力環境下では、尿中カルシウム排泄量が「上昇する」。

 

骨への負荷が低下するため、骨組織からのカルシウムの脱灰(だっかい・歯科用語:歯のエナメル質や象牙質からリン酸カルシウムの結晶が溶出する現象)が増加し、尿中カルシウム排泄量が増加し、骨密度が低下する。
ここで言う「脱灰」は、骨からカルシウムやリンが溶け出す(溶出)する事を指します。

 

無重力環境下では、他にも2つ特徴がある。
・筋肉萎縮:無重力環境では筋肉を使う頻度が少なくなるので萎縮する。
・循環血液量減少:無重力環境では下肢の体液が頭方へ移動するため、身体は「循環血液量がいつもより多い」と判断し、結果尿量が増えて循環血液量が減少する。

 


D.正答4

 

1.
皮膚血管は、「拡張する」。

 

2.
換気量は、「増加する」。

 

3.
熱産生は、「抑制する」。

 

4.正答
腎臓でのナトリウムの再吸収は、増加する。

 

腎臓でのナトリウムの再吸収が促進され、水分の体内貯留が起こる。
夏場に運動し、水分を十分に摂取しないと、尿量が減るのはそのため。

 

5.
バソプレシンの分泌は、「上昇する」。

 

バソプレシンが亢進すると、水の再吸収を促進する→水分の体内貯留が起こる

 


E.正答5

 

1.
ふるえによる産熱は、「増加する」。

 

体温維持のため、ふるえによる熱産生が亢進する。

 

2.
基礎代謝量は、「増加する」。

 

熱産生が亢進する低温環境下(冬季)では、基礎代謝量が高くなる。

 

3.
血圧は、「上昇する」。

 

代謝の亢進による熱産生を促すため、アドレナリン・ノルアドレナリン甲状腺ホルモンといったホルモン分泌が高まる。

交感神経が興奮するため、血圧や基礎代謝が上昇する。

 

4.
皮膚血流量は、「減少する」。

 

体温維持のため、皮膚血管の収縮、皮膚血流量の減少などにより、放熱が抑制される。


5.正答
アドレナリンの分泌は、増加する。

 

代謝の亢進による熱産生を促すため、アドレナリン・ノルアドレナリン甲状腺ホルモンといったホルモン分泌が高まる。

交感神経が興奮するため、血圧や基礎代謝が上昇する。

 

今回は以上。
バソプレシンの事は、覚えていましたか?

応用栄養学の範囲も、これで終了です。
次回は臨床栄養学に入っていきますので、よろしくお願いします。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!