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ストレスと栄養ケアについての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.汎(全身)適応症候群に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.警告反応期のショック相では、血糖値が上昇する。
2.警告反応期のショック相では、血圧が上昇する。
3.警告反応期の反ショック相では、生体防御機能が低下する。
4.抵抗期では、新たなストレスに対する抵抗力は弱くなる。
5.疲はい期では、ストレスに対して生体が適応力を獲得している。

 

 

B.ストレス応答の抵抗期に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.交感神経の活動は、低下する。
2.糖新生は、亢進する。
3.血中遊離脂肪酸値は、低下する。
4.血清ビタミンC値は、上昇する。
5.尿中カルシウム排泄量は、低下する。

 

 

C.ストレス応答の抵抗期に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.エネルギー代謝は、低下する。
2.窒素出納は、負に傾く。
3.副腎皮質ホルモンの分泌は、減少する。
4.ビタミンCの需要は、減少する。
5.カルシウムの尿中排泄量は、減少する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず最初に「汎適応症候群」について

 

<汎適応性症候群(General Adaptation Syndrome:はんてきおうせいしょうこうぐん )>
ストレスという言葉をはじめて用いたカナダのセリエは、生体が外部から寒冷、外傷、疾病、あるいは怒りや不安などの精神的緊張(ストレッサー)を受けたとき、これらの刺激に適応しようとして生体に一定の反応が起こることを発見。これを「適応症候群」とし、全身におきる反応を全身適応症候群と名づけた。

 

ストレス応答は時間経過に伴い、①警告反応期、②抵抗期、③疲憊期(疲はい期)の3段階に分けられる。

 

①警告反応期(ショック相:6~48時間 反ショック相:48時間~
ストレス刺激に曝されたときの初期反応。警告反応期は、ショック相と反ショック相とに分けられる。

ショック相
・初期反応では、血圧、血糖値等が低下
・神経系の活動や筋肉の緊張の低下が見られる
・胃・十二指腸のびらんや出血がおこる

反ショック相(ショック相から立ち直る)
・体温上昇・血圧・血糖値が回復
・神経系の活動や、筋緊張が高まる

 

②抵抗期(1~3か月)
ストレス刺激に対して、生体が適応力を獲得した時期。直接原因となるストレス因子に対する抵抗性は確保されているが、新たなストレス因子に対しての抵抗性は低下している。

ストレスに抵抗するため、視床下部から分泌される副腎皮質刺激ホルモンにより、コルチゾール分泌が亢進する。
コルチゾールには、糖質、たんぱく質、脂質の代謝を亢進する働きがあり、栄養素を分解することで、ATPの合成が増加し、ストレスに対抗するエネルギーを産生。

さらに続く場合、1~3カ月後に生体は抵抗力を失う。

 

③疲憊期(疲はい期)
長期間、ストレスが持続すると、生体の防御機構の限界を超えてしまい、再び警告反応期のショック相に類似した生体反応がみられる。

 

 

A.正答4

 

1.
警告反応期のショック相では、血糖値が「低下する」。

 

2.
警告反応期のショック相では、血圧が「低下する」。

 

3.
警告反応期の反ショック相では、生体防御機能が「亢進する」。

 

4.正答
抵抗期では、新たなストレスに対する抵抗力は弱くなる。

 

5.
「抵抗期では」、ストレスに対して生体が適応力を獲得している。

 


B.正答2

 

1.
交感神経の活動は、「亢進する」。

 

2.正答
糖新生は、亢進する。

 

3.
血中遊離脂肪酸値は、「上昇する」。

 

カテコールアミン分泌により、脂肪組織におけるトリアシルグリセロールの分解が亢進し、血中遊離脂肪酸値が上昇する。

 

4.
血清ビタミンC値は、「低下する」。

 

ビタミンCは、ストレス時に分泌が亢進する副腎皮質ホルモンや副腎髄質ホルモンの合成材料として利用されるほか、脂質代謝、抗酸化作用にも関与する。ストレス時にはビタミンC消費量増大のため、血清ビタミンC値は低下する。

 

5.
尿中カルシウム排泄量は、「上昇する」。

 

カルシウムには脳神経細胞の興奮を抑制する働きがあり、欠乏すると興奮状態が起きる。
精神的・肉体的なストレスをかけると、腸管でのカルシウムの吸収率が減少し、ストレス時に分泌されるコルチゾールノルアドレナリンはカルシウムの尿中排泄を促進する。

 

「カルシウム不足だと怒りっぽくなる」というイメージに繋がる内容だと思います。

 


C.正答2

 

1.
エネルギー代謝は、「上昇する」。

 

2.正答
窒素出納は、負に傾く。

 

ストレスによるエネルギー消費量増加に伴い、たんぱく質の異化(分解)が亢進(糖新生)し、尿中窒素排泄量も増加するため、窒素出納は負に傾く。

 

3.
副腎皮質ホルモンの分泌は、「増加する」。

 

4.
ビタミンCの需要は、「増加する」。

 

5.
カルシウムの尿中排泄量は、「増加する」。

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!