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妊娠期・授乳期についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.妊娠期の身体的変化に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.体重は、一定の割合で増加する。
2.基礎代謝量は、増加する。
3.循環血液量は、減少する。
4.ヘモグロビン濃度は、上昇する。
5.インスリン感受性は、高まる。

 

 

B.妊娠期の生理的変化に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.インスリン抵抗性は、低下する。
2.腸管のカルシウム吸収率は、低下する。
3.血清アルブミン値は、低下する。
4.循環血液量は、減少する。
5.血清トリグリセリド値は、低下する。

 

 

C.母乳に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.吸啜刺激は、オキシトシンの分泌を低下させる。
2.吸啜刺激は、プロラクチンの分泌を増加させる。
3.分泌型IgA量は、初乳より成熟乳に多く含まれる。
4.たんぱく質量は、牛乳より母乳に多い。
5.多価不飽和脂肪酸量は、牛乳より母乳に少ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正答2

 

1.
体重は、「後期にかけて増加しやすい」。

 

2.正答
基礎代謝量は、増加する。

 

3.
循環血液量は、「増加する」。

 

胎児に栄養を送るためと分娩に備える為に、循環血液量は著しく増加する。

 

4.
ヘモグロビン濃度は、「低下する」。

 

妊娠による循環血液量の増加が血球成分の増加よりも著しいため、非妊娠時に比べると見かけ上、ヘモグロビン濃度は低下する。

 

5.
インスリン抵抗性」は、高まる。

 

胎児へのグルコース供給を円滑にするため、母体のインスリン抵抗性が高まる。


<追記>

※妊娠中は血液凝固系が亢進する。

出産時に多めの出血を伴うため、母体の止血を止める為に血液が固まりやすくなる。


ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は妊娠初期に分泌が高まる。

妊娠などにより胎盤の絨毛組織から産生される性腺刺激ホルモンで、妊娠の診断と腫瘍マーカーを目的として測定されます。
このホルモンは妊娠検査薬の陽性・陰性判定にも使われる。

 

 

B.正答3

 

1.
インスリン抵抗性は、「増大する」。

 

胎児へのグルコース供給を円滑にするため、母体のインスリン抵抗性が高まる。

 

2.
腸管のカルシウム吸収率は、「上昇する」。

 

3.正答
血清アルブミン値は、低下する。

 

アルブミンたんぱく質)の需要が高まるため、血清アルブミン値は低下する。

 

4.
循環血液量は、「増加する」。

 

5.
血清トリグリセリド値は、「上昇する」。

 

妊娠初期から末期にかけて値は徐々に増え、例えば妊娠末期の総コレステロール値は非妊娠時に比べると1・6倍ほど高くなり、中性脂肪にいたっては3倍以上にもなります。
妊娠すると、個人差はありますが、体重が10~11㎏増加します。このうち脂肪組織の重さが約3・5~4㎏あり、それにより血中脂質も変化します。

 

 

C.正答2

 

1.
吸啜刺激(きゅうてつしげき)は、オキシトシンの分泌を「増加させる」。

 

妊娠中
エストロゲンプロゲステロンの作用 → 乳腺組織が発育
プロラクチンの作用 → 乳汁産生
※分娩前は「胎盤エストロゲン」の作用で乳汁分泌が抑制される。

 

分娩後
出産時に胎盤が排出されると、(胎盤エストロゲンが減少し、乳汁分泌が亢進される。
プロラクチン(乳汁産生)・オキシトシン(射乳促進)の分泌促進

 

2.正答
吸啜刺激は、プロラクチンの分泌を増加させる。

 

3.
分泌型IgA量は、「成熟乳より初乳に」多く含まれる。

 

初乳:生後3~5日に分泌される乳汁。感染防止・免疫向上のため、免疫に関わる「分泌型IgA」やたんぱく質濃度が高い。1日100ml程度。

 

成乳:生後10日以降に分泌される乳汁。脂質と乳糖(ラクトース)濃度が高い。分泌量も1日780ml程度となり、エネルギー量も増加する。

 

4.
たんぱく質量は、「母乳より牛乳に」多い。

 

牛乳3.3g、母乳(成熟乳)1.3gで、牛乳のほうが多い。

 

5.
多価不飽和脂肪酸量は、牛乳より母乳に「多い」。

 

牛乳0.12g、母乳(成熟乳)0.61gで、母乳の方が多い。

 


母乳と牛乳の比較として問われやすい部分

 

母乳に多い:乳糖・多価不飽和脂肪酸・ビタミン(K以外)
牛乳に多い:カゼインたんぱく質)・ミネラル・ビタミンK

 

カロリーと脂質はほぼ変わらないが、多価不飽和脂肪酸量は母乳が多い

 


今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!