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摂取するたんぱく質の量と質の評価についての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.たんぱく質の栄養に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.窒素平衡の状態は、体内の窒素量が増加していることを示す。
2.生物価は、摂取した窒素量のうちの体内に保留された窒素量の割合を示す。
3.不可欠(必須)アミノ酸の必要量は、種類に関わらず一定である。
4.アミノ酸価は、食品タンパク質中の不可欠(必須)アミノ酸量によって決まる。
5.たんぱく質の栄養価は、摂取する食品の組み合わせでは変化しない。

 


B.たんぱく質の量と質の評価に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.コルチゾールの分泌が増加すると、窒素出納は正になる。
2.不可欠アミノ酸は、11種類である。
3.分枝アミノ酸は、不可欠アミノ酸である。
4.アミノ酸価は、食品中の可決アミノ酸のバランスで決定される。
5.たんぱく質の生物価は、摂取窒素量に対する体内保留窒素量の割合を示す。

 

 

C.たんぱく質の栄養に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.食品たんぱく質の栄養価は、アミノ酸の総量で決まる。
2.アミノ酸価は、食品たんぱく質中の理想的な可決(非必須)アミノ酸量を示す。
3.制限アミノ酸が複数ある食品に、第一制限アミノ酸のみを加えると、栄養価が低下する事がある。
4.たんぱく質効率比(protein efficiency ratio)は、窒素出納を基にして算出される。
5.飢餓状態では、窒素出納は正になる。

 

 

D.摂取するたんぱく質の量と質に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.無たんぱく質食摂取時には、窒素の糞便中排泄はない。

2.アミノ酸インバランスは、可決アミノ酸の過剰摂取により起こる。
3.正味たんぱく質の利用率は、たんぱく質栄養価の科学的評価法である。
4.小麦たんぱく質の第一制限アミノ酸は、リシンである。
5.アミノ酸の補足効果は、卵白たんぱく質に対して発揮される。

 

 

E.食品たんぱく質の評価に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.アミノ酸評点パターンは、食品中の不可欠アミノ酸量を示す。
2.生物価は、食品たんぱく質の科学的評価法の一つである。
3.制限アミノ酸がない食品のアミノ酸価は、100である。
4.無たんぱく質食の摂取時には、尿中に窒素は排泄されない。
5.摂取窒素量が、排泄窒素量を上回ると、窒素出納は負になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正解4

 

1.
窒素平衡の状態は、体内の窒素量が「増加していないこと」を示す。

 

一般に,健常成人では窒素の排泄量と摂取量は等しく、窒素平衡の状態にある。
成長期の子どもや妊婦では、体タンパク質の蓄積が亢進しており摂取量が排泄量よりも高く、正の窒素出納となる。
飢餓状態や高齢者では、体タンパク質の分解が亢進され、排泄量が摂取量よりも高く負の窒素出納となる。

 

2.
生物価は、「吸収された窒素量」のうちの体内に保留された窒素量の割合を示す。

 

生物価:(保留窒素量/吸収窒素量)×100で表される値

吸収窒素量:タンパク質中の窒素量から大便中に排泄された窒素を引いたもの。
保留窒素量:吸収窒素量からさらに尿中の窒素量を引いた値。これが体内にとどまった窒素量といえる。

 

3.
不可欠(必須)アミノ酸の必要量は、「種類により異なる」。

 

アミノ酸スコアは、それぞれの必須アミノ酸で身体にとって必要な量を「100」としているだけであり、必須アミノ酸の種類によって必要量は異なります。

 

4.
正答
アミノ酸価は、食品タンパク質中の不可欠(必須)アミノ酸量によって決まる。

 

アミノ酸スコアが100の食品:牛乳、牛肉、鶏肉、豚肉、鶏卵、あじ、いわし、さけ、まぐろ等
精白米:65 パン:44

 

5.
たんぱく質の栄養価は、摂取する食品の組み合わせでは「変化する」。

 


B.正解3

 

1.
コルチゾールの分泌が増加すると、窒素出納は「負になる」。

 

コルチゾール分泌で筋たんぱく質分解が進むことになるので、窒素出納は負になる。

血糖値が低い→コルチゾール分泌→筋たんぱく質の分解→肝臓での糖新生によりグルコースを産生

 

コルチゾール
副腎皮質から分泌されるホルモンの一つ。主な働きは、肝臓での糖の新生、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪組織での脂肪の分解などの代謝の促進、抗炎症および免疫抑制などで、生体にとって必須のホルモン。


一般に,健常成人では窒素の排泄量と摂取量は等しく、窒素平衡の状態にある。
成長期の子どもや妊婦では、体タンパク質の蓄積が亢進しており摂取量が排泄量よりも高く、正の窒素出納となる。
飢餓状態や高齢者では、体タンパク質の分解が亢進され、排泄量が摂取量よりも高く負の窒素出納となる。

 

2.
不可欠アミノ酸は、「9種類」である。

 

不可欠という一般的ではない方の言葉を使っていますが、不可欠=必須という事なので惑わされないように気を付けてね。
ちなみに「非必須」アミノ酸必須アミノ酸ではないもの)は、「可決アミノ酸」と言い換える事が出来ます。

 

3.
正答
分枝アミノ酸は、不可欠アミノ酸である。

 

分枝アミノ酸は「必須アミノ酸
分枝アミノ酸:バリン・ロイシン・イソロイシン(branched-chain amino acids、BCAA)

 

4.
アミノ酸価は、食品中の「不可決アミノ酸のバランス」で決定される。

アミノ酸価は、食品中の「必須アミノ酸のバランス」で決定される。


5.
たんぱく質の生物価は、「吸収窒素量」に対する体内保留窒素量の割合を示す。

 

生物価:(保留窒素量/吸収窒素量)×100で表される値

吸収窒素量:タンパク質中の窒素量から大便中に排泄された窒素を引いたもの。
保留窒素量:吸収窒素量からさらに尿中の窒素量を引いた値。これが体内にとどまった窒素量といえる。

 


C.正解3

 

1.
食品たんぱく質の栄養価は、「必須(不可欠)アミノ酸のバランス」で決まる。

 

アミノ酸スコアの話です。

アミノ酸スコア(アミノ酸価)>
食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための数値。
特定の食品に対し、窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が基準値と比較してどれだけ含有されているかを評価するもの。

 

2.
アミノ酸価は、食品たんぱく質中の理想的な「不可決(必須)アミノ酸量」を示す。

 

3.
正答
制限アミノ酸が複数ある食品に、第一制限アミノ酸のみを加えると、栄養価が低下する事がある。

 

アミノ酸の特徴として、ある特定のアミノ酸を大量にとることで、アミノ酸同士のバランスがくずれると、どのアミノ酸の不足がない状態でも、相対的に欠乏状態が出現したと体が錯覚する「アミノ酸インバランス」という状態を引き起こす。

 

4.
たんぱく質効率比(protein efficiency ratio)は、「摂取たんぱく質と体重増加量」を基にして算出される。

 

窒素出納法をもとにたんぱく質の栄養価を評価する方法として、生物価(BV)、正味たんぱく質利用率(NPU)がある。
体重増加を指標とするのは、たんぱく質効率(たんぱく質効率比 PER)です。

BV=体内保留窒素/吸収窒素×100
  
NPU=体内保留窒素量/摂取窒素量×100=BV×消化吸収率
  
PER=試験たんぱく質摂取期間の体重増加量/試験期間中

 

5.
飢餓状態では、窒素出納は「負」になる。

 

一般に,健常成人では窒素の排泄量と摂取量は等しく、窒素平衡の状態にある。
成長期の子どもや妊婦では、体タンパク質の蓄積が亢進しており摂取量が排泄量よりも高く、正の窒素出納となる。
飢餓状態や高齢者では、体タンパク質の分解が亢進され、排泄量が摂取量よりも高く負の窒素出納となる。

 


D.正解4

 

1.
たんぱく質食摂取時「にも、窒素の糞便中排泄がある」。

 

たんぱく質食摂取時であっても、腸内細菌、消化管の脱落上皮、消化液残渣等、

食物に由来しない消化管成分の損失(内因性損失量)があるため、糞便中に窒素が排泄される。
1日0.5~0.9gの窒素が排泄される。

 

真の消化吸収率={摂取量-(糞便中の排泄量-内因性損失量)}÷摂取量×100

 

2.
アミノ酸インバランスは、「一部の制限アミノ酸の過剰摂取」により起こる。

 

アミノ酸の特徴として、ある特定のアミノ酸を大量にとることで、アミノ酸同士のバランスがくずれると、どのアミノ酸の不足がない状態でも、相対的に欠乏状態が出現したと体が錯覚する「アミノ酸インバランス」という状態を引き起こす。


3.
正味たんぱく質の利用率は、たんぱく質栄養価の「生物学的評価法」である。

 

化学的評価法:アミノ酸組成を科学的に分析して、その栄養価を評価する方法。アミノ酸価が該当。
生物学的評価法:食品たんぱく質を摂取して、その栄養価を評価する方法。正味たんぱく質利用率・生物価が該当。


窒素出納法をもとにたんぱく質の栄養価を評価する方法として、生物価(BV)、正味たんぱく質利用率(NPU)がある。

NPU=体内保留窒素量/摂取窒素量×100=BV×消化吸収率

 

4.
正答
小麦たんぱく質の第一制限アミノ酸は、リシンである。

 

5.
アミノ酸の補足効果は、卵白たんぱく質に対して「発揮されない」。

 

アミノ酸の補足効果:食品たんぱく質に制限アミノ酸がある場合、そのアミノ酸を食品に添加する事で食品の栄養価を改善する事。

卵白のアミノ酸価は100であるため、制限アミノ酸は無く、アミノ酸の補足効果は発揮されない。

 

 

E.3

1.
アミノ酸評点パターンは、食品中の「理想的な」不可欠アミノ酸量を示す。

 

アミノ酸スコア100点が意味するのは、「窒素1gあたりで比較した場合、9種の必須アミノ酸を委員会基準以上の割合で含む」事だけであり、すべての必須アミノ酸バランスが100%に揃っている訳ではない。
詳細は全必須アミノ酸の含有量を確認する必要がある。

必須アミノ酸のみの評価である。他のアミノ酸については無視される。

 

2.
生物価は、食品たんぱく質の「生物学的評価法」の一つである。

 

化学的評価法:アミノ酸組成を科学的に分析して、その栄養価を評価する方法。アミノ酸価が該当。
生物学的評価法:食品たんぱく質を摂取して、その栄養価を評価する方法。正味たんぱく質利用率・生物価が該当。

 

3.
正答
制限アミノ酸がない食品のアミノ酸価は、100である。

 

4.
たんぱく質食の摂取時には、尿中に窒素は「排泄される」。

 

たんぱく質食の摂取時であっても、体タンパク質の異化により窒素が生成され、尿中へ排泄される。

 

5.
摂取窒素量が、排泄窒素量を上回ると、窒素出納は「正」になる。

 

一般に,健常成人では窒素の排泄量と摂取量は等しく、窒素平衡の状態にある。
成長期の子どもや妊婦では、体タンパク質の蓄積が亢進しており摂取量が排泄量よりも高く、正の窒素出納となる。
飢餓状態や高齢者では、体タンパク質の分解が亢進され、排泄量が摂取量よりも高く負の窒素出納となる。

 

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!