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たんぱく質・アミノ酸の体内代謝についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.たんぱく質アミノ酸代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.たんぱく質の摂取量が不足すると、窒素出納は正になる。
2.たんぱく質の摂取量が増加すると、尿中への尿素排泄量は減少する。
3.アルブミンは、腎臓で合成される。
4.トリプトファンは、パントテン酸に変換される。
5.バリンは、糖新生に利用される。

 


B.たんぱく質アミノ酸代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.過剰なたんぱく質の摂取は、アミノ酸の異化を抑制する。
2.ロイシンは、体タンパク質の合成を抑制する。
3.インスリンは、体タンパク質の合成を抑制する。
4.絶食時には、体タンパク質の合成が抑制される。
5.アルブミンは、トランスサイレチンより代謝回転速度が速い。

 

 

C.アミノ酸代謝の臓器差に関する記述である。誤っているものを1つ。

 

1.イソロイシンは、主に骨格筋で代謝される。
2.バリンは、主に肝臓で代謝される。
3.グルタミン酸は、小腸で代謝される。
4.腎臓では、グルタミンからアンモニアが産生される。
5.フィッシャー比は、血液中の分枝アミノ酸と芳香族アミノ酸のモル比である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解5

 

1.
たんぱく質の摂取量が不足すると、窒素出納は「負になる」。

 

窒素出納は窒素の摂取量と排泄量の収支を示すもので、たんぱく質代謝動態を示す。

摂取量>排泄量:体タンパク質として蓄積される → 窒素出納が正になる
摂取量<排泄量:体タンパク質が異化されている → 窒素出納が負になる 

 

<異化>
分子を小さな構成部分に分解してエネルギーを取り出す代謝過程。
異化作用では、多糖や脂質、核酸、タンパク質等の大きな分子が、それぞれ単糖、脂肪酸ヌクレオチドアミノ酸等の小さな部分に分解される。


2.
たんぱく質の摂取量が増加すると、尿中への尿素排泄量は「増加する」。

 

たんぱく質摂取量が増加すると、尿素合成が促進され、尿中への尿素排泄量は増加する。
過剰のアミノ酸は異化され、生じたアミノ基は尿素回路尿素に変換される。

 

3.
アルブミンは、「肝臓」で合成される。

 

アルブミン
肝臓で合成される血液中の中では最も量が多い蛋白質
体内で浸透圧の維持やさまざまな物質と結合し、それらの運搬に関与している。
アルブミンは合成される際、アミノ酸をはじめとするいくつかの材料が必要だが、栄養状態の悪い時には材料不足のため蛋白合成ができなくなり低下する→低アルブミン血症

 

4.
トリプトファンは、「ナイアシン」に変換される。

 

パントテン酸(pantothenic acid)>
ビタミンB群に含まれる物質で、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのことで、かつてはビタミンB5とも呼ばれていた。
CoA(補酵素A)の構成成分として、糖代謝脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質。
語源はギリシャ語で、「どこにでもある酸」という意味。


5.
正答
バリンは、糖新生に利用される。

 

糖新生の材料になるのは、糖原生アミノ酸、乳酸、ピルビン酸、グリセロール。

 

ケト原性アミノ酸は「ロイシン」「リシン」・チロシン・イソロイシン・トリプトファンフェニルアラニンが当てはまるが、「ロイシン」「リシン」以外のたんぱく質残り18種は、全て糖新生の材料となる。
チロシン・イソロイシン・トリプトファンフェニルアラニンの4種は、糖原性でもケト原性でもどちらでも基質となる。

 

こういう覚え方の方が手っ取り早い。

 

 

B.正解4

 

1.
過剰なたんぱく質の摂取は、アミノ酸の異化を「促進する」。

 

たんぱく質摂取量が増加すると、尿素合成が促進され、尿中への尿素排泄量は増加する。
過剰のアミノ酸は異化され、生じたアミノ基は尿素回路尿素に変換される。


2.
ロイシンは、体タンパク質の合成を「促進する」。

 

3.
インスリンは、体タンパク質の合成を「促進する」。

 

4.
正答
絶食時には、体タンパク質の合成が抑制される。

 

摂取量>排泄量:体タンパク質として蓄積される → 窒素出納が正になる
摂取量<排泄量:体タンパク質が異化されている → 窒素出納が負になる 

 

アルブミン
肝臓で合成される血液中の中では最も量が多い蛋白質
体内で浸透圧の維持やさまざまな物質と結合し、それらの運搬に関与している。
アルブミンは合成される際、アミノ酸をはじめとするいくつかの材料が必要だが、栄養状態の悪い時には材料不足のため蛋白合成ができなくなり低下する→低アルブミン血症

 

5.
アルブミンは、トランスサイレチンより代謝回転速度が「遅い」。

 

トランスサイレチン:ラピッドターンオーバープロテインの一種で、代謝回転速度が速いたんぱく質。短期間の栄養状態を反映する。

 

<ラピッドターンプロテイン(rapid turnover protein:RTP)>
トランスフェリン(7日)、プレアルブミン(トランスサイレチン)(1.9日)、レチノール結合タンパク質(0.5日)などがRTPと呼ばれる、肝臓で合成されるたんぱく質
血中の半減期が短く代謝も早いので、内臓タンパク質合成の短期間の変化(栄養状態)に敏感に反応する。
代謝動態が著しい患者の、内臓たんぱく質量の推定に適した指標となる。

 

アルブミン半減期は21日と長いのでRTPではない。

 


C.正解2

 

1.
イソロイシンは、主に骨格筋で代謝される。

 

イソロイシン:バリン・ロイシンと共にBCAA(分枝鎖アミノ酸)と呼ばれる総称の一つで、必須アミノ酸の中の一つでもある。

 

2.
正答
バリンは、主に「骨格筋」で代謝される。

 

多くのアミノ酸は肝臓で代謝されるが、バリン、ロイシン、イソロイシン の3つ(この3つのアミノ酸を総称して分枝鎖アミノ酸〔BCAA〕)は 筋肉の中で代謝される。


3.
グルタミン酸は、小腸で代謝される。

 

<解説(参考程度にしてね。試験ではここまで掘り下げられないから)>
グルタミン・グルタミン酸アスパラギン酸は小腸で吸収されるが、グルタミンの 66%・グルタミン酸の 98%・アスパラギン酸の 99% 以上が小腸粘膜で代謝される。
これらのその大部分が門脈に運ばれて全身の組織で利用されることなく、代謝燃料として小腸上皮細胞そのもののエネルギー源として利用されると考えられている。

 

4.
腎臓では、グルタミンからアンモニアが産生される。

 

反応の順番としては以下の通りです

 

アミノ基転移:アミノ酸のアミノ基をα-ケトグルタル酸などのアミノ基受容体に転移し、α-ケト酸を生じる。アミノ基は最終的に全てグルタミン酸に集められる。

酸化的脱アミノ:グルタミン酸ミトコンドリア中で酸化的に脱アミノされ、α-ケトグルタル酸とアンモニアになる。α-ケトグルタル酸はTCA回路の一員である。

アンモニアの処理:生じたアンモニアは生体に有害であるため尿素回路によって無毒な尿素に変換される。
アミノ酸の分解で生じる窒素は尿素の形で排泄する以外に、動物によっては,尿酸やアンモニアとして排泄される。

 

5.
フィッシャー比は、血液中の分枝アミノ酸と芳香族アミノ酸のモル比である。

 

分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acid: BCAA;イソロイシン・ロイシン・バリン)と、芳香族アミノ酸(aromatic amino acid: AAA;チロシンフェニルアラニン)のモル比(BCAA/AAA)をフィッシャー比といいます。

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!