管理栄養士国家試験合格に向けてチャレンジする人を応援するブログ

独学で学習を進める人をはじめ、受験勉強中の悩みを解消するための情報をお伝えしていきます。

たんぱく質・アミノ酸の体内代謝についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
質問等ありましたら、コメント欄にお気軽にどうぞ

 


A.たんぱく質の栄養に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.摂取たんぱく質は、脂質に変換されない。
2.たんぱく質の摂取量が多いと、ビタミンB6の必要量が減少する。
3.たんぱく質の摂取量が多いと、尿中カルシウム排泄量が増加する。
4.たんぱく質の摂取量が不足すると、血清トランスサイレチン値は上昇する。
5.エネルギー摂取量が不足すると、たんぱく質の利用効率が高まる。

 


B.アミノ酸代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.ロイシンは、糖新生の材料として利用される。
2.トリプトファンは、葉酸に変換される。
3.芳香族アミノ酸代謝する組織は、主に筋肉である。
4.分枝アミノ酸代謝する組織は、主に小腸である。
5.フィッシャー比に用いる血漿芳香族アミノ酸は、フェニルアラニンチロシンである。

 

C.たんぱく質アミノ酸代謝に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.トランスフェリンの半減期は、レチノール結合たんぱく質より短い。
2.たんぱく質の平均半減期は、筋肉より肝臓で長い。
3.アミノ酸の筋肉への取り込みは、インスリンにより抑制される。
4.バリンは、ケト原性アミノ酸である。
5.ロイシンは、筋たんぱく質の合成を促進する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解3

 

1.
摂取たんぱく質は、脂質に「変換される」。

 

ケト原性アミノ酸
脱アミノ化(アミノ基転移による場合を含む)を受けた後、炭素骨格部分が脂質代謝経路を経由して、脂肪酸やケトン体に転換されうるアミノ酸のこと。
主としてアセトアセチルCoAを経て脂肪酸合成に必要なアセチルCoAになる

 

2.
たんぱく質の摂取量が多いと、ビタミンB6の必要量が「増加」する。

 

アミノ酸代謝には、ビタミンB6が主に補酵素として関与します。
ビタミンB6に由来するピリドキサールリン酸(PLP)は、アミノ基を他のケト酸に移すことで新しいケト酸とアミノ酸を生じるアミノ基転移反応に必須のビタミンです。
そのため、たんぱく質摂取量の増加に伴い、ビタミンB6の必要量は増加します。

 

3.
正答
たんぱく質の摂取量が多いと、尿中カルシウム排泄量が増加する。

 

一般的に、たんぱく質が豊富な食物はリンも多く含みます。
リンは消化分泌物のカルシウム量を増加させる傾向にあるため、排泄物中のカルシウム量を増加させる傾向にあります。

 

4.
たんぱく質の摂取量が不足すると、血清トランスサイレチン値は「低下する」。

 

摂取するたんぱく質不足で、たんぱく質合成能力が低下すると、血清トランスサイレチン値が低下する。

 

<トランスサイレチン>
甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)やレチノール(ビタミンA)の輸送担体として働くことに由来する名称で、プレアルブミンともいう。
肝臓で合成されるたんぱく質で、アルブミングロブリンより半減期が短いため超早期の栄養状態の変化や肝のたんぱく合成能を知るのに有用であり、リフィーディング症候群対策にも重要である。

 

5.
エネルギー摂取量が不足すると、たんぱく質の利用効率が「低下する」。

 

たんぱく質の利用効率は、摂取したたんぱく質のうち、体内に保留された量(どれだけ体たんぱく質として利用されたか)を示す。
エネルギー摂取量が不足すると、たんぱく質がエネルギー源として消費(糖新生)されるため、たんぱく質の利用効率は低下する。

 


B.正解5

1.
ロイシンは、糖新生の材料として「利用されない」。

 

糖新生、糖質代謝などに用いられるアミノ酸を「糖原性アミノ酸」と呼びます。
ロイシンはケト原性アミノ酸に含まれるため、糖新生の材料としては利用されない。

 

2.
トリプトファンは、「ナイアシン」に変換される。

 

トリプトファン
芳香族アミノ酸フェニルアラニンチロシントリプトファン)の一つ
生体内においては、ナイアシントリプトファンから生合成される。
ヒトの場合は、さらに腸内細菌がトリプトファンからのナイアシン合成を行っている。

 

3.
芳香族アミノ酸代謝する組織は、主に「肝臓」である。

 

骨格筋で代謝される分枝アミノ酸(BCAA:Branched Chain Amino Acid バリン、ロイシン、イソロイシン)と異なり、芳香族アミノ酸(AAA:Aromatic amino acid)は、アルブミンと結合し代謝的に安定しているトリプトファン以外は、肝臓で代謝される。

 

4.
分枝アミノ酸代謝する組織は、主に「筋肉」である。

 

5.
正答
フィッシャー比に用いる血漿芳香族アミノ酸は、フェニルアラニンチロシンである。

 

<フィッシャー比>
分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acid: BCAA;イソロイシン・ロイシン・バリン)と、芳香族アミノ酸(aromatic amino acid: AAA;チロシンフェニルアラニン)のモル比(比率)(BCAA/AAA)
健常人のフィッシャー比は、3~4でほぼ一定である。肝機能が低下すると、肝臓のアミノ酸代謝異常が起こりチロシンフェニルアラニンの血中への供給量が増え、筋肉や心臓において分枝鎖アミノ酸が分解されることから、フィッシャー比の値が低下する。
フィッシャー比の是正のため、BCAAを主とした特殊組成アミノ酸製剤を用い、静脈内投与によりアミノ酸バランスを補正する。

 

 

C.正解5

 

1.
トランスフェリンの半減期は、レチノール結合たんぱく質より「長い」。

 

トランスフェリン:血漿に含まれるタンパク質の一種で、鉄イオンを結合しその輸送を担っている。
レチノール結合たんぱく質:肝で合成される糖蛋白。レチノール(ビタミンA)を結合し運搬する機能を有する。肝で合成され半減期が短いため、プレアルブミンと同様、栄養状態や肝の蛋白合成能を速やかに反映するマーカーとして利用される。

半減期
レチノール結合たんぱく質:約16時間
トランスフェリン:約8~10日

 

2.
たんぱく質の平均半減期は、筋肉より肝臓で「短い」。

 

たんぱく質の平均半減期は、肝臓で約10日、筋肉で約180日。

 

3.
アミノ酸の筋肉への取り込みは、インスリンにより「促進される」。

 

4.
バリンは、「糖原性アミノ酸」である。

 

糖原性アミノ酸は数が多いので、ケト原性アミノ酸と、ケト原性・糖原性両方で作用するものを覚える方が楽。

 

5.
正答
ロイシンは、筋たんぱく質の合成を促進する。

 

筋肉は筋たんぱく質の合成と分解のバランスで維持されており、必須アミノ酸であり、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)、とくにロイシンが筋肉の合成を刺激するのに効果的である。

 

 


今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!