管理栄養士国家試験合格に向けてチャレンジする人を応援するブログ

独学で学習を進める人をはじめ、受験勉強中の悩みを解消するための情報をお伝えしていきます。

炭水化物の栄養についての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
質問等ありましたら、コメント欄にお気軽にどうぞ

 


A.血糖とその調整に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.グルコースの筋肉組織への取り込みは、インスリンにより促進される。
2.グルカゴンは、筋肉グリコーゲンの分解を促進する。
3.組織重量当たりのグリコーゲン量は、肝臓より筋肉の方が多い。
4.コリ回路では、アミノ酸からグルコースが産生される。
5.脂肪酸は、糖新生の材料として利用される。

 


B.血糖とその調節に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.アドレナリンは、血糖値を低下させる。
2.グルココルチコイドは、血糖値を低下させる。
3.チロキシンは、血糖値を低下させる。
4.インスリンは、血中グルコースの脂肪組織への取り込みを促進する。
5.血糖値が低下すると、骨格筋におけるグルコース消費は促進される。

 

 

C.血糖とその調節に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.筋肉グリコーゲンは、血糖維持に利用される。
2.インスリンは、筋肉への血中グルコースの取り込みを抑制する。
3.健常者の血糖値は、食後約3時間で最高値となる。
4.糖新生は、筋肉で行われる。
5.アドレナリンは、肝臓グリコーゲンの分解を促進する。

 

 

D.食物繊維と難消化性糖質に関する記述である。誤っているものを1つ。

 

1.不溶性食物繊維には、便量を増加させる作用がある。
2.水溶性食物繊維には、血清コレステロールの低下作用がある。
3.大腸での発酵により生成された短鎖脂肪酸は、エネルギー源になる。
4.大腸での発酵により生成された短鎖脂肪酸は、ミネラル吸収を促進する。
5.有用菌の増殖を促進する難消化性糖質を、プロバイオティクスという。

 

 

E.食物繊維と難消化性糖質に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.不溶性食物繊維は、血圧を上昇させる。
2.水溶性食物繊維は、大腸内pHを上昇させる。
3.難消化性糖質は、インスリンの分泌を促進させる。
4.難消化性糖質の過剰摂取は、便秘を引き起こす。
5.有用菌増殖効果のあるオリゴ糖は、プレバイオティクスである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解1

 

1.
正答
グルコースの筋肉組織への取り込みは、インスリンにより促進される。

 

筋肉組織だけでなく、インスリンによりグルコースの取り込みは促進される。

 

2.
グルカゴンは、「肝臓グリコーゲンの分解」を促進する。

 

グルカゴンは肝臓のグリコーゲンの分解促進をして血糖値を上昇させる。筋肉グリコーゲンは血糖維持には利用されない。筋肉にはグルコース-6-ホスホターゼが無いため、グルコースを生成できない。

 

3.
組織重量当たりのグリコーゲン量は、「筋肉より肝臓」の方が多い。

 

単位当たりの計算である「組織重量あたり」で計算すると、肝臓の方がグリコーゲン量が多い(肝臓>総筋肉)。
グリコーゲンの総貯蔵量で計算すると、筋肉の方がグリコーゲン量が多い(筋肉>肝臓)。

 

4.
コリ回路では、「乳酸」からグルコースが産生される。

 

乳酸→筋肉痛・肩こり→コリ回路って感じで覚えていたよ。

グルコース・アラニン回路では、アミノ酸からグルコースが酸性される。

 

5.
脂肪酸は、糖新生の材料として「利用されない」。

 

乳酸、ピルビン酸、アミノ酸、プロピオン酸などから、おおむね解糖を逆行してD-グルコースをつくる経路を糖新生という。
脂肪酸やアセチルCoAはピルビン酸に変換できないので、この代謝経路にのらない。

 


B.正解4

 

1.
アドレナリンは、血糖値を「上昇」させる。

 

血糖を上げる作用に影響があるホルモンには成長ホルモン、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン))、甲状腺ホルモン(チロキシン)、グルカゴン、ソマトスタチンなどがあります。

 

2.
グルココルチコイドは、血糖値を「上昇」させる。

 

<グルココルチコイド>
副腎皮質の束状帯の細胞で産生されるステロイドホルモン。
コルチゾール(ヒドロコルチゾン)やコルチゾンなどがある。
肝臓での糖新生促進作用により、血糖値を上昇させる。

 

3.
チロキシンは、血糖値を「上昇」させる。

 

4.
正答
インスリンは、血中グルコースの脂肪組織への取り込みを促進する。

 

5.
血糖値が低下すると、骨格筋におけるグルコース消費は「抑制される」。

 

 

C.正解5

 

1.
筋肉グリコーゲンは、血糖維持に「利用されない」。

 

筋肉グリコーゲンは血糖維持には利用されない。筋肉にはグルコース-6-ホスホターゼが無いため、グルコースを生成できない。

 

2.
インスリンは、筋肉への血中グルコースの取り込みを「促進する」。

 

筋肉組織だけでなく、インスリンによりグルコースの取り込みは促進される。

 

3.
健常者の血糖値は、食後「約1時間」で最高値となる。

 

糖尿病患者では、血糖の取り込みがうまくいかないため、最高値に達する時間は多く必要とする。2~3時間後とか、それ以上かかる場合もある。

 

4.
糖新生は、「肝臓や腎臓」で行われる。

 

5.
正答
アドレナリンは、肝臓グリコーゲンの分解を促進する。

 

血糖を上げる作用に影響があるホルモンには成長ホルモン、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)、副腎髄質ホルモン(カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン))、甲状腺ホルモン(チロキシン)、グルカゴン、ソマトスタチンなどがあります。

 


D.正解5

 

1.
不溶性食物繊維には、便量を増加させる作用がある。

 

2.
水溶性食物繊維には、血清コレステロールの低下作用がある。

 

3.
大腸での発酵により生成された短鎖脂肪酸は、エネルギー源になる。

 

4.
大腸での発酵により生成された短鎖脂肪酸は、ミネラル吸収を促進する。

 

5.
正答
有用菌の増殖を促進する難消化性糖質を、「プレバイオティクス」という。

 

解説もするけど、プレバイオティクスが腸内細菌のえさになるもの、プロバイオティクスが菌そのものって部分を覚えておけば大丈夫です。

 

<解説>

<プレバイオティクス>
「消化管に常在する有用な細菌を選択的に増殖させる、あるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」 で、オリゴ糖類や,食物繊維類などがある。
有用な腸内細菌の餌となる食品成分を摂取することによって腸内環境を改善する。

 

プレバイオティクスには、次のような条件が求められいる。
①消化管上部で分解、吸収されないこと
②大腸に共生するビフィズス菌などの有益な細菌の栄養源となり、それらの細菌の増殖を促進すること
③腸内フローラを健康的な構成に改善できること
④ヒトの健康に対し有益に作用すること


<プロバイオティクス>
「腸内細菌叢のバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物菌体」 であり、Lactobacillus属細菌 (乳酸菌)、Bifidobacterium属細菌 (ビフィズス菌) などの生菌製剤およびヨーグルトなどがある。
菌そのものの作用で腸内環境を良くすることにより、私たちの健康に役立つ微生物群で、効果としては、便秘や下痢、乳糖不耐症の改善効果、免疫機能の改善による感染防御やアレルギーの抑制効果などが報告されている。

 

プロバイオティクスには次のような条件が求められている。
①安全であること
②ヒトの腸内フローラを構成する細菌であること
③胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達すること
④腸内で増殖できること
⑤ヒトに対して明らかに有用であること
⑥食品などの形で有効な菌数を維持できること
⑦取り扱いやすく安価であること

 


E.正解5

 

1.
不溶性食物繊維は、血圧を「低下させる」。

 

食物繊維には、水に溶けないもの(不溶性食物繊維)と溶けるもの(水溶性食物繊維)がある。

 

<不溶性食物繊維>
玄米やごぼうに含まれるセルロースやココアなどに含まれるリグニン、カニの甲羅のキチンなど。
一般的に不溶性食物繊維は糞便量を増やすなどの効果が大きいと言われる。

 

<水溶性食物繊維>
水に溶けると見えなくなる水溶性のものは昆布やワカメなどのヌルヌルした部分や果物などに含まれるペクチン、こんにゃくの成分であるグルコマンナンなど。
小腸において他の栄養素の消化・吸収を抑制したり阻止する効果が大きいので、血中コレステロール低下や血糖値の改善に効果がある。
腸内細菌による発酵を受けやすい性質をもつため、発酵産物の短鎖脂肪酸として大腸の粘膜のエネルギー源や生体のエネルギー源として利用されている。
グルコマンナンをはじめとした水溶性食物繊維は、水分を吸ってどろどろとした状態になり、高粘度になった状態の食物繊維は小腸内の余分な糖分、コレステロール、ナトリウムを吸着し、体外に排出するため糖尿病や動脈硬化高脂血症心筋梗塞予防として利用されている。

 

2.
水溶性食物繊維は、大腸内pHを「低下」させる。

 

グルコマンナンをはじめとした水溶性食物繊維は、水分を吸ってどろどろとした状

態になり、高粘度になった状態の食物繊維は小腸内の余分な糖分、コレステロール、ナトリウムを吸着し、体外に排出するため。

 

3.
難消化性糖質は、「インスリンの分泌に影響しない」。

 

難消化性糖質は消化・吸収をする事が出来ないため、血糖値に影響は与えないのでインスリン分泌も影響しない。

 

4.
難消化性糖質の過剰摂取は、「下痢」を引き起こす。

 

<解説>
過剰摂取による下痢が起こるのは、牛乳を大量に摂取した時に生じる乳糖不耐症と同一に考えられている。
乳糖不耐症では、小腸粘膜ラクターゼが欠損しているか、その活性が非常に低いため、乳糖が消化されにくくなる。
小腸で消化されなかった乳糖は、大腸へ移行すると大腸内浸透圧が上昇する。
浸透圧が一定以上になると大腸内に貯留する水分量が多くなって、下痢が生じる。
難消化性糖質も、消化吸収されない糖質が大腸へ移行するため、乳糖不耐症における乳糖の時と同様に、大腸での浸透圧を高めて下痢を誘発する。

 

5.
正答
有用菌増殖効果のあるオリゴ糖は、プレバイオティクスである。

 

プレバイオティクスが腸内細菌のえさになるもの、プロバイオティクスが菌そのもの。

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!