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感染症についての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!

知識を身に着けていきましょう!!

質問等ありましたら、コメント欄にお気軽にどうぞ

 

 

A.感染症とその病原体の組み合わせである。正しいものを1つ。

 

1.淋病      マイコプラズマ

2.梅毒      真菌

3.麻疹(ましん )細菌

4.水痘(すいとう)ウイルス

5.手足口病    リケッチア

 

 

B.感染症に関する記述である。正しいものを2つ。

 

1.エイズ(AIDS)では、CD4陽性リンパ球が増加する。

2.MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の感染経路は、接触感染である。

3.麻疹の感染経路は、経口感染である。

4.結核は、新興感染症である。

5.ヘリコバクター・ピロリ菌は、ウレアーゼ活性をもつ。

 

 

C.感染症に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.大腸菌は、グラム陽性菌である。

2.麻疹の感染経路は、経口感染である。

3.結核は、再興感染症である。

4.重症急性呼吸器症候群SARS)の病原菌は、真菌である。

5.梅毒の病原体は、クラミジアである。

 

 

D.感染症に関する記述である。正しいものを1つ。
1.わが国の肝細胞がんの原因として、B型肝炎ウイルスが最も多い。

2.黄色ブドウ球菌は、グラム陰性球菌である。

3.結核は、新興感染症である。

4.レジオネラ感染症の原因は、生の鶏肉の摂取である。

5.カンジダ症は、消化菅に起こる。

 

 

E.感染症の感染経路に関する記述である。誤っているものを1つ。

 

1.結核は、空気感染である。

2.コレラは、水系感染である。

3.アニサキスは、いかの生食で感染する。

4.風疹は、胎児に垂直感染する。

5.C型肝炎は、経口感染である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


A.正解4


<淋病>

淋菌への感染により起こる感染症性感染症(性病、STD)のひとつ。

淋菌性尿道炎では尿道の強い炎症と痛みを生じ、膿みが生じる。

女性や咽喉への感染では無症状のことも多い。     

 

マイコプラズマ

細菌の一属。

真核生物を宿主とする寄生生物で、細胞壁を持たず細胞やゲノムが非常に小さいという特徴を持つ。

感染すると風邪、肺炎、気管支炎などを引き起こす。マクロライド系抗生物質が有効とされているが、基本的には免疫力で自然治癒するため、水分や栄養補給、しっかりした休養をとることが大切。

 

<梅毒>

昔から知られるSTD(性病・性感染症)のひとつ。

「大動脈炎」「大動脈瘤」「ゴム腫形成」「鞍鼻(あんび)」などが発症する可能性もある。

治療薬ペニシリンが発見されるまでは、不治の病として恐れられていたが、今は早期治療で完治する。

 

漫画「JIN―仁」でも取り扱われた事でも有名(?)


<麻疹(ましん):別名「はしか」>

麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性感染症

中国由来の呼称で、発疹が麻の実のようにみえる。

麻疹は、麻疹ウイルスによるものであり、その感染力は極めて強く、同じ空間に患者と居るだけで感染してしまう。

麻疹ウイルスに接触すると、免疫を持っていない人はほぼ100%発症し、マスクや手洗いでもウイルス侵入は防げない。

子どもに発症することが多く、通常、約10日間の潜伏期を経て発症する。感染経路は空気感染、飛沫感染接触感染と多彩である。


<水痘(すいとう):別名「水ぼうそう水疱瘡」>

水痘帯状疱疹ウイルスによる、感染力が非常に強いウイルス感染症で、かゆみのある特徴的な発疹が現れる。

 発疹は小さな斑点で、盛り上がったり、水疱(水ぶくれ)を形成したり、かさぶたができたりする。空気感染、飛沫感染接触感染により広がり、その潜伏期間は感染から2週間程度と言われる。

発疹の発現する前から発熱が認められ、典型的な症例では、発疹は紅斑(皮膚の表面が赤くなること)から始まり、水疱、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)を経て痂皮化(かさぶたになること)して治癒するとされている。

主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めると言われている。

 

手足口病

夏季に流行し、7月に感染のピークを迎えるウイルス性の感染症

ウイルス感染により、口の中や手足に水疱(水膨れ)ができる。

エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなど手足口病を引き起こすウイルスの種類は多数ある。

一度感染するとウイルスに対しての免疫はできるが、他の種類のウイルスには免疫がないため、繰り返しかかることがある。

感染者のほとんどが小児で、90%前後は5歳以下の子どもである。

まれに、無菌性髄膜炎脳炎、心筋炎、肺水腫、ギラン・バレー症候群など重篤な合併症が起こる場合もある。

 

以下参照

 

<ウイルス>

他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある。インフルエンザウイルス・ノロウイルスロタウイルスアデノウイルス・麻疹ウイルス・風疹ウイルス・肝炎ウイルス・ヘルペスウイルス・HIV など

 

<細菌>

分類学上のドメインの一つ、あるいはそこに含まれる生物のことである。 sn-グリセロール3-リン酸の脂肪酸エステルより構成される細胞膜を持つ原核生物と定義される。ブドウ球菌大腸菌サルモネラ菌緑膿菌コレラ菌結核菌・ボツリヌス菌破傷風菌・レンサ球菌 など

 

<真菌>

外部の真菌あるいは常在する真菌類がヒトや脊椎動物の組織内に侵入し、異常に増殖して発症する疾患である。代表的な真菌症として白癬菌による白癬(水虫、たむし、およびしらくも)やカンジダによるカンジダ症、クリプトコックスによるクリプトコックス症、アスペルギルスによるアスペルギルス症などが知られている。

 

<リケッチア>

細菌より小さくウイルスより大きい一群の微生物。発疹(ほっしん)チフス・つつがむし病の病原体などを含む。ダニ等の節足動物を媒介とし、ヒトに発疹チフスあるいは各種リケッチア症を引き起こす。ウイルスと同じように細胞外で増殖できない。偏性細胞内寄生体とも呼ばれる。

 

 

B.正解2かつ5

 

1.

エイズ(AIDS)では、CD4陽性リンパ球が「減少」する。

 

HIVがCD4陽性リンパ球()に感染した結果、これらの細胞の中でHIVが増殖し、免疫に大切なこれらの細胞が体の中から徐々に減っていく。

その結果免疫不全が生じ、普段は感染しない病原体(日和見感染症)や悪性腫瘍にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症します。

 

2.

正答

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の感染経路は、接触感染である。

 

MRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus)>

黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚、鼻腔などの体表面に定着します。特に鼻腔には10~40%くらい定着しています。普段は害がないのですが、皮膚を切ったり、刺されたりすることで感染が起きます。

MRSAは医療関連感染の代表的な原因菌の一つですが、欧米では市中感染型のMRSA感染症も増えています。

病院内では抗菌薬の暴露、他の患者さんとの接触、院内伝播によって黄色ブドウ球菌の耐性菌の比率が高くなるため、呼吸器感染症、菌血症、術後感染症などが起こりやすくなります。

 

3.

麻疹の感染経路は、「空気感染、飛沫感染接触感染」である。

 

麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性感染症。感染経路は空気感染、飛沫感染接触感染と多彩である。

 

4.

結核は、「再興感染症」である。

 

<新興感染症(Emerging Infectious Disease)>

その発症がにわかに注目されるようになった感染症に対する総称である。新しく発見された病原微生物による感染症で、病原体としてはウイルス、細菌、スピロヘータ寄生虫など様々で、ウイルスによるものとしてはエイズエボラ出血熱、ラッサ熱などがある。

 

恐らく今回の「コロナウイルス」も含まれるのではないでしょうか?(未確定情報)

 

<再興感染症(Re-Emerging Infectious Disease)>

その発症が一時期は減少していたが、再び注目されるようになった感染症に対する総称である。抗生物質などの発達により一時期は制圧できたものの、何らかの原因で再度公衆衛生上問題となった疾患を指す。現在再興感染症に挙げられるものとして、結核マラリアデング熱狂犬病黄色ブドウ球菌感染症などがある。

 

5.

正答ヘリコバクター・ピロリ菌は、ウレアーゼ活性をもつ。

 

胃潰瘍の原因菌として知られるヘリコバクター・ピロリはウレアーゼ(尿素分解酵素)を発現してアルカリ性であるアンモニアを産生し、局所的に胃酸を中和することで胃内での生息が可能となっている。

 

 

C.正解3

 

1.

大腸菌は、「グラム陰性菌」である。

 

グラム陽性菌と陰性菌の基本的な違いは外膜(outer membrane)が有るか無いか、グラム染色で染まるか染まらないかにある。又、細胞壁グラム陽性菌の方がより厚い。


グラム陽性菌  外膜無い 細胞壁厚い(250nm)染色で紫色に染まる

グラム陰性菌 外膜有る 細胞壁薄い(8 nm)紫色に染まらず赤く見える 

 

参考として細菌の分類
グラム陽性菌:乳酸菌・ビフィズス菌黄色ブドウ球菌結核菌・炭そ菌・肺炎球菌・ボツリヌス菌など

 

グラム陰性菌:酢酸菌・大腸菌コレラ菌サルモネラ菌歯周病菌など

 

これはかなり深い所の知識であるので、結構意地悪な問題ですね。他の設問で正答を導けるように基本をしっかりと身に着けていきましょう。

 

2.

麻疹の感染経路は、「空気感染、飛沫感染接触感染」である。

 

3.

正答

結核は、再興感染症である。

 

現在再興感染症に挙げられるものとして、結核マラリアデング熱狂犬病黄色ブドウ球菌感染症などがある。

 

4.

重症急性呼吸器症候群SARS)の病原菌は、「ウイルス」である。

 

重症急性呼吸器症候群SARS:Severe acute respiratory syndrome)>

SARSコロナウイルスによる全身性の感染症で、2002年11月16日に、中国南部の広東省で非定型性肺炎の患者が報告されたのに端を発し、北半球のインド以東のアジアやカナダを中心に感染拡大。2003年3月12日にWHOから「グローバルアラート」が出され、同年7月5日に終息宣言が出されるまで、32の地域と国にわたり8,000人を超える症例が報告されました。

感染経路は、飛沫および接触(糞口)感染が主体となりますが、空気感染の可能性も否定できません。コウモリをはじめ、ハクビシンやタヌキ、ネズミなどの動物が媒介する可能性も指摘されておりますが、確定的な結論はまだ出ていません。ヒトで感染源となりうるのは有症者だけで、潜伏期間にある発症前の患者が感染源になった症例は確認されていません。

 

5.

梅毒の病原体は、「梅毒トレポネーマ」である。

 

クラミジア>日本で最も多い性感染症(STD)で、クラミジア・トラコマチスという細菌によって起こる。 性行為によって女性の子宮頸管や男性の尿道、喉の粘膜などに感染するケースが多い。 女性は症状が出にくいことが多く、約80%が無症状であるため自覚しにくい。

 

 

D.正解5

 

1.

わが国の肝細胞がんの原因として、「C型肝炎ウイルス」が最も多い。

 

C型肝炎ポイントとして、針差し(注射・点滴など)での血液感染であり、慢性肝炎を引き起こし、ワクチンが無いものです。肝細胞がんの原因のうち、約80%はB型肝炎C型肝炎といった肝炎ウイルスです。他には、アルコールや脂肪肝のような生活習慣から肝機能障害を起こし、肝細胞がんが発生することもあります。詳細は肝炎の所で掘り下げていきますので、ここではこのくらいで。

 

2.

黄色ブドウ球菌は、「グラム陽性球菌」である。

 

3.

結核は、「再興感染症」である。

 

4.

レジオネラ感染症の原因は、「主にレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(細かい霧やくしゃみのようなしぶき)の吸引」である。

 

<レジオネラ感染症

レジオネラ属菌による細菌感染症。 主な病型として、重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎(在郷軍人病)」と、一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」が知られている。人から人への感染はないとされる。

 

生の鶏肉摂取で、カンピロバクターという食中毒を引き起こすリスクが高まる。

 

5.

正答カンジダ症は、消化菅に起こる。

 

カンジダ症>

カンジダ属の真菌(かび)による感染症カンジダは口の中、消化管、腟に常に生息していて、通常は人体に害を及ぼさないが、特定の条件下では、粘膜や皮膚の湿った部分に過剰に増殖する。

感染しやすい部位は、粘膜では口の中、食道粘膜、陰部の粘膜、皮膚では鼠径部(そけいぶ)、脇の下、女性の乳房の下、腹のたるみなど。

 


E.正解5

 

1.

結核は、空気感染である。

 

2.

コレラは、水系感染である。

 

3.

アニサキスは、いかの生食で感染する。

 

4.

風疹は、胎児に垂直感染する。

 

垂直感染:病原体が親から子どもに伝播される感染様式のこと。妊娠中の胎内感染、出産時の産道感染、出生後の経母乳感染などがあり、母子感染ともいう。

 

5.

正答

C型肝炎は、「血液感染」である。

 

C型肝炎ポイントとして、針差し(注射・点滴など)での血液感染であり、慢性肝炎を引き起こし、ワクチンが無いものです。肝細胞がんの原因のうち、約80%はB型肝炎C型肝炎といった肝炎ウイルスです。他には、アルコールや脂肪肝のような生活習慣から肝機能障害を起こし、肝細胞がんが発生することもあります。

 

 

今回は以上。
繰り返しが大事です!

何回繰り返すの?正答を導きだすための理論を身につけるまでです。 

 

頑張っていきましょう!!