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血液・リンパ・凝固系についての問題 6問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.血液系に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.赤血球の寿命は、約21日である。
2.赤芽球の分裂・増殖は、エリスロポエチンにより抑制される。
3.血小板は、核をもつ。
4.単球が血管外へ遊走すると、マクロファージになる。
5.肥満細胞は、異物を貪食(どんしょく)する。

 


B.血液系疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.腎性貧血は、エリスロポエチンの増加で起こる。
2.再生不良性貧血は、ビタミンB12欠乏で起こる。
3.壊血病は、ビタミンA欠乏で起こる。
4.血友病は、ビタミンK不足で起こる。
5.播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(DIC)では、血小板減少がみられる。

 

 

C.血管系疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.血友病は、ビタミンK欠乏により起きる。
2.突発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、骨髄の低形成がみられる。
3.鉄欠乏性貧血では、血清フェリチン値は低下する。
4.溶血性貧血では、血清ハプトグロビン値は上昇する。
5.再生不良性貧血は、葉酸欠乏により起きる。

 

 

D.血液疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.鉄欠乏性貧血では、総鉄結合能(TIBC)が低下する。
2.悪性貧血は、内因子の欠如で起こる。
3.腎性貧血では、エリスロポエチン産生が亢進する。
4.突発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、ビタミンK欠乏がみられる。
5.血友病では、ハプトグロビンが低下する。

 

 

E.貧血に関する記述である。正しいものを2つ。

 

1.再生不良性貧血では、血中ハプトグロビンが増加する。
2.巨赤芽球性貧血では、赤芽球のDNA合成が障害される。
3.悪性貧血では、内因子が増加する。
4.溶血性貧血では、血中のビリルビンが増加する。
5.鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能(UIBC)が低下する。

 

 

F.貧血に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.ビタミンB6の欠乏は、巨赤芽球性貧血をきたす。
2.銅の欠乏は、再生不良性貧血をきたす。
3.溶血性貧血では、ハプトグロビン高値となる。
4.腎性貧血では、エリスロポエチン高値となる。
5.鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能(UIBC)が高値となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解4

 

1.
赤血球の寿命は、「約120日」である。

 

2.
赤芽球の分裂・増殖は、エリスロポエチンにより「促進」される。

 

エリスロポエチン(Erythropoietin: EPO)>
赤血球の産生を促進する造血因子の一つ(造血ホルモンともサイトカインとも)。
分子量は約34000、165個のアミノ酸から構成され、血液中のエリスロポエチン濃度は、貧血、多血症などの鑑別診断に用いられる。
組織の低酸素に応答して産生され、骨髄などの造血細胞に働いて赤血球産生を刺激する。

 

3.
血小板は、核を「もたない」。

 

血小板は骨髄中の造血幹細胞が巨核芽球になり、次に巨核球(巨大核細胞)になった後、巨核球の細胞質がちぎれたものです。
そのため細胞質のみから構成されており核を持たず、また形も不定形です。

 

4.
正答
単球が血管外へ遊走すると、マクロファージになる。

 

単球は、白血球の一種で、最も大きなタイプの白血球である。マクロファージや、樹状細胞に分化することができる。

 

マクロファージ:生体内に侵入した細菌・ウイルス・死んだ細胞を貪食する。貪食したウイルスなどを、活性酸素や消化酵素を利用して殺滅する。

 

樹状細胞:皮膚・鼻腔・肺・胃・腸管に存在し、周囲に突起を伸ばして異物を監視している。取り込んだ抗原を他の免疫系の細胞に伝える役割を持っている。
(その後T細胞とかB細胞の活性化につながるが、その話は別の機会に)

 

5.
「マクロファージや好中球は」、異物を貪食(どんしょく)する。

 

貪食:一般にはむさぼり食うこと。がつがつ食らうこと。生理作用的には体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用をさす。

 


B.正解5

 

1.
腎性貧血は、エリスロポエチンの「減少」で起こる。

 

エリスロポエチンは「腎臓から分泌」され、骨髄における赤血球産生を促進させる。腎臓機能障害が起きると、エリスロポエチン分泌にも影響し、赤血球産生が低下。そのため腎臓が要因となる貧血(腎性貧血)をきたす。

 

2.
「巨赤芽球性貧血」は、ビタミンB12欠乏で起こる。

 

巨赤芽球性貧血:DNA合成に必要なビタミンB12葉酸欠乏により、赤芽球の成熟が阻害される。成熟していない大きな赤血球(巨赤芽球)ができ、正常な赤血球が生成されないため、巨赤芽球性貧血を引き起こす。
胃粘膜の萎縮による内因子の低下によりビタミンB12が欠乏することで生じる貧血である「悪性貧血」は、巨赤芽球性貧血の一種。

 

3.
壊血病は、「ビタミンC」欠乏で起こる。

 

ビタミンCはコラーゲン合成に関与するため、欠乏すると血管の結合組織がもろくなり出血しやすくなる。これを壊血病と呼ぶ。
大航海時代の船乗りに多かった歴史があります。

 

4.
血友病は、「遺伝子の異常」で起こる。

 

血友病:遺伝子の異常により、血液凝固因子の欠損や活性が低下し、出血症状をきたす。

 

5.
正答
播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(DIC)では、血小板減少がみられる。

 

<播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation)>
本来出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が、全身の血管内で無秩序に起こる症候群。
小さな血栓が全身の血管のあちこちにできて、細い血管を詰まらせる病気で、血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こす。

 

イメージとしては、体内の色んな箇所でエコノミークラス症候群血栓詰まり)が起きるリスクが高くなるので対処が必要。

播種(はしゅ)とは、畑に種をまくことを意味し、この場合、種に相当するのが血栓です。

 


C.正解3

 

1.
血友病は、「遺伝子の異常」により起きる。

 

血友病:遺伝子の異常により、血液凝固因子の欠損や活性が低下し、出血症状をきたす。

 

2.
突発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、骨髄の低形成が「みられない」。

 

突発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura):血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気。

血小板の表面の抗原と反応する自己抗体が産生され、血小板が脾臓で破壊されてしまう自己免疫疾患。厚生労働省の指定難病の一つ。「免疫性血小板減少症」とも呼ばれる。

 

3.
正答
鉄欠乏性貧血では、血清フェリチン値は低下する。

 

血清中のフェリチン濃度は体内のフェリチン量に比例する。
成人血清中のフェリチン1ng/mlは貯蔵鉄約8mgにあたるといわれているため、血清フェリチン測定により体内の貯蔵鉄の量を把握できる。
フェリチンが低下していれば、貯蔵鉄の減っている鉄欠乏状態が診断でき、増加していれば貯蔵鉄の増加しているヘモクロマトーシス、ヘモジデローシスや慢性疾患による貧血などの病態が推定可能となる。

 

高値:慢性疾患の貧血、頻回輸血時、悪性腫瘍
低値:鉄欠乏性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症

 

4.
溶血性貧血では、血清ハプトグロビン値は「低下」する。

 

ハプトグロビン
主に肝臓で産生されるヘモグロビン結合たんぱく質。溶血性貧血により有毒な遊離ヘモグロビンが増加するため、ハプトグロビンが結合し無毒化する。多くのハプトグロビンが消費される事になると、血液中のハプトグロビン値は低下(減少)する。

 

<参考>
血液中の遊離ヘモグロビンは容易に腎臓の糸球体を通過します。
糸球体を通過したヘモグロビンは尿細管上皮細胞に取り込まれてヘムとグロビンに分解されるのですが、このうちヘムは尿細管上皮細胞に対して毒性を示し、尿細管の機能障害(腎障害)を引き起こすといわれています。


5.
「巨赤芽球性貧血」は、葉酸欠乏により起きる。

 

巨赤芽球性貧血:DNA合成に必要なビタミンB12葉酸欠乏により、赤芽球の成熟が阻害される。成熟していない大きな赤血球(巨赤芽球)ができ、正常な赤血球が生成されないため、巨赤芽球性貧血を引き起こす。

 


D.正解2

 

1.
鉄欠乏性貧血では、総鉄結合能(TIBC)が「上昇」する。

少しでも多くの鉄を必要とする状態のため、結合できる可能性・能力を高める必要がある。

 

2.
正答
悪性貧血は、内因子の欠如で起こる。

 

胃粘膜の萎縮による内因子の低下によりビタミンB12が欠乏することで生じる貧血である「悪性貧血」は、巨赤芽球性貧血の一種。

 

3.
腎性貧血では、エリスロポエチン産生が「低下」する。

 

エリスロポエチンは「腎臓から分泌」され、骨髄における赤血球産生を促進させる。腎臓機能障害が起きると、エリスロポエチン分泌にも影響し、赤血球産生が低下。そのため腎臓が要因となる貧血(腎性貧血)をきたす。

 

4.
突発性血小板減少性紫斑病(ITP)では、ビタミンK欠乏が「みられない」。

 

ビタミンKは影響を与えないです。

 

突発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura):血小板減少を来たす他の明らかな病気や薬剤の服薬がなく血小板数が減少し、出血しやすくなる病気。

血小板の表面の抗原と反応する自己抗体が産生され、血小板が脾臓で破壊されてしまう自己免疫疾患。厚生労働省の指定難病の一つ。「免疫性血小板減少症」とも呼ばれる。

 

5.
「溶血性貧血」では、ハプトグロビンが低下する。

 

ハプトグロビン
主に肝臓で産生されるヘモグロビン結合たんぱく質。溶血性貧血により有毒な遊離ヘモグロビンが増加するため、ハプトグロビンが結合し無毒化する。多くのハプトグロビンが消費される事になると、血液中のハプトグロビン値は低下(減少)する。

 


E.正解2かつ4

 

1.
「溶血性貧血」では、血中ハプトグロビンが「減少」する。

 

ハプトグロビン
主に肝臓で産生されるヘモグロビン結合たんぱく質。溶血性貧血により有毒な遊離ヘモグロビンが増加するため、ハプトグロビンが結合し無毒化する。多くのハプトグロビンが消費される事になると、血液中のハプトグロビン値は低下(減少)する。

 

再生不良性貧血(Aplastic anemia)>
造血幹細胞減少に基づく骨髄機能低下によって発症、末梢血における汎血球減少症と骨髄低形成を特徴とする骨髄不全症の一つ。
血液中のすべての細胞を生み出す造血幹細胞が減少し、血液中の赤血球、白血球、血小板が減少してしまう病気で、この状態を汎血球減少と呼ぶ。

英語の正確な和訳は低形成貧血であり、日本語の「再生不良性」は別の研究者が提唱したaregenerative anemiaを和訳したもの。

 

2.
正答
巨赤芽球性貧血では、赤芽球のDNA合成が障害される。

 

3.
悪性貧血では、内因子が「減少」する。

 

胃切除によりビタミンB12の吸収に必要な「キャッスル内因子」が欠乏することにより、悪性貧血をきたす。

 

<キャッスル内因子>
胃から分泌される糖タンパク質で、ビタミンB12と結合して腸でのビタミンの吸収を促進する機能がある。ビタミンB12は外因子とよばれ、内因子の合成不良は悪性貧血を起こす。

 

4.
正答
溶血性貧血では、血中のビリルビンが増加する。

 

溶血性貧血では赤血球の破壊が過剰に行われるため、代謝産物であるビリルビンが肝の処理能力を超えて過剰に増加する。

 

<溶血性貧血(ようけつせいひんけつ、hemolytic anemia)>
赤血球が破壊されることによって起こる貧血。 赤血球が破壊されることを溶血と言い、本症は溶血で起こる貧血なので溶血性貧血と言う。

 

5.
鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能(UIBC)が「上昇」する。

 

体内では一般的に鉄だけが遊離しているわけではなく、トランスフェリンという蛋白質と結合しています。鉄はトランスフェリンと結合しているものとしていないものがあります。
トランスフェリンと結合している鉄(血清鉄)と鉄と結合していないトランスフェリン(不飽和鉄結合能)の総和を総鉄結合能(TIBC)といいます。

高値:鉄欠乏状態、造血能亢進
低値:鉄過剰状態、悪性腫瘍、感染症、造血能低下 等

 

不飽和鉄結合能(UIBC):血液中の鉄と結合している内トランスフェリンの量を示す。
鉄が不足する鉄欠乏性貧血では、鉄と結合していないトランスフェリンの量が増えるため、不飽和鉄結合能が高値を示す。

 


F.正解5

 

1.
ビタミンB12葉酸」の欠乏は、巨赤芽球性貧血をきたす。

 

2.
銅の欠乏は、「鉄欠乏性貧血」をきたす。

 

3.
溶血性貧血では、ハプトグロビン「低値」となる。

 

ハプトグロビン
主に肝臓で産生されるヘモグロビン結合たんぱく質。溶血性貧血により有毒な遊離ヘモグロビンが増加するため、ハプトグロビンが結合し無毒化する。多くのハプトグロビンが消費される事になると、血液中のハプトグロビン値は低下(減少)する。

 

4.
腎性貧血では、エリスロポエチン「低値」となる。

 

エリスロポエチンは「腎臓から分泌」され、骨髄における赤血球産生を促進させる。腎臓機能障害が起きると、エリスロポエチン分泌にも影響し、赤血球産生が低下。そのため腎臓が要因となる貧血(腎性貧血)をきたす。

 

5.
正答
鉄欠乏性貧血では、不飽和鉄結合能(UIBC)が高値となる。

 

不飽和鉄結合能(UIBC):血液中の鉄と結合している内トランスフェリンの量を示す。
鉄が不足する鉄欠乏性貧血では、鉄と結合していないトランスフェリンの量が増えるため、不飽和鉄結合能が高値を示す。

 


今回は以上。
貧血にも色々種類があるので、ポイントを押さえて習得していきましょう。

エリスロポエチン 造血作用 腎臓で分泌され、骨髄で赤血球が作られる。

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正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

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