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生殖器系についての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.生殖器の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.卵巣は、卵胞刺激ホルモンを分泌する。
2.子宮は、底部で膣と連続している。
3.子宮内膜の増殖は、エストロゲンで促進される。
4.前立腺は、内分泌腺である。
5.精子は、精嚢で作られる。

 


B.妊娠と分娩に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.受精した日を妊娠0週0日とする。
2.妊娠43週の分娩は、正期産である。
3.ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は、白体から黄体の形成を促す。
4.糖尿病がある妊婦は、巨大児分娩の制度が高い。
5.浮腫は、妊娠高血圧症候群の定義に含まれる。

 

 

C.妊娠、分娩と乳汁分泌に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.プロラクチンの急激な分泌増加により、排卵が起こる。
2.着床後、受精卵の卵割が始まる。
3.胎盤を通して、母体と胎児の血球が混合する。
4.プロラクチンは、子宮を収縮させる。
5.オキシトシンは、射乳を起こす。

 

 

D.妊娠と妊娠合併症に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.受精卵の着床部位から、プロゲステロンが分泌される。
2.オキシトシンは、乳汁の産生を促進する。
3.妊娠により、黄体は消失する。
4.糖代謝異常合併妊娠では、ケトアシドーシスの頻度が増加する。
5.妊娠高血圧症候群の重症度は、血清アルブミン値で分類する。

 

 

E.女性生殖器疾患と妊娠合併症に関する記述である。最も適当なものを1つ。

 

1.子宮頸がんは、腺がんが多い。
2.ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、子宮体がんの予防に用いる。
3.閉経後の肥満は、乳がんのリスク因子である。
4.妊娠高血圧症候群の重症度は、浮腫の有無で分類する。
5.妊娠中に発症した明らかな糖尿病を、妊娠糖尿病という。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解3

 

1.
「脳下垂体前葉」は、卵胞刺激ホルモンを分泌する。

 

卵巣は、エストロゲン(卵胞ホルモン)・プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌する。

 

<参考>
卵胞ホルモン(エストロゲン)の特徴
排卵前に精子が通りやすくなるように子宮
・頸管の分泌液を増やす
・妊娠中に乳汁が出るのを抑える
・女性らしいカラダを作る
・肌の潤いやハリを保つ(コラーゲン生成を助ける)
・血管を強くしなやかにして動脈硬化を防ぐ
・骨密度を保つ
・髪をツヤツヤにする
・物忘れを予防する
・善玉コレステロールを増やし、悪玉を減らす

 

黄体ホルモン(プロゲステロン)の特徴
・子宮内膜や子宮筋の働きを調節する
・乳腺を発育させる
・体内の水分量を保つ
・食欲を増進させる
基礎体温を上昇させる
・眠くなる
・イライラする・憂鬱になる


2.
子宮は、底部で「卵管」と連続している。

 

3.
正答
子宮内膜の増殖は、エストロゲンで促進される。

 

子宮の最も内側をおおっている粘膜が子宮内膜。

 

卵胞期:脳下垂体より卵胞刺激ホルモン分泌され、卵胞ではエストロゲンが分泌される。
増殖期:エストロゲンが子宮内膜を成長させる。
排卵
黄体期排卵した後の卵胞からプロゲステロンが分泌される。
分泌期:子宮内膜が成長を止めて受精卵が着床できるようにする時期

 

着床すると黄体はプロゲステロンを分泌し、子宮内膜は脱落膜化を完了する。
着床しなければ、黄体はプロゲステロンを分泌しなくなり、子宮内膜も出血を伴って削げ落ちる。→月経

 

4.
前立腺は、「外分泌腺」である。

 

外分泌腺…消化液を導管を通して分泌する腺
内分泌腺…ホルモンを血液を通して分泌する腺

 

両方を有している特殊な臓器が「膵臓(すいぞう)」外分泌部分の腺房細胞の中に、島状にランゲルハンス島が存在するが、それは内分泌腺。
他に内分泌臓器としては、下垂体・甲状腺副甲状腺・副腎など。

 

前立腺
男性にしかない生殖器の一つ。
前立腺液といわれる精液の一部を作り、精子に栄養を与えたり、精子を保護する役割を持っている。

 

前立腺自体はホルモンを分泌しないので、外分泌腺に分類されると考えていくと楽だと思う。

 

5.
精子は、「精巣」で作られる。

 

精嚢(せいのう):前立腺の後ろに一対ある長さ5cmほどの袋状の器官。精嚢液を分泌して射精のときに精子と混ぜ合わせ精液を作る。

 

 

B.正解4

 

1.
「最終月経日の初日」を妊娠0週0日とする。

 

2.
妊娠43週の分娩は、「過期産」である。

 

正期産:予定日前後の妊娠37週から42週未満の分娩
過期産:妊娠42週以降の分娩

 

3.
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は、白体から「黄体の発達」を促す。

 

<ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン(hCG)>
妊娠中に産生されるホルモン。
hCGは黄体の保持を促進し、それにホルモンのプロゲステロンを分泌させる。
プロゲステロンは子宮の内側を血管で肥厚させ胎児の成長ができるようにする。

 

4.
正答
糖尿病がある妊婦は、巨大児分娩の制度が高い。

 

巨大児:出生体重が4000g以上である新生児。遺伝的な結果のものと、糖尿病の母体から出生した新生児にみられる。

 

糖尿病の母体から出生した新生児の場合は、呼吸障害、低血糖、低カルシウム血症、多血症、高ビリルビン血症(新生児黄疸)、心不全症状など多様な症状がみられるため、注意が必要。

 

5.
浮腫は、妊娠高血圧症候群の定義に「含まれない」。

 

妊娠高血圧症候群:妊娠時に高血圧を認めた場合を指す。

 


C.正解5

 

1.
「黄体形成ホルモン」の急激な分泌増加により、排卵が起こる。

 

黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone):卵巣に働き、エストロゲンプロゲステロンを分泌させます。

 

視床下部より「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」が脳下垂体に分泌される
脳下垂体より「卵胞刺激ホルモン(FSH)」が卵巣に分泌され、成熟卵を作るよう働きかける
卵巣は「FSH」の刺激で卵胞は発育し、「エストロゲン」を分泌。エストロゲンは子宮に働きかけ、子宮内膜を厚くしていく。
フィードバックが起き、視床下部より「黄体化ホルモン(LH)」を分泌するよう脳下垂体に働きかける。
脳下垂体は「LH」を分泌させ、卵巣に排卵を起こすよう働きかけ、排卵後の卵胞を白体から黄体に変化させる。
卵巣での「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は子宮に働きかけ、着床しやすい内膜にするよう働きかける。

 

ちなみに、脳下垂体は「プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)」を分泌するよう働きかけます。これにより、乳汁が生産されるようになっていきます。

 

2.
「着床前」、受精卵の卵割が始まる。

 

卵割:1つの細胞である受精卵が細胞分裂を繰り返す事。受精直後から卵割がみられ、その後、子宮内膜へと着床する。


3.
胎盤を通して、母体と胎児の血球が「混合しない」。

 

母体と胎児は、胎盤を通じて栄養・老廃物・酸素・二酸化炭素などの交換を行っている。胎盤では母体の血管と胎児の血管は繋がっていなく接しているだけであるため、母体と胎児の血球が混合する事はない。

 

血液型が母子で違うのはこれが理由。
繋がっていたら、母子の血液型はほぼ(必ず?)同じになると思う。

 

4.
オキシトシン」は、子宮を収縮させる。

 

オキシトシン
末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。 末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、分娩時に子宮収縮させる。
また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。

 

5.
正答
オキシトシンは、射乳を起こす。

 

 

D.正解4

 

1.
「妊娠黄体」から、プロゲステロンが分泌される。

 

黄体形成ホルモン(LH:luteinizing hormone):卵巣に働き、エストロゲンプロゲステロンを分泌させます。

 

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン):妊娠した後にできる絨毛から分泌されるホルモンで、黄体を妊娠黄体に変化させる働きを持っています。

 

2.
オキシトシンは、乳汁の「分泌」を促進する。

 

脳下垂体は「プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)」を分泌するよう働きかけます。これにより、乳汁が生産されるようになっていきます。


3.
妊娠により、黄体は「維持される」。

 

4.
正答
代謝異常合併妊娠では、ケトアシドーシスの頻度が増加する。

 

妊娠中に血糖が高くなることで注意を必要とする糖代謝異常には、大きく分けて3種類がある。

 

「妊娠糖尿病」
妊娠中に発見または発症した糖尿病ほどではない軽い糖代謝異常

 

「妊娠中の明らかな糖尿病」
もしかしたら妊娠前から診断されていない糖尿病があったかもしれないという糖代謝異常などが含まれる

 

「糖尿病合併妊娠」
糖尿病といわれていたひとが妊娠した状態

 

<糖尿病ケトアシドーシス
血糖値を下げる働きをするインスリンが不足し、十分に血糖値が下がらないことで起こります(インスリン分泌不足)。血糖をエネルギー源として利用できないため、からだはエネルギー不足になってしまいます。そのため、かわりに脂肪がエネルギー源として分解されて利用される。
血糖値は250mg/dL以上まで上昇することがあり、ひどい場合は意識がなくなる昏睡(こんすい)状態に陥ります。脂肪の分解によってケトン体という物質が血液中に増え、血液が酸性に傾く(アシドーシス)。

 

5.
妊娠高血圧症候群の重症度は、「血圧と蛋白尿」で分類する。

 


E.正解3

 

1.
子宮頸がんは、「扁平上皮がん」が多い。

 

<腺がん>
各臓器の分泌腺組織の細胞から発生したがんのこと。
肺腺がん・肝臓腺がん・膵臓腺がん・乳腺がん・大腸がん・胃腺がんなど、身体のあらゆる臓器に発生。

 

<扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)>
体を構成する組織のうち、扁平上皮とよばれ、体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織から発生するがん。
口の中、舌、のど、食道、気管、肺、肛門、外陰部、腟、子宮頸部などに発生。

 

2.
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、「子宮頸がん」の予防に用いる。

 

子宮頸がんの原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。
多くの場合、性交渉によって感染すると考えられていて、発がん性HPVは、すべての女性の約80%が一生に一度は感染していると報告があるほどとてもありふれたウイルスです。
このため、性行動のあるすべての女性が子宮頸がんになる可能性を持っています。

 

<子宮体部>
子宮の上部3分の2を占めるふくらんだ部分。
起こりやすい病気:子宮筋腫、子宮体がん、子宮腺筋症(子宮内膜症

 

<子宮頸部>
子宮の下部3分の1を指す。子宮体部から続く細くくびれた部分。
起こりやすい病気:子宮筋腫、子宮頸がん

 

3.
正答
閉経後の肥満は、乳がんのリスク因子である。

 

乳がんの主なリスク要因
・初経年齢が早い
・閉経年齢が遅い
・出産歴がない
・初産年齢が遅い
・授乳歴がない・閉経後の肥満
・飲酒習慣
・一親等の乳がんの家族歴
・良性乳腺疾患の既往歴

 

4.
妊娠高血圧症候群の重症度は、「血圧」で分類する。

 

5.
「妊娠中に初めて発見・発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常」を妊娠糖尿病という。

 

「妊娠糖尿病」
妊娠中に発見または発症した糖尿病ほどではない軽い糖代謝異常

 

 


今回は以上。
女性ホルモンのそれぞれの働きと、作用の順番・仕組みを整理して覚えていきましょう。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!