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運動器疾患の成因・病態・診断・治療についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.運動器系に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.エストロゲンは、骨吸収を促進する。
2.骨粗鬆症では、骨密度が増加する。
3.関節リウマチでは、多発関節炎が起こる。
4.変形性関節症では、関節軟骨の肥大が起こる。
5.サルコペニアでは、骨格筋量が増加している。

 


B.骨粗鬆症に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.骨粗鬆症では、骨塩量が増加する。
2.骨粗鬆症は、骨の石灰化障害である。
3.くる病は、小児に発症した骨粗鬆症である。
4.エストロゲンは、骨吸収を促進する。
5.副腎皮質ステロイド病の長期投与は、骨粗鬆症のリスク因子である。

 

 

C.骨粗鬆症に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.骨芽細胞は、骨吸収に働く。
2.カルシトニンは、骨吸収を促進する。
3.エストロゲンは、骨形成を抑制する。
4.尿中デオキシビリジノリンは、骨形成マーカーである。
5.YAM(若年成人平均値)は、骨密度の評価に用いられる。

 

 

D.サルコペニアに関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.加齢による場合は、二次性サルコペニアという。
2.サルコペニアは、内臓脂肪量で評価する。
3.筋肉量は、増加する。
4.握力は、増大する。
5.歩行速度は、遅くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

A.正解3

 

1.
エストロゲンは、骨吸収を「抑制」する。

 

エストロゲンは「破骨細胞」の働きを抑制する働きがある。
更年期でエストロゲン分泌が減少すると、破骨細胞を抑制できずに骨粗鬆症リスクが高まる。


2.
骨粗鬆症では、骨密度が「減少」する。

 

<骨密度>
骨の強度を表す指標。
骨に存在するカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が単位面積あたり、どの程度あるかを示したもの。


3.
正答
関節リウマチでは、多発関節炎が起こる。

 

関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。
腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。
手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。

3領域以上の関節に炎症を認めるとき多発性関節炎と称するが、関節リウマチだと放置してると領域が広がる可能性が高くなる。

 

<参照>(関連内容だから、さらっと流してくれていいよ)
多発性関節炎はほとんどは関節リウマチ、乾癬性関節炎、紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患を原因とするが、ロスリバーウイルスなどの感染症を原因とするものもある。


4.
変形性関節症では、関節軟骨の「変性」が起こる。

 

加齢や関節に加わる負荷の増大により、関節軟骨が変性し、関節の痛み・腫脹(しゅちょう)・運動制限等が生じる

腫脹:腫瘍(しゅよう)・炎症などによって身体組織の一部分がはれあがること。

 

<参考>
「炎症の5徴」とは、発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害の5つの徴候を指します

 

5.
サルコペニアでは、骨格筋量が「減少」している。

 

サルコペニア:加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こること

 


B.正解5

 

1.
骨粗鬆症では、骨塩量が「減少」する。

 

骨塩定量検査:骨粗鬆症を診断するために骨中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分の量を測定する検査

 

2.
「骨軟化症やくる病」は、骨の石灰化障害である。

 

<骨軟化症>
骨や軟骨の石灰化障害により、類骨(石灰化していない骨器質)が増加する病気で、骨成長後の成人に発症するもの
骨石灰化度の低下をきたす全身性の代謝性骨疾患で、骨強度の低下により骨折や疼痛の原因となる。

 

<くる病>
骨成長前の小児に発症するもの

 

3.
くる病は、小児に発症した「骨軟化症」である。

 

4.
エストロゲンは、骨吸収を「抑制」する。

 

5.
正答
副腎皮質ステロイド病の長期投与は、骨粗鬆症のリスク因子である。

 

世界保健機関(WHO)はFRAXという骨粗しょう症リスク予測を推奨しています。

 

FRAX(fracture risk assessment tool)のリスク因子
①高齢(特に男性70歳以上・女性65歳以上は高リスク)
②性別(女性は高リスク)
③やせ形体型
④25歳からの4㎝以上の身長低下
⑤脊柱の変形
⑥親が大腿骨近位部骨折をしたことがある
⑦喫煙歴がある
ステロイド薬の内服治療
⑨関節リウマチの患者
⑩アルコール摂取量が1日24~30g以上
⑪骨密度検査で異常が言われたことがある

など

 

 

C.正解5

 

1.
骨芽細胞は、「骨形成」に働く。

 

2.
カルシトニンは、「骨形成」を促進する。

 

3.
エストロゲンは、「骨吸収」を抑制する。

 

4.
尿中デオキシビリジノリンは、「骨吸収」マーカーである。

 

<参照>覚えなくていいよ

代謝マーカーには以下の3つの種類があります。

① 骨形成マーカー
骨形成で中心的な働きをする骨芽細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質です。

代表的なものに、OC 、BAP、P1NP、と呼ばれる物質があります。

骨芽細胞に由来する酵素の骨型ALP(BAP)
石灰化の調節因子のオステオカルシン(OC)
コラーゲン前駆体の断片(プロペプチド)・・・PICP、PINP

 

② 骨吸収マーカー
骨吸収で中心的な働きをする破骨細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質、もしくは破骨細胞が骨を破壊するときに作り出される物質です。

代表的なものに、NTX 、TRACP-5b、と呼ばれる物質があります。

破骨細胞に由来する酵素の酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)
コラーゲン分解産物
架橋体(クロスリンク)・・・ピリジノリン、デオキシピリジノリン
ペプチド結合架橋体・・・NTX、CTX、ICTP

※デオキシピリジノリン(DPD)も骨吸収マーカーだが、近年ではより優れた骨吸収マーカーが開発されたため、臨床的重要性は低下している。

 

③ 骨質マーカー
骨の強さには、骨密度だけでなく骨質も関係しています。

特にビタミンKの欠乏は骨質に悪影響を与え、その結果ucOCという物質の血中濃度が上がります。


5.
正答
YAM(若年成人平均値)は、骨密度の評価に用いられる。

 

骨密度検査では、骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを測定します。 骨密度は若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかで表されます。

 

<若年成人比較>
若年齢(20歳~44歳の最も骨量が多いとされる成人期)の平均骨密度を100%として比較したもの

若年成人平均値70~80% ⇒骨量減少
〃 70%未満 ⇒骨粗鬆症

 


D.正解5

 

1.
加齢による場合は、「一次性サルコペニア」という。

 

一次性:加齢以外に原因が明らかでない場合
二次性:加齢の他に1つ以上の原因が明らかな場合

 

2.
サルコペニアは、「筋肉量」で評価する。

 

3.
筋肉量は、「減少」する。

 

4.
握力は、「低下」する。

 

5.
正答
歩行速度は、遅くなる。

 

 


今回は以上。

エストロゲン・カルシトシンとの関係や、骨吸収・骨形成の仕組みは必ず出るのでしっかり整理してくださいね。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!