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呼吸器系の構造と機能についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.呼吸器の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.左肺は、上葉、中葉、下葉からなる。
2.横隔膜は、呼気時に弛緩する。
3.内呼吸は、肺胞で行われるガス交換である。
4.血中二酸化炭素分圧の上昇は、ヘモグロビンの酸素結合能力を高める。
5.肺活量は、残気量を含む。

 


B.呼吸器系に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.右肺は、2葉に分かれている。
2.中枢性化学受容器は、延髄に存在する。
3.肺活量は、全肺気量に残気量を加えたものである。
4.横隔膜は、呼気時に収縮する。
5.外呼吸は、末梢組織における酸素と二酸化炭素のガス交換である。

 

 

C.呼吸器系の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.左肺は、上葉、中葉、下葉からなる。
2.横隔膜は、呼気時に収縮する。
3.血中二酸化炭素分圧の上昇は、ヘモグロビンの酸素結合能力を低下させる。
4.内呼吸は、肺胞で行われるガス交換である。
5.肺のコンプライアンスが小さいほど、肺は膨らみやすい。

 

 

D.呼吸器系の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.左気管支は、右気管支より垂直に近い。
2.外肋間筋は、呼気時に収縮する。
3.肺胞膜を介してのガス拡散能は、二酸化炭素より酸素が高い。
4.二酸化炭素は、血液中で重炭酸イオンになる。
5.静脈血の酸素飽和度は、約97%である。

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

A.正解2

 

1.
「右肺」は、上葉、中葉、下葉からなる。

左肺:上葉、下葉の2葉からなる。

 

2.
正答
横隔膜は、呼気時に弛緩する。

 

吸気時(吸息運動)
息を吸うときの動作
外肋間(ろっかん)筋収縮 → 胸郭(きょうかく)上昇・横隔膜収縮 → 肺が広がる

 

呼気時(呼息運動)
息を吐くときの動作
内肋間筋が収縮 → 胸郭下降・横隔膜弛緩 → 肺が縮む

 

3.
内呼吸は、「組織」で行われるガス交換である。

 

肺胞で行われるガス交換は、外呼吸です。

内呼吸は「細胞・組織」と「血液(赤血球が運ぶ酸素)」の間で行われるガス交換
外呼吸は「外気・大気」と「肺・肺胞」の間で行われるガス交換

 

<内呼吸(ないこきゅう)>
血液と組織細胞の間、あるいは組織内部で行われるガス交換のこと。 細胞呼吸ともいう。
外呼吸(肺で行われる換気)によって血液中に取り入れられた酸素は、血管から組織液中にうつり、細胞内に達する。
細胞から組織液中に出た二酸化炭素は、血管内の血液にとけ込み、肺に送られる。

 

<外呼吸(がいこきゅう)>
大気から肺で酸素を取り入れ血液に送り込み、二酸化炭素を放出する機能のこと。
肺の肺胞と毛細血管の間でガス交換が行われる。


4.
血中二酸化炭素分圧の上昇は、ヘモグロビンの酸素結合能力を「低下させる」。

 

血中二酸化炭素分圧が上昇すると、ヘモグロビンの酸素結合能力が低下し、ヘモグロビンに結合している酸素が解離してしまう。

 

ヘモグロビンは、酸素を肺で受け取り組織で放出します。
肺では、酸素結合能(酸素と結びつく力)が上昇(より多くの酸素を取り込まないといけない)しないといけないし、組織では酸素結合能が低下(運んできた酸素をより多く供給するために、酸素と結びつく力が弱まらないといけない)しなければならない。

肺では外気が入るので「血液の温度の低下」、CO2が排泄されるので、「CO2分圧の低下」、「pHの上昇」のような変化で、「ヘモグロビンの酸素結合能が上昇」していく。
一方、組織では体の内部なので、「血液の温度の上昇」、組織からCO2が産生されるので、「CO2分圧の上昇」、「pHの低下」のような変化で、「ヘモグロビンの酸素結合能が低下」していく。

 

<補足>
細胞で酸素需要が高まればヘモグロビンから多くの酸素をもらって二酸化炭素を回収してもらわないといけないという働きが円滑に行われないといけないのですが、その仕組みの事を突き詰めたのがこの問題となります。
関連して、酸素解離曲線というのがあります。
そこには、

 

運動などにより CO2 が増加するとアシドーシスに傾く。
代謝亢進、病気による体温上昇、低酸素状態で生成される 2-3DPG(解糖で赤血球中で生じる)が増加する。
これにより酸素需要が高まり酸素が大量に使われる。

 

とあるのですが、恐らくこんな感じの部分から切り取ったのが今回の問題です。

 

・血液の中で二酸化炭素が多くなったら酸素が欲しいのでヘモグロビンからより多くの酸素を強奪する。

 

・血液の中で二酸化炭素がそんなに多くなければ、酸素は特に不要なので、ヘモグロビンに酸素をキープさせておく。

 

という感じの事ををイメージしていればいいと思うよ。

 

5.
肺活量は、残気量を「含まない」。

 

<肺活量(vital capacity、VC)>
息を最大限吸い込んだ後に肺から吐き出せる空気量のこと。
肺の全肺気量(Total lung capacity、TLC)から残気量(residual volume、RV)を引いた値と一致する。
肺気量の単位はmLが用いられる。
呼吸時に動かす事が出来る(移動できる)最大空気量の事。

 

肺活量と全肺気量は違います。

「全排気量」が肺の中にある全ての空気の事で、「肺活量」と「残気量」2つに分ける事が出来ます。

 

上記したように「肺活量」は動かす事が出来る空気量の事です。
「残気量」が存在する理由は、肺胞が潰れたりしないようであったり、肺を保護する・形状や機能の維持ためにも必要だからです。
存在しないと毎回の呼吸で真空パックのような状態になってしまうと勝手に思っているのですが、相当な負荷がかかるようなイメージを持っています。

 


B.正解2

 

1.
右肺は、「3葉」に分かれている。

 

右肺が3葉に分かれています。
私は「右3(葉)」「右3くさい(うさんくさい:胡散臭い)」と語呂合わせで覚えていました。

 

2.
正答
中枢性化学受容器は、延髄に存在する。

 

呼吸の神経性調節の話になるのですが、この中では化学受容器は2つ存在しています。
「延髄」にある「中枢性化学受容器」と、「頸動脈小体」にある末梢性化学受容器」です。

 

中枢性化学受容器では、脳脊髄液中の二酸化炭素分圧が上昇する事で、二酸化炭素濃度を減らすための換気促進のために延髄の呼吸中枢を刺激して換気を促進させます。

 

末梢性化学受容体では、動脈血中の酸素分圧が低下すると、酸素濃度を増やすための換気促進のために、延髄の呼吸中枢を刺激して換気を促進させます。

 

<補足:呼吸中枢>
呼吸運動を支配する神経中枢。
哺乳類では延髄にあり、脳からの命令や血液中の二酸化炭素濃度の影響を受けて活動し、呼吸筋に運動の命令を送る。

 

3.
「全肺気量」は、「肺活量」に残気量を加えたものである。

 

全排気量」が肺の中にある全ての空気の事で、「肺活量」と「残気量」2つに分ける事が出来ます。

上記したように「肺活量」は動かす事が出来る空気量の事です。
「残気量」が存在する理由は、肺胞が潰れたりしないようであったり、肺を保護する・形状や機能の維持ためにも必要だからです。
存在しないと毎回の呼吸で真空パックのような状態になってしまうと勝手に思っているのですが、相当な負荷がかかるようなイメージを持っています。

 

4.
横隔膜は、「吸気時」に収縮する。

 

吸気時(吸息運動)

息を吸うときの動作
外肋間(ろっかん)筋収縮 → 胸郭(きょうかく)上昇・横隔膜収縮 → 肺が広がる

 

呼気時(呼息運動)
息を吐くときの動作
内肋間筋が収縮 → 胸郭下降・横隔膜弛緩 → 肺が縮む


5.
「内呼吸」は、末梢組織における酸素と二酸化炭素のガス交換である。

 

内呼吸は「細胞・組織」と「血液(赤血球が運ぶ酸素)」の間で行われるガス交換
外呼吸は「外気・大気」と「肺・肺胞」の間で行われるガス交換

 


C.正解3

 

1.
「右肺」は、上葉、中葉、下葉からなる。

 

右肺が3葉に分かれています。
私は「右3(葉)」「右3くさい(うさんくさい:胡散臭い)」と語呂合わせで覚えていました。←ゴリ押し

 

2.
横隔膜は、「吸気時」に収縮する。

 

吸気時(吸息運動)
息を吸うときの動作
外肋間(ろっかん)筋収縮 → 胸郭(きょうかく)上昇・横隔膜収縮 → 肺が広がる

 

呼気時(呼息運動)
息を吐くときの動作
内肋間筋が収縮 → 胸郭下降・横隔膜弛緩 → 肺が縮む

 

3.
正答
血中二酸化炭素分圧の上昇は、ヘモグロビンの酸素結合能力を低下させる。

 

血液の中で二酸化炭素が多くなったら酸素が欲しいのでヘモグロビンからより多くの酸素を強奪する。
血液の中で二酸化炭素がそんなに多くなければ、酸素は特に不要なので、ヘモグロビンに酸素をキープさせておく。

 

4.
「外呼吸」は、肺胞で行われるガス交換である。

 

内呼吸は「細胞・組織」と「血液(赤血球が運ぶ酸素)」の間で行われるガス交換
外呼吸は「外気・大気」と「肺・肺胞」の間で行われるガス交換


5.
肺のコンプライアンスが小さいほど、肺は「膨らみにくい」。

 

コンプライアンス(はいコンプライアンス)とは、肺の膨らみやすさの指標となるもので、一定の気道内圧の上昇に伴う肺容量の増大の程度を示す値。
気流が存在しない状態での肺の膨らみやすさを示す。

 


D.正解4

 

1.
「右気管支」は、「左気管支」より垂直に近い。

 

気管支は左右で太さや傾きが異なっています。
右気管支のほうが左気管支より分岐する角度が小さく、右気管支は25度、左気管支は45度です。
左気管支が急角度で曲がっているのに対し、右気管支は緩やかに曲がっています。
右気管支のほうが太くて短いため、異物が右気管支に入りやすいという特徴があります。

 

垂直:まっすぐにたれていること。重力の方向。

 

2.
外肋間筋は、「吸気時」に収縮する。

 

吸気時(吸息運動)
息を吸うときの動作
外肋間(ろっかん)筋収縮 → 胸郭(きょうかく)上昇・横隔膜収縮 → 肺が広がる

 

呼気時(呼息運動)
息を吐くときの動作
内肋間筋が収縮 → 胸郭下降・横隔膜弛緩 → 肺が縮む


3.
肺胞膜を介してのガス拡散能は、「酸素」より「二酸化炭素」が高い。

 

二酸化炭素は酸素に比べ、血液中への溶解度が高いため、肺胞膜を介してのガス拡散能は高くなる。

※調べてもわかりやすい解説が出来そうにないので、このまま覚えた方が早そうな問題です。ごめんね。

 

4.
正答
二酸化炭素は、血液中で重炭酸イオンになる。

 

二酸化炭素は、赤血球内で水和し、炭酸脱水素酵素の働きで、水素イオンと重炭酸イオンを生じる。
二酸化炭素の物理的溶解は約 10%である。

二酸化炭素は重炭酸イオン (HCO3-)として運ばれるのが約 70%である。(その方が効率良く運搬できる)

 

5.
「動脈血」の酸素飽和度は、約97%である。

酸素がこれだけ多い(多く含んでいる)のは、静脈ではなく動脈だという事です。

 

今回は以上。
出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!