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内分泌疾患の成因・病態・診断・治療の概要についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.ホルモンと内分泌疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.バソプレシンは、水の再吸収を抑制する。
2.成長ホルモンは、下垂体後葉から分泌される。
3.バセドウ病では、徐脈がみられる。
4.原発性アルドステロン症は、高カリウム血症を起こす。
5.褐色細胞腫は、高血圧を起こす。

 


B.内分泌疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.クッシング症候群では、テタニーを起こす。
2.原発性アルドステロン症では、高カリウム血症を起こす。
3.褐色細胞腫では、高血圧を起こす。
4.甲状腺機能低下症では、眼球突出を起こす。
5.抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症を起こす。

 

 

C.内分泌疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.原発性アルドステロン症では、高カリウム血症がみられる。
2.甲状腺機能亢進症では、徐脈がみられる。
3.ADH不適切分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。
4.褐色細胞腫では、低血糖がみられる。
5.クッシング症候群では、中心性肥満がみられる。

 

 

D.内分泌疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。
2.バセドウ病では、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の上昇がみられる。
3.原発甲状腺機能低下症では、血清クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇がみられる。
4.クッシング症候群では、低血糖がみられる。
5.原発性アルドステロン症では、高カリウム血症がみられる。

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

A.正解5

 

1.
バソプレシンは、水の再吸収を「促進」する。

 

バソプレシン
抗利尿ホルモン(ADH:antidiuretic hormone)の事
ヒトを含む多くの動物で見られるペプチドホルモン。ヒトでは視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌される。


2.
成長ホルモンは、下垂体「前葉」から分泌される。

 

下垂体「前葉」より分泌されるホルモン6つ

・成長ホルモン    (GH : growth hormone)
甲状腺刺激ホルモン (TSH : thyroid stimulating hormone)
・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH: adrenocorticotropic hormone )
・卵胞刺激ホルモン  (FSH : follicle stimulating hormone)
・黄体形成ホルモン  (LH : luteinizing hormone)
・乳腺刺激ホルモン  (プロラクチン)

 

下垂体「後葉」より分泌されるホルモン2つ

オキシトシン
・抗利尿ホルモン(ADH)

 

3.
バセドウ病では、「頻脈」がみられる。

 

バセドウ病
甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、動悸や息切れ、手足の震え、疲れやすさやだるさなどさまざまな全身症状が起こる。
20~50歳代に発症することが多く、中でも30~40歳代の患者が多い。
男女の比率は男性1人に対して女性5~6人程度と女性に多くみられる。

 

4.
原発性アルドステロン症は、「低カリウム血症」を起こす。

 

原発性アルドステロン症>
副腎皮質ステロイドホルモンのひとつ、アルドステロンの分泌が過剰になるために起こる病気です。
アルドステロンは腎臓に作用し、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、体内にナトリウムと水分を蓄えるために高血圧になります。
また、尿のなかにカリウムを排泄する作用をもつため、このホルモンが過剰になると血液中のカリウムが減り、筋力が低下したりします。
高血圧症患者の5~10%がこの疾患といわれています。


5.
正答

褐色細胞腫は、高血圧を起こす。

 

<褐色細胞腫>
副腎髄質やその周囲の神経節にできる腫瘍で、カテコールアミンと呼ばれるホルモンを過剰につくり出し、二次性高血圧(ほかの疾患が原因で起こる高血圧)や糖尿病などの原因となる。
カテコールアミンとは、アドレナリン、ノルアドレナリンドーパミンなどの神経伝達物質やホルモンとして働く化学物質の総称で、本来は心臓の収縮力を増加させたり、全身の血管を収縮させたりすることで、血流を滞りなく全身に行きわたらせる働きを担っている。
褐色細胞腫では、このカテコールアミンが過剰に分泌されて高血圧や急激な血圧の変動を起こし、その結果として、頭痛、動悸、吐き気、異常な発汗、不安感といった症状をもたらす。

 


B.正解3

 

1.
クッシング症候群では、テタニーを「起こさない」。

 

<クッシング症候群>
内分泌腺の一つである副腎から、炭水化物や脂質、タンパク質の代謝をコントロールするコルチゾールというホルモンが慢性的に過剰分泌される疾患。
肥満、筋肉が衰え、皮膚が薄くなるなどの症状が特徴として現れる。
コルチゾールは生命の維持に不可欠なホルモンで、通常は起きた時に多く分泌され、寝ている時には減るが、クッシング症候群にかかると常時大量のコルチゾールが分泌され、糖尿病や高血圧、うつ病などさまざまな病気を誘発してしまう。

クッシング病は下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)過剰産生に起因するクッシング症候群であり、通常は下垂体腺腫に続発する。
典型的な症状および徴候には、満月様顔貌および中心性肥満、紫斑ができやすい、ならびにやせた四肢などがある。

 

<テタニー>
手足に起きる痺れの事。
血液中のカルシウム濃度が低下して、末梢神経の興奮性が高まり、筋肉の持続的な硬直をきたすもの。
この場合、口の周りや手足の先端のしびれ感を伴うことがよくある。

四肢末梢の筋攣縮、喉頭痙攣、痙攣発作を合併する神経症状。
副甲状腺機能低下症、過換気、ビタミンD欠乏症などによる血中遊離カルシウムの低下が原因で起こる。

 

2.
原発性アルドステロン症では、「低カリウム血症」を起こす。

 

原発性アルドステロン症は、アルドステロン分泌過剰となる。
アルドステロンにはカリウム排泄促進作用があるため、低カリウム血症が起こる。

 

3.
正答
褐色細胞腫では、高血圧を起こす。

 

褐色細胞腫では、このカテコールアミンが過剰に分泌されて高血圧や急激な血圧の変動・高血糖を起こし、その結果として、頭痛、動悸、吐き気、異常な発汗、不安感といった症状をもたらす。

 

4.
甲状腺機能亢進症」では、眼球突出を起こす。

 

バセドウ病甲状腺機能亢進症の原因として最もよくみられる。
心拍数と血圧の上昇、不整脈、過剰な発汗、神経質や不安、睡眠障害、意図しない体重減少などの症状がみられる。
また、眼の周囲が膨れる、涙が増える、刺激感、光過敏といった眼の症状が現れる。
そのほかにみられる特有な症状として、以下の2つがある。

・眼球の突出(眼球突出)
・ものが二重に見える(複視)

 

5.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、「低ナトリウム血症」を起こす。

 

<抗利尿ホルモン不適合分泌症候群>
SIADH:The syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone

バソプレシン(抗利尿ホルモン)は、腎臓から排泄される水分量を制御することで体内の水分量を調節しています。
バソプレシンは腎臓から排泄される水分量を減少させます。
これが過剰に分泌されると、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群では体内により多くの水分が保持され、体内のナトリウム濃度が薄まります。
血液中のナトリウム濃度が低いことを低ナトリウム血症といいます。

 


C.正解5

 

1.
原発性アルドステロン症では、「低カリウム血症」がみられる。

 

アルドステロンは腎臓に作用し、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、体内にナトリウムと水分を蓄えるために高血圧になります。
また、尿のなかにカリウムを排泄する作用をもつため、このホルモンが過剰になると血液中のカリウムが減り、筋力が低下したりします。

 

2.
甲状腺機能亢進症では、「頻脈」がみられる。

 

甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、動悸や息切れ、手足の震え、疲れやすさやだるさなどさまざまな全身症状が起こる。

 

3.
ADH不適切分泌症候群(SIADH)では、「低ナトリウム血症」がみられる。

 

バソプレシン(抗利尿ホルモン)は、腎臓から排泄される水分量を制御することで体内の水分量を調節しています。
バソプレシンは腎臓から排泄される水分量を減少させます。
これが過剰に分泌されると、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群では体内により多くの水分が保持され、体内のナトリウム濃度が薄まります。
血液中のナトリウム濃度が低いことを低ナトリウム血症といいます。

 

4.
褐色細胞腫では、「高血糖」がみられる。

 

褐色細胞腫は副腎髄質に発生し、アドレナリンの分泌が過剰となる。
アドレナリンは血糖値を上昇させる作用もあるので、高血糖が起こる。

 

5.
クッシング症候群では、中心性肥満がみられる。

 

コルチゾールの分泌が過剰となり、体幹に脂肪が沈着する中心性肥満が起こる。
特徴的な身体徴候として、満月様顔貌、野牛肩、中心性肥満、皮膚菲薄化、腹部赤色皮膚線条、近位筋の筋力低下などが見られる。

 


D.正解3

 

1.
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、「低ナトリウム血症」がみられる。

バソプレシン(ADH)は水の再吸収促進作用(抗利尿作用)があるため、SIADHでは低ナトリウム血症がみられる。

 

2.
バセドウ病では、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値の「低下」がみられる。

バセドウ病では、甲状腺ホルモン分泌が過剰となるため、負のフィードバック作用により上位ホルモンであるTSHの分泌が低下する。

 

3.
正答
原発甲状腺機能低下症では、血清クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇がみられる。

 

原発甲状腺機能低下症>
甲状腺ホルモンは、全身の代謝を維持するのに重要なホルモンですが、このホルモンが低下すると活動性が鈍くなり、昼夜を問わずの眠気、全身の倦怠感、記憶力や計算力の低下がみられ、体温低下・皮膚の乾燥・むくみ・脱毛・声の低音化してしわがれるのが特徴。
体重増加・便秘・無月経になる事もある。
顔や手足がむくみやすくなるのは、ムコ多糖類という物質が皮下にたまるからで、そのために押してもへこまない浮腫(むくみ)が起こり、粘液水腫といわれる理由になっている。
また、眉毛の外側3分の1が抜けるのも特徴。
アキレス腱をハンマーで叩いて反射をみると、もどる時の動きがゆっくりになる。


クレアチンキナーゼ:Creatine Kinase>
筋肉にエネルギーを貯めるときに働く酵素で、全身の運動をつかさどる筋肉(骨格筋)や心臓の筋肉(心筋)に多く含まれている。
そのためそれらの筋肉が傷害されたときに血液中で高値となる。

健診で行うような一般的検査でも、コレステロールクレアチンキナーゼが高値になるので、これをきっかけに甲状腺機能低下症が見つかることもある。

 

<補足>
原発甲状腺機能低下症とクレアチンキナーゼの関係性をズバッと記載しているものを見つけられなかったです。
このまま覚えた方が早いかも。

 

4.
クッシング症候群では、「高血糖」がみられる。

 

コルチゾール分泌が過剰となるため、糖新生が亢進する。
それで高血糖となる。

 

5.
原発性アルドステロン症では、「低カリウム血症」がみられる。

 

原発性アルドステロン症は、アルドステロン分泌過剰となる。
アルドステロンにはカリウム排泄促進作用があるため、低カリウム血症が起こる。

 


今回は以上。

専門用語が多い部分でありますが、病名・病状と特徴となるキーワードを絡めて繰り返していけば、頭に入っていきますので、繰り返しの学習が必須な部分です。

逆に言うと「内分泌疾患」に関しては、これくらいの範囲でしか試験には出ないという事にもなりますけどね。


出来るだけ毎日更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!