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腎・尿路系の構造と機能についての問題 5問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.腎・尿路系の機能と構造に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.赤血球は、糸球体でろ過される。
2.IgGは、糸球体基底膜を通過する。
3.原尿の10%が、尿として体外へ排出される。
4.糸球体を流れる血液は、動脈血である。
5.尿の比重は、1.000未満である。

 


B.腎と尿路系の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.尿細管は、糸球体とボーマン嚢で構成される。
2.原尿中のグルコースは、50%以上が尿中へ排出される。
3.ナトリウムの再吸収は、アルドステロンにより低下する。
4.レニンの分泌は循環血液量が低下すると亢進する。
5.腎不全が進行すると、代謝性アルカローシスになる。

 

 

C.腎臓の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.原尿は、尿細管で生成される。
2.糸球体に流入する血液は、静脈血である。
3.アルドステロンは、カリウムの再吸収を促進する。
4.バソプレシンは、水の再吸収を促進する。
5.糸球体濾過量は、腎血流量の約90%である。

 

 

D.腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.集合管は、ネフロンに含まれる。
2.アンジオテンシンⅡは、アルドステロンの分泌を抑制する。
3.アルドステロンは、腎実質から分泌される。
4.バソプレシンの分泌は、血漿浸透圧の上昇により減少する。
5.心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウム排泄を促進する。

 

 

E.腎臓での水・電解質調節に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.バソプレシンは、水の再吸収を抑制する。
2.カルシトニンは、カルシウムの再吸収を促進する。
3.副甲状腺ホルモン(PTH)は、リンの再吸収を抑制する。
4.心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの再吸収を促進する。
5.アルドステロンは、カリウムの排泄を抑制する。

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解4

 

1.
赤血球は、糸球体でろ過「されない」。

 

糸球体では、「いるもの」と「いらないもの」の区別ではなく、物質の大小だけで判断します。
赤血球や白血球といった細胞、分子の大きなタンパク質はろ過されず、血漿の中に残ります。
反対に、水分やグルコースアミノ酸電解質などはザルの目をくぐり抜け、原尿となります。

 

2.
IgGは、糸球体基底膜を通過「しない」。

 

IgGはたんぱく質で、分子も大きいので通過出来ない。
糸球体基底膜が損傷・障害があると、尿中にたんぱく質が通過し、尿たんぱくで陽性となる。

 

糸球体は毛細血管が糸玉のように丸まっており、血液が流れています。
糸球体毛細血管壁は、血管内皮細胞、基底膜および糸球体上皮細胞足突起によって構成されており、糸球体上皮細胞の足突起間には、「スリット膜」と呼ばれる構造物が構成され、内皮細胞、基底膜およびスリット膜の三層構造が血液のろ過膜として機能しています。

 

3.
原尿の「1%」が、尿として体外へ排出される。

 

尿細管は、原尿から塩分やたんぱく質など、体にとって必要な物質を選び出し、その約99%を再吸収します。
最終的に残りの1%が、不要な老廃物を含んだ水分である尿として、体外へ排出されます。

 

4.
正答
糸球体を流れる血液は、動脈血である。

 

5.
尿の比重は、「1.010~1.030」である。(1.000を超えます)

 


B.正解4

 

1.
「腎小体」は、糸球体とボーマン嚢で構成される。

 

「ネフロン(腎単位)」は「尿細管」と「腎小体」に分類される。
「腎小体」は「糸球体」と「ボーマン嚢」に分類される。
「尿細管」は「近位尿細管」「ヘレンループ」「遠位尿細管」に分類される。

 

<ネフロン(nephron:腎単位)>
腎臓の基本的な機能単位であり、腎小体とそれに続く1本の尿細管のこと。
人間の場合は左右の腎臓合わせて2百万個ほど存在し、各ネフロンで濾過、再吸収、分泌、濃縮が行われ、原尿が作られていく。
腎臓の皮質部分に位置する。

 

2.
原尿中のグルコースは、50%以上が尿中へ排出「されない」。

 

糸球体でろ過された原尿中のグルコースアミノ酸は、ほぼ100%が尿細管で血液中に再吸収され、尿中へは排泄されない。

 

3.
ナトリウムの再吸収は、アルドステロンにより「促進」する。

 

アルドステロンの分泌は一部では 副腎皮質刺激ホルモン(下垂体から分泌されるホルモン)によって調節されていますが、主にレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系によって調節されています( 血圧の制御:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)。

健常状態において副腎からのアルドステロン分泌は、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、塩分を体内に保持し、血圧を維持するはたらきを持ちます。

 

原発性アルドステロン症>
アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることによって引き起こされる疾患。
血圧上昇や血液中のカリウムの低下に伴う各症状(多尿、筋力低下、不整脈など)をきたす。

 

4.
正答
レニンの分泌は循環血液量が低下すると亢進する。

 

循環血液量が低下すると、レニン分泌が亢進する。
これによりレニン・アンギオテンシン系が活性化され、循環血液量が増加する。

 

<レニン>
腎臓の糸球体でつくられるタンパク質分解酵素の一種。
血液中のアンジオテンシノーゲンというタンパク質に働きかけ、アンジオテンシンⅠというホルモンを作る。
ここにアンジオテンシン変換酵素が働くことでアンジオテンシンⅡに変わるが、このホルモンが血管収縮、血圧上昇などの作用をもつ。
レニン-アンギオテンシン系は血液量の保持と、血圧上昇作用により血液の循環調節機構を形成している。

 

5.
腎不全が進行すると、「代謝性アシドーシス」になる。

 

酸性物質の排泄が障害される事になるため、酸性濃度が高まりアシドーシスをきたす。

人間の体は、弱アルカリ性です。
体内では、栄養素の代謝によって酸が生成されますが、健康な人の血液は常に一定のpH(7.4±0.05)になるように保たれています。
pHを一定に保つため、血液や体液の緩衝作用、呼吸による調節、腎臓による調節などがあります。
腎臓の機能が低下し、血中からアルカリ(HCO3-)が失われた結果、血液のpHが7.35以下に低下、つまり血液が酸性に傾いた状態を代謝性アシドーシスと言います。
逆にpHが7.45以上の状態をアルカローシスと言います。

軽い場合は症状がないこともありますが、通常は、吐き気、嘔吐、疲労感が生じます。
悪化に伴って、極度の脱力感と眠気を感じはじめ、意識がもうろうとして吐き気が強くなり、やがて、血圧が下がり、ショック、昏睡、死に至ります。

 


C.正解4

 

1.
原尿は、「腎小体」で生成される。

 

「腎小体」は「糸球体」と「ボーマン嚢」に分類される。

糸球体では、「いるもの」と「いらないもの」の区別ではなく、物質の大小だけで判断します。
赤血球や白血球といった細胞、分子の大きなタンパク質はろ過されず、血漿の中に残ります。
反対に、水分やグルコースアミノ酸電解質などはザルの目をくぐり抜け、原尿となります。

 

2.
糸球体に流入する血液は、「動脈血」である。

 

3.
アルドステロンは、「ナトリウム」の再吸収を促進する。
アルドステロンは、カリウムの「排泄」を促進する。

 

4.
正答
バソプレシンは、水の再吸収を促進する。

 

バソプレシン
ペプチドホルモン。ヒトでは視床下部で合成され、脳下垂体後葉から分泌される。
抗利尿ホルモン、血圧上昇ホルモンとも呼ばれる。

腎臓の尿細管に作用し、抗利尿ホルモンの利尿を妨げる働きは、体液の喪失を防ぎ、脱水やショックなど、循環血漿量が減少した時(血漿浸透圧が上昇した時)に、体液を保持する。
抗利尿ホルモンの不足は、尿量増加や尿崩症の原因となる。

 

5.
糸球体濾過量は、腎血流量の「約20%」である。

 

糸球体ろ過量(GFR: glomerular filtrate rate):1分間に糸球体でろ過される血液の量。正常な場合は100~110mL。

 


D.正解5

 

1.
集合管は、ネフロンに「含まれない」。

 

「ネフロン(腎単位)」は「尿細管」と「腎小体」に分類される。
「腎小体」は「糸球体」と「ボーマン嚢」に分類される。
「尿細管」は「近位尿細管」「ヘレンループ」「遠位尿細管」に分類される。

集合管は「尿細管」の先にあるもの。

 

2.
アンジオテンシンⅡは、アルドステロンの分泌を促進する。

 

アンジオテンシンⅡが作用する事で、交感神経伝達亢進・血管収縮・アルドステロン分泌となり、血圧が上昇する。

 

3.
アルドステロンは、「副腎皮質」から分泌される。

 

アルドステロンの分泌は一部では 副腎皮質刺激ホルモン(下垂体前葉から分泌されるホルモン)によって調節されていますが、主にレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系によって調節されています。

 

4.
バソプレシンの分泌は、血漿浸透圧の上昇により「増加」する。

 

腎臓の尿細管に作用し、抗利尿ホルモンの利尿を妨げる働きは、体液の喪失を防ぎ、脱水やショックなど、循環血漿量が減少した時(血漿浸透圧が上昇した時)に、体液を保持する。

 

5.
正答
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウム排泄を促進する。

 

<心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)>
主として心房で合成・貯蔵され、血液中に分泌されるホルモン。
水・ナトリウムの利尿、血管の拡張、レニン・アルドステロンの分泌抑制、循環血漿量の減少など多彩な生理作用を介して、生体の体液バランスならびに血圧調整に関与している。


多分こっちのBNPまでは出ないと思うけど、参考までに。

<脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)>
主として心室から血液中に分泌されるホルモン。
強力な水・ナトリウム利尿作用、血管拡張作用を有しており、心室に負荷がかかると分泌され、交感神経系およびレニン・アンギオテンシン系を抑制して、それらのホルモンと拮抗的に働いて心不全などの病態を改善させる。

 


E.正解3

 

1.
バソプレシンは、水の再吸収を「促進」する。

 

バソプレシン=抗利尿ホルモン(体外に水分(尿)が排泄されるのを阻害する)

 

2.
カルシトニンは、カルシウムの再吸収を「抑制」する。

 

副甲状腺ホルモン>(血中カルシウムを上昇)
骨吸収(骨から血液中にカルシウムを移動させる)
腸管からのカルシウム吸収率を増やす
尿中に排泄されるカルシウムの量を減らす(排泄抑制、再吸収促進)

 

<カルシトニン>(血中カルシウムを低下)
骨形成(血液中から骨にカルシウムを移動させる)
腸管からのカルシウム吸収率を減らす
尿中に排泄されるカルシウムの量を増やす(排泄促進、再吸収抑制)

 

3.
正答
副甲状腺ホルモン(PTH)は、リンの再吸収を抑制する。

 

副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウム濃度が低下すると分泌が高まり、骨に含まれているカルシウムを血中に取り出し、腎臓に作用してリンの再吸収を抑制し、カルシウムの再吸収を促して尿中への排泄を減らす。

 

4.
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの「排泄」を促進する。

 

<心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)>
主として心房で合成・貯蔵され、血液中に分泌されるホルモン。
水・ナトリウムの利尿、血管の拡張、レニン・アルドステロンの分泌抑制、循環血漿量の減少など多彩な生理作用を介して、生体の体液バランスならびに血圧調整に関与している。

 

5.
アルドステロンは、カリウムの排泄を「促進」する。

 

アルドステロンは、「ナトリウムの再吸収を促進」する。
アルドステロンは、「カリウムの排泄を促進」する。

 

 

 

今回は以上。

繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!