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循環器系についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.循環器疾患の成因と病態に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.くも膜下出血は、心房細動で起こる。
2.肺塞栓は、静脈血栓症で起こる。
3.右心不全では、肺うっ血が生じる。
4.狭心症では、心筋壊死が生じる。
5.腎血管性高血圧では、レニン分泌が低下する。

 


B.循環器疾患とそれを引き起こしやすい病態に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.脳出血     低血圧
2.くも膜下出血  一過性脳虚血発作(TIA)
3.ラクナ梗塞   心房細動
4.脳梗塞     下肢深部静脈血栓症
5.心筋梗塞    不安定狭心症

 

 

C.循環器疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.心房細動は、脳出血のリスク因子である。
2.心室細動は、致死性不整脈である。
3.心筋梗塞による胸痛には、ニトログリセリンが有効である。
4.仮面高血圧では、家庭血圧は正常である。
5.右心不全では、肺うっ血をきたす。

 

 

D.脳血管障害に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.ラクナ梗塞は、脳動脈瘤がリスク因子である。
2.一過性脳虚血発作(TIA)は、脳出血の前駆症状である。
3.脳出血は、頭部CTで低吸収領域として示される。
4.くも膜下出血は、症状に激烈な頭痛がある。
5.脳梗塞は、症状発現が緩徐である。

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

A.正解2

 

1.
脳梗塞」は、心房細動で起こる。

 

心房細動による不整脈が持続すると、心房内に血栓ができやすくなる。血栓が剥がれ脳に以降すると、脳梗塞を引き起こす。

 

2.
正答
肺塞栓は、静脈血栓症で起こる。

 

肺塞栓(エコノミークラス症候群
深部静脈で生じた血栓が、血液の流れによって肺へと移動し、肺の血管をふさぐこと。

<補足>
深部静脈血栓症:深部静脈という筋肉の中にある静脈に血の塊(血栓)ができ、血管を塞いでしまうことで起こる病気

 

3.
「左心不全」では、肺うっ血が生じる。

 

心不全だと肺・呼吸器に影響が出て、右心不全だと体循環に影響が出る事になります。

 

心不全:起坐呼吸・喘鳴・喀痰・頻脈・肺水腫・チアノーゼ・尿量低下がキーワード
肺に血液が溜まり(肺うっ血)、やがて肺が水浸しの状態(肺水腫)になるため、呼吸困難になる。

 

心不全:頸静脈怒張・胸水・腹水・浮腫がキーワード
心室の収縮力の低下により、体循環(右心系)が障害された状態で、体循環がうっ滞することにより、浮腫や肝腫大などの症状が出る。

 

4.
心筋梗塞」では、心筋壊死が生じる。

 

狭心症は、冠状血管が一過性に虚血した状態であり、心筋壊死はみられない。

 

5.
腎血管性高血圧では、レニン分泌が「上昇」する。

 

腎血管性高血圧では腎血流量が減少するため、レニン・アンギオテンシン系が活性化される。

 


B.正解5

心筋梗塞    不安定狭心症

 

用語解説

 

脳出血
脳の動脈が破れて脳の中に出血した状態。脳溢血(のういっけつ)と呼ばれることもある。
脳の血管から流れ出た血液が、脳内の神経細胞を圧迫することで障害が起き、頭痛や手足のまひ、言語障害意識障害などの症状を引き起こす。

 

くも膜下出血> 
脳を保護する3層の膜(外側から硬膜・くも膜・軟膜)のうち、くも膜と軟膜の間にある、「くも膜下腔」という隙間に出血が起こった状態をいう。
脳の動脈の分岐部にできた脳動脈瘤というこぶの破裂によって発症することが最も多く、他には脳動静脈奇形の破裂や頭部外傷などがきっかけとなる場合がある。

 

脳梗塞> 
脳内の血管が細くなったり、血栓ができて血管が詰まってしまい発生する症状。
血管が詰まると血液の流入が止まり、脳に酸素や栄養が行き渡らなくなる。
その結果、脳の神経細胞が壊死してしまい、さまざまな障害が生じる。

なお、くも膜下出血脳出血脳梗塞を合わせて脳卒中と呼ぶ。


<一過性脳虚血発作(TIA)>
手足のしびれや運動障害、言葉の障害などの脳卒中の症状が、短時間、通常は1時間以内に消失してしまう発作で、画像診断では脳梗塞の病変が認められないもの。
主な原因は動脈硬化と心房細動(不整脈)。脳が酸欠状態に陥ったことで症状が現れるが、脳細胞が壊れる前に血流が回復して元に戻る。

 

心筋梗塞
日本人の死亡原因の上位に挙げられている疾患で、突然死の原因にもなり得る疾患の一つ。
心筋に血液と酸素を送る冠動脈が動脈硬化で硬くなり、心筋に血液を送ることができない状態になることで、心筋が酸素不足に陥り壊死を起こしてしまう状態。
胸をえぐられるような強烈な痛みを突然感じ、その痛みは約20分以上継続する。
一度細胞が壊死すると二度と元の状態に戻すことができないため、迅速で的確な処置が必要。

 

狭心症
心臓のポンプを動かすエネルギーとなる酸素と栄養は冠動脈と呼ばれる心臓の表面を通る血管から送られてくるが、この冠動脈の血流が悪くなり心臓に栄養が足りない状態。
狭心症は患者の症状や心臓の状態で大きく「労作性狭心症」「安静時狭心症」「不安定狭心症」に分けられる。

 

<不安定狭心症
狭心症の発作の回数が増えたり、薬が効かなくなったり、ちょっとした動作で発作が起こったりするような状態で、心筋梗塞に移行するリスクがある。

※労作性狭心症 安静時狭心症までは管栄の試験では求められないので省略。出たらごめんね

 

<下肢深部静脈血栓症
手足の静脈に血栓ができるのが「深部静脈血栓症」で、できた血栓が血管の中を流れていき、肺の動脈に詰まる病気が「肺塞栓症」。
深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」は連続した病気なので、合わせて「静脈血栓塞栓症」(VTE)と呼ばれている。
下肢(脚部)の静脈に血栓が出来たら「下肢深部静脈血栓」となる。
これにより脚のむくみ・腫れ・痛み・太さの左右差が生じる。

 

<心房細動>
心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる「不整脈」の一種で、心房が痙攣したように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気。
いちばん問題となるのが、心房の中で「血液の固まり(血栓)」ができ、それが血流に乗って全身に運ばれ、血管を詰まらせてしまうこと。
動悸やめまい、心不全(心臓のポンプ機能が衰弱した状態)、脳梗塞の原因となる。

 

ラクナ梗塞>  
脳梗塞の病型のひとつ。
脳梗塞には2つのタイプがあり、1つは脳の血管が動脈硬化によって狭くなることで起きる「脳血栓」、もう1つは心臓にできた血栓が脳の血管に流れて詰まる「脳塞栓」。

ラクナ梗塞は動脈硬化により引き起こされるため、動脈硬化の原因となる生活習慣病(危険因子)の治療が最も効果的な予防法といえる。
三大危険因子として「高血圧」「脂質異常症(高脂血症)」「糖尿病」があり、これらを悪化させる生活習慣として「喫煙」「大量の飲酒」「運動不足」「肥満」などが挙げられる。

 

ラクナとは「湖」「水たまり」という意味で断層撮影検査上その梗塞があたかも水たまりのように見えることからこの名前が付いた。

 

 

C正解2

 

1.
心房細動は、「脳梗塞」のリスク因子である。

 

2.
正答
心室細動は、致死性不整脈である。

 

心室細動(Ventricular fibrillation: VF)
致死的不整脈の一つで、心臓の心室という場所が不規則に細かく動き、全身に血液を起こることが出来ない状態。
AED自動体外式除細動器)による電気ショック等で正常なリズムに戻す事が可能となる。

 

3.
狭心症」による胸痛には、ニトログリセリンが有効である。

 

ニトログリセリンには心臓血管を拡張させる働きがある。
心臓血管の一過性虚血により生じる狭心症に用いられる。

 

4.
仮面高血圧では、家庭血圧は「異常」である。

 

仮面高血圧:病院では「正常」家庭では「異常(高血圧)」
白衣高血圧:家庭では「正常」病院では「異常(高血圧)」

 

5.
「左心不全」では、肺うっ血をきたす。

 

心不全だと肺・呼吸器に影響が出て、右心不全だと体循環に影響が出る事になります。

 


D.正解4

 

1.
ラクナ梗塞は、「高血圧」がリスク因子である。

 

ラクナ梗塞:高血圧等が原因となり、細い血管に生じる脳梗塞の事。
動脈瘤がリスク因子となる脳血管障害は「くも膜下出血

 

2.
一過性脳虚血発作(TIA)は、「脳梗塞」の前駆症状である。

 

一過性脳虚血発作により脳細胞への栄養・酸素供給が出来ない→脳梗塞(脳細胞の一部が壊死)

 

3.
脳出血は、頭部CTで「高吸収領域」として示される。

 

CTでは組織自体のX線吸収率(透過度)に応じて、画像の濃淡が描出される。
低吸収領域:黒い領域 脳梗塞等でみられる
高吸収領域:白い領域 脳出血等でみられる

 

4.
正答
くも膜下出血は、症状に激烈な頭痛がある。

 

5.
脳梗塞は、症状発現が「急激」である。

 

脳梗塞
主な症状としては、左右どちらか半身の手足や顔がしびれたり動かしづらい、ふらつく(歩きづらい、めまいがする)、嘔吐する、しゃべりづらい(ろれつがまわらない、言葉が出てこない)、他人の言うことがわからない、物が見えにくかったり二重に見える、などがある。
これらの症状が1つだけ出る場合と、複数出る場合とがある。
突然症状が出るケースがほとんどで、場合によっては一時的に治まることもある。
脳梗塞の治療は、一刻も早く始める必要がある。

 

 


今回は以上。

普段耳にした言葉がある症状でも、細かく違いがありますので、今回の部分はしっかりと整理して覚えるといい感じになります。


繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!