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消化器疾患の成因・病態・診断・治療の概要についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

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A.腸疾患に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.潰瘍性大腸炎では、大腸がんのリスクが高まる。
2.クローン病では、肛門病変はみられない。
3.過敏性腸症候群では、粘血便がみられる。
4.たんぱく質漏出性胃腸症では、高アルブミン血症がみられる。
5.麻痺性イレウスでは、腸管蠕動運動の亢進がみられる。

 


B.肝障害に関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.B型肝炎ウイルスは、RNAウイルスである。
2.E型肝炎ウイルスは、主に血液を介して伝播する。
3.劇症肝炎では、意識障害を認める。
4.肝硬変では、プロトロンビン時間が短縮する。
5.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、肝線維化を認めない。

 


C.消化器がんに関する記述である。正しいものを1つ。

 

1.食道がんには、腺がんが多い。
2.ダンピング症候群は、食道がん術後の合併症である。
3.早期胃がんでは、ボールマン分類が用いられる。
4.大腸がん検診には、便潜血反応が用いられる。
5.肝細胞がんの治療では、外科手術は禁忌である。

 

 

 

 

 

 


続いて回答と解説。

 

 

 

 

 

 

 

 

A.正解1

 

1.
正答
潰瘍性大腸炎では、大腸がんのリスクが高まる。

 

潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患。
下痢(便が軟らかくなって、回数が増えること)や血便が認められられ、痙攣性または持続的な腹痛を伴うこともあります。
重症になると、発熱、体重減少、貧血などの全身の症状が起こります。

 

2.
クローン病では、肛門病変は「みられる」。

 

クローン病
消化管の慢性的な炎症を来す病気で、潰瘍性大腸炎と同様な炎症性腸疾患。
口腔から肛門までの消化管のどの部位にも発生し、特に、小腸・大腸(特に回盲部といわれる大腸の始まりの部分)、肛門周囲に好発する。
若年で発症し,腹痛,下痢,血便,発熱,肛門周囲症状,体重減少などを繰り返しながら、慢性に症状が持続する。

 

3.
過敏性腸症候群では、粘血便が「みられない」。

 

過敏性腸症候群
大腸に腫瘍や炎症など症状の原因となるような病気がないにも関わらず、おなかの調子が悪く痛みが続いたり、便秘や下痢などの症状が数ヵ月以上にわたって続く消化管の機能障害の疾患。
腹部の張りや排便することで楽になる腹痛と、下痢や便秘などの便通異常が主な症状である。
ストレスが症状を悪化させる要因の1つと考えられている。

 

4.
たんぱく質漏出性胃腸症では、「低アルブミン血症」がみられる。

たんぱく質漏出性胃腸症では、胃腸の消化管壁から管腔内へ大量のアルブミンたんぱく質)が漏れ出るため、低たんぱく質血症をきたす状態の事。

 

必要なたんぱく質を失ってしまう・確保できないので、アルブミンの数値が低くなるという事。

 

<管腔(かんくう)>
血管または小腸などの管または管状の臓器のなかの腔または経路。

 

5.
麻痺性イレウスでは、腸管蠕動運動の「低下」がみられる。

 

イレウス(腸閉塞)>
異物や炎症、腫瘍などにより腸管が塞がれた状態(機械的イレウス)、あるいは開腹手術などで腸管が麻痺(まひ)(拡張)して腸の蠕動運動が障害された状態(麻痺性イレウス)を指す。
イレウスになると消化物が腸内をスムーズに移動できなくなり、閉塞部位より上部(口側)に多量の消化物がたまります。
そのため便やガスが腸内に充満して、腹痛や嘔吐などさまざまな症状が起こります。

 

イレウスと聞くと難しいかもしれないが、「イレウス=腸閉塞=腸の動きが悪くなる」というイメージを持てばいいと思います。

 


B.正解3

 

1.
B型肝炎ウイルスは、「DNAウイルス」である。

 

2.
E型肝炎ウイルスは、主に「汚染された食物や飲料水」を介して伝播する。

経口感染はA型とE型、C型は血液(針刺し等)、B型は血液・体液による感染経路がある。

 

<針刺し>
医療従事者が他者の血液などで汚染された器具(注射針等)で外傷を受ける事

 

3.
正答

劇症肝炎では、意識障害を認める。

 

<劇症肝炎(急性肝不全)>
肝炎ウイルス感染、薬物アレルギー、自己免疫性肝炎などが原因で、もともの正常の肝臓に短期間で広汎な壊死が生じ、進行性の黄疸、出血傾向及び精神神経症状(肝性脳症)などの肝不全症状が出現する病態。
肝臓の機能が低下すると、血液を固めるために必要な凝固因子の産生が失われ、また、身体に有害な物質が蓄積することにより意識障害(肝性脳症)が出現する。

 

4.
肝硬変では、プロトロンビン時間が「延長」する。

 

<プロトロンビン時間>
血液凝固にかかる時間。
凝固因子は肝臓で生成されているため、肝臓に障害が起きた場合には血液凝固がうまく行われず、プロトロンビン時間は延長します(普段より時間が多く必要になります)。

 

5.
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、肝線維化を「認める」。

 

肝臓が反復的または持続的に損傷すると、線維化が起こります。
ウイルス感染や自己免疫性肝炎による慢性肝炎 のみではありません。 アルコールの飲みすぎや肥満,糖尿病などによって,肝細胞に 脂肪が溜まる場合も,肝臓に炎症が起こります。

 


C.正解4

 

1.
食道がんには、「扁平上皮がん」が多い。

 

腺がん:各臓器の分泌腺組織の細胞から発生したがんのこと。 肺腺がん・肝臓腺がん・膵臓腺がん・乳腺がん・大腸がん・胃腺がんなど、身体のあらゆる臓器に発生する。

 

扁平上皮がん:体を構成する組織のうち、扁平上皮とよばれ、体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織から発生するがんのこと。口の中、舌、のど、食道、気管、肺、肛門、外陰部、腟、子宮頸部などに発生する。

 

2.
ダンピング症候群は、「胃がん」術後の合併症である。

 

ダンピング症候群>
胃切除により幽門が失われた結果、食物が急激に小腸に入り、食後に高浸透圧性の下痢、低血糖が起こる事を言う。
食後高浸透圧性の下痢:前期ダンピング症候群
食後低血糖     :後期ダンピング症候群

 

3.
「進行胃がん」では、ボールマン分類が用いられる。

 

<ボールマン分類>
進行胃がんの形態を肉眼で見たときの分類法で、ドイツの病理学者、R・ボールマンが1901年に提唱。 1型から4型まであり、胃がんだけでなく大腸がんの分類にも用いられる。

 

4.
正答
大腸がん検診には、便潜血反応が用いられる。

 

大腸がんやポリープがあると、便が腸内を移動する際に便と組織が擦れて血液が付着する。
便潜血検査では便に血が混じっているかどうか調べ、目に見えないわずかな出血も検知することが可能となる。

 

5.
肝細胞がんの治療では、外科手術は「可能」である。

 

肝臓の状態や肝臓を切除後にどれだけの量を残せるか等判断しての手術は可能であるため、禁忌ではない。

 

 

 

 

 

 

今回は以上。
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何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。

頑張っていきましょう!!