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疾患治療の種類と特徴についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

現場で働いている方は、七夕イベント食で普段以上に大変だったと思います。
お疲れ様でした。
 
今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
 

A.治療の種類とその例の組み合わせである。誤っているものを1つ。
 
1.原因治療  C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
2.対症療法  市中肺炎(しちゅうはいえん)に対する抗菌薬投与
3.放射線療法 食道がんに対する放射線照射
4.理学療法  脳梗塞後の麻痺に対するリハビリテーション
5.緩和療法  がん性疼痛(とうつう)に対するモルヒネ投与
 

B.治療の種類とその例の組み合わせである。誤っているものを1つ。
 
1.対症療法  発熱の患者に対する解熱鎮痛薬の投与
2.原因療法  C型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
3.化学療法  子宮頸がん(けいがん)に対する放射線照射
4.理学療法  脳梗塞後の麻痺に対するリハビリテーション
5.緩和療法  がん患者に対する精神的ケア
 
 
C.治療方法に関する記述である。正しいものを2つ。
 
1.自己血輸血の副作用として、GVHD(移植片対宿主反応)がある。
2.アルブミン製剤の投与は、成分輸血にあたる。
3.15歳未満のドナーからの脳死移植は、禁止されている。
4.骨髄移植は、臓器移植に含まれない。
5.腹膜透析は、血液浄化療法である。
 
 
 
 
 
 

続いて回答と解説。
 
 
 
 
 
 
 
回答の前に用語解説。

<原因療法>  
疾病の原因を除去する事を目的 
対症療法の対義語として用いられる。感染症に対して、病原菌を攻撃する抗生物質を用いた治療が行われるが、原因療法の代表的なものとされる。
一般的に対症療法よりも原因療法が望ましいとされるが、原因が不明な症状に対しては行うことができない。また原因療法は効果が見られるまでの時間がかかるため、実際の医療現場では対症療法と原因療法を併せた治療法がとられることが多い。

<対症療法>  
症状や徴候を改善する事を目的 

疾病の原因に対してではなく、主要な症状を軽減するための治療を行い、自然治癒能力を高め、かつ治癒を促進する療法である。 姑息的療法とも呼ばれる。

放射線療法> 
がんの病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法
問題文に「放射線照射」という言葉があれば、ほぼこの「放射線療法」の事であると考えてよいと思います。

理学療法>  
運動機能の維持・改善する事を目的 
けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法

<緩和療法>  
痛みの緩和を目的 
生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチを行なう

<化学療法>  
薬により疾病の原因となっている微生物やガン細胞の増殖を阻害する事を目的(別名「薬物療法」) 
 
薬物をある程度の期間服用して疾病を緩和する事を「薬物療法」とし、 抗がん剤を使用する療法を「化学療法」という傾向にあるようです。試験ではそこまで追求される事はないと思うのですが、参考程度に。
 

という事で
 
A.正解2
 
2.対症療法ではなく「原因療法」との組み合わせとなります。
 
<市中肺炎>
病院外で日常生活をしていた人に発症する肺胞の急性炎症です。
高齢者では症状がはっきりしない場合もあります。
原因菌の多くは肺炎球菌、インフルエンザ桿菌(かんきん)で、インフルエンザ流行期ではウイルス性の肺炎も頻度が高くなります。
 

B.正解3
 
3.化学療法ではなく「放射線療法」との組み合わせとなります。
 

C.正解2と5
 
1.
「自己血輸血」ではなく「同種血輸血」の副作用として「GVHD(移植片対宿主反応)」がある。
 
自己血輸血とは、手術の際の出血に備えて、前もって採血し保存しておいた自分の血液を輸血すること。
 
同種血輸血とは、献血による他人からの輸血の事。
原則として必要な成分を最小量、輸血します(貧血の場合は赤血球製剤を血小板減少時には血小板製剤の輸血を行います)。
 
<参照>
他人からの血液製剤日本赤十字社で現在、必要と考えられる多種類の検査を行い、合格した安全な製剤です。
しかし、輸血による副作用を完全に防止することはできません。
代表的な副作用として
 
感染症
極めて稀ですが、肝炎ウイルス、エイズウイルス、成人T細胞白血病ウイルス、サイトメガロウイルス、梅毒などの感染症が検査の限界や患者さんの状態により発症する場合があります。また、未検査、未知の病原体による感染の可能性もあります。
 
「免疫反応」
患者さんに血液製剤の成分と反応する物質(抗体など)があると輸血時に溶血、発熱、寒気、蕁麻疹、血圧低下や呼吸困難などの症状を認める場合があります。
 
「輸血後移植片対宿主病(輸血後GVHD)」
血液製剤に含まれる白血球(免疫担当細胞(リンパ球))が患者さんの身体を他人と考えて攻撃する重篤な免疫反応が起きる場合があります。
これらの輸血副作用を防止する目的で輸血前に血液型、赤血球に対する抗体のチェック(不規則抗体検査)、最終的な相性を見る交差適合試験などを行います。
輸血後GVHDを防ぐために血液製剤放射線照射を行っていますが緊急時や大量輸血時には照射が間に合わない場合もあります。
 
2.
正答
 
成分輸血は大きく3つに分類
 
赤血球製剤 主に酸素を体内の組織に運ぶ赤血球が不足している場合に用いられる
 
血小板製剤 血小板が不足しているときに用いられる
 
血漿製剤  アルブミン免疫グロブリン、凝固因子などの有用物質を含む血漿(血液中の液体部分)を補充するために用いられる
 
3.
15歳未満のドナーからの脳死移植は、「認められている」。
 
4.
骨髄移植は、臓器移植に「含まれる」。
 
5.
正答
 
腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysis):お腹の中に透析液を入れ、腹膜を使って透析(老廃物や水分の除去)を行う、自宅でできる透析療法の事。
 
血液浄化療法には大きく分けて「透析」と「濾過」2つあるけど、「濾過」の部分までは試験に出ないと思うので、参考程度に。
 
「透析」血液透析(HD:Hemodialysis)腹膜透析(PD)
「濾過」限外濾過(ECUM)血液濾過(HF)
 
 
今回は以上。
出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!