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臨床検査についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
 

A.臨床検査に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.閉塞性(へいそくせい)肺障害では、1秒率が上昇する。
2.ASTは、ALTより肝特異性が高い。
3.鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)が大きくなる。
4.溶結性貧血による高ビリルビン血症では、直接ビリルビンが優位になる。
5.結核抗体は、自己抗体である。
 

B.臨床検査に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.基準値は、健常者の測定値の75%が含まれる範囲である。
2.心電図のP波は、心室の興奮を反映している。
3.便潜血反応は、大腸がんのスクリーニングとして用いられる。
4.ALTの上昇は、心臓疾患に特異的である。
5.CT(コンピュータ断層撮影)は、磁気を利用する検査である。
 
 
C.臨床試験に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.心電図検査は、画像検査である。
2.X線検査は、生理機能検査である。
3.超音波検査は、妊娠中には禁忌である。
4.スパイロメトリは、拘束性肺障害の診断に用いられる。
5.核磁気共鳴イメージング(MRI)検査では、放射線被曝がある。
 
 
D.画像検査に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.胸部レントゲン撮影検査では、X線の透過性が高い部分が白く写る。
2.CT(コンピュータ断層撮影)では、放射線被曝はない。
3.腹部CT(コンピュータ断層撮影)では、皮下脂肪と内臓脂肪の識別が可能である。
4.MRI(磁気共鳴画像)検査は、X線を利用して画像を得る。
5.腹部エコー検査は、妊娠中の女性には禁忌である。
 
 
 
 
 
続いて回答と解説。
 
 
 
 

A.正解5
 
1.
1秒率は「低下」します。
 
<1秒率>
肺機能を調べる指標の一つ。
深く息を吸って一気に吐き出した空気量(これを努力性肺活量といいます)に対し、最初の1秒間で吐き出した量(1秒量)の割合を示したもの。
70%以上が正常ですが、1秒率が低下している場合は閉塞性換気障害(気管支が狭くなっているために起こる呼吸機能障害)が疑われます。
 
<補足>
閉塞性肺疾患とは、呼吸器疾患の一つで、気道の狭窄症状と肺の過膨張を主徴候とするものを指す。
慢性化すると、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)となる。
 
2.
ALTは、ASTより肝特異性が高い。ALT>AST
 
AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞でつくられる酵素で、いずれも「トランスアミナーゼ」と呼ばれる。
AST:aspartate aminotransferase、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
心筋や骨格筋、赤血球中などにも多く含まれている
ALT:alanine aminotransferase、アラニンアミノトランスフェラーゼ
主に肝臓中に存在している
 
肝臓に存在が集中しているALT数値が高ければ、肝状態異常を確認しやすい。
ASTは幅広く存在するので、肝臓のみを調べるのはこの数値だけでは困難となる。
 
※私は「肝臓はL」って感じで覚えました。肝臓はレバー(英: Liver)だし、頭文字をとってくっつけました。
 
3.
鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)が「小さく」なる。
 
MCVが小さい → 鉄不足
MCVが大きい → 葉酸ビタミンB12不足
 
平均赤血球容積の基準値はおおむね80~100 flである。
平均赤血球容積がこの範囲内に収まっている貧血を正球性貧血、
80 flより小さい貧血を小球性貧血、
100 flを超える貧血を大球性貧血と呼ぶ。
 
<補足>
MCVが低値となる原因として、鉄分不足などが考えられます。
全身への酸素の運搬力が不足することにより息切れやめまいなどの貧血症状(小球性貧血)を起こしやすくなります。
主な関連疾患、症状:鉄欠乏性貧血、慢性炎症に伴う貧血等
 
MCVが高値となる原因として、血中の鉄分は十分にあっても、葉酸ビタミンB12などの赤血球を作るうえで必要な成分が、不足している可能性が考えられます。
主な関連疾患、症状:葉酸欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血等
 
4.
溶結性貧血による高ビリルビン血症では、「間接」ビリルビンが優位になる。
 
健常時、赤血球は「脾臓で」壊され、赤血球中のヘモグロビンは「ヘム」と「グロビン」に分解されます。
このヘムに含まれる鉄以外の成分とアルブミンが結合したものが「間接ビリルビン」であり、肝臓においてグルクロン酸抱合を受け「直接ビリルビン」へと代謝されます。
溶血性貧血では、赤血球の破壊亢進により、肝臓におけるビリルビンの抱合が追い付かないため、間接ビリルビン優位の高ビリルビン血症がみられます。
 
<個人的なイメージ>
溶血性貧血は、赤血球の正常な寿命は約120日だが、未熟な赤血球の破壊が進んで、鉄・酸素を運ぶ赤血球の絶対数が少なくなり、体に運ぶ必要量が少なくなって貧血になるという感じです。
 
5.
正答
 
自己抗体:自分自身の細胞や組織に対して産生される抗体をいう。抗核抗体もその一種。
自己抗体のうち、自分の細胞核を攻撃する抗体が抗核抗体で、これは膠原病(こうげんびょう)のひとつ全身性エリテマトーデス(SLE)で血液中に出現します。
 

B.正解3
 
1.
基準値は「95%が」含まれる範囲です。
 
2.
P波は、「心房の」興奮を反映しています。
心室の興奮を反映する心電図波形は「QRS波」です。

P波→心房 QRS波→心室 アルファベット順で心臓の動きと連動しているので、血液の流れで最初に心房に入ってから心室へと運ばれますが、そのイメージを持てればよいと思います。
以下参考程度に。
 
<心電図>
心電図の波形には名称があって、P波・Q波・R波・S波・T波・U波を測定します。
P→Uと進んで、またPに戻って・・・というリズムを心臓は繰り返しているのですが、このリズムを波形にする事で、心臓の動作状態を知る事が出来るようになります。
 
<P波>
心房の興奮過程を示しています。正常な場合には、まず右房が興奮した後に左房が興奮します。
このため、P波の開始点は右房の興奮の始まりを示し、P波の前3分の2が右房の興奮を、後ろ3分の2が左房の興奮を示し、両者が融合したものがP波として示されます。
 
<QRS波>
左右両心室筋の興奮を示す部分で、Q波の始めからS波の終わりまでをいいます。
QRS 波のうち、最初に現れる下向きの波をQ波、上向きの波をR波、R波の後に現れる下向きの波をS波と呼びます。
正常な心臓では、心室筋の興奮は心室中隔の左室側から始まり、中隔右室側、右室、左室、心尖部を経て、最後に心基部に向います。
 
<T波>
ST 部分に続いて見られる、勾配がゆるやかな曲線によって描かれる波です。
心室筋の興奮が消退していく過程を反映しています。
 
<U波>
T波に続いて小さな波が見られることがあり、U波と呼んでいます。
 
3.
正答
大腸がんの発見には、便に血液が混じっているかどうかを検査する便潜血検査が有効。
 
4.
ALTの上昇は、肝疾患に特異的。
 
AST:aspartate aminotransferase、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
心筋や骨格筋、赤血球中などにも多く含まれている
ALT:alanine aminotransferase、アラニンアミノトランスフェラーゼ
主に肝臓中に存在している
肝臓に存在が集中しているALT数値が高ければ、肝状態異常を確認しやすい。
ASTは幅広く存在するので、肝臓のみを調べるのはこの数値だけでは困難となる。
 
5.
CTは「X線」を利用する検査です。
 
磁気を利用するのは、「MRI(磁気共鳴画像)」です。MRIの「M」は「マグネット(磁石)」の頭文字です。
MRI=MagneticResonanceImaging:磁気共鳴画像診断装置
 

C.正解4
 
1.
心電図検査は「生理機能検査」です。
 
<生理機能検査の種類>
心電図検査、呼吸機能検査、脳波検査、血圧脈波検査(ABI検査)、眼底検査、超音波検査
 
2.
X線検査は「画像検査」です。
 
<画像検査の種類>
超音波検査、レントゲン、CT、MRI核医学検査など
 
3.
超音波検査(エコー検査)は、お腹の赤ちゃんの状態を確認するのに有効です。
 
CT・MRI(造影剤)検査は禁忌となるようです。
レントゲンは禁忌ではないが「要相談」の所が多いようです。
 
4.
パイロメトリ:肺機能を評価する検査であり、呼吸器疾患の診断に用いられます。
 
<参照>
パイロメトリで診断できるのは3つ
拘束性換気障害:肺・胸部が広がらず吸えない状態  間質性肺炎・肺繊維症
混合性換気障害:息を満足に吸えないし吐けない状態 肺気腫・気管支拡張症
閉塞性換気障害:気道閉塞により一気に吐けない状態 COPD 気管支喘息
 
5.
MRIは磁気を利用して行なうため、放射線被曝は無いです。
 

D.正解3
 
1.
X線の透過性が高い部分が黒く写って、透過性が低い部分が白く写ります。
透過性が低い骨が白く写っているのをイメージ出来ればOK。
 
2.
CT検査では、X線を用いて画像を得るので、放射線被曝はレントゲン同様あります。
 
3.
正答
内臓脂肪がこれだけついているんですよ?というような腹部断面図がCTの画像だが、それと関連付ければ余裕かも。
 
4.
MRIは磁気を利用するので、放射線被曝しません。
 
5.
エコー検査は超音波を利用しているので、問題無く妊婦も使用できますというか、とても一般的に用いられています。
 
 

今回は以上。
解説が長くなってしまいましたが、参考程度でもいいし、覚える時間があればぜひ覚えてね。

出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!