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疾患診断の概要についての問題 4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
 

A.主な症候に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.腋窩温(えきかおん)は、直腸温より高い。
2.チアノーゼは、血液中の二酸化炭素濃度が低下した時にみられる。
3.喀血(かっけつ)は、消化管からの出血である。
4.黄疸(おうだん)は、血液中のビリルビン濃度の上昇により生じる。
5.仮面高血圧は、診察室血圧が高血圧である。
 

B.症候に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.直腸温は、腋窩温より低い。
2.起座呼吸(起坐呼吸)は、呼吸を楽にするために座位をとる状態である。
3.タール便は、直腸からの出血でみられる。
4.高張性脱水は、水に比べてNaが多く喪失した場合にみられる。
5.JCS(Japan Coma Scale)は、呼吸機能の指標である。
 
 
C.症候に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.ショック状態では、血圧が上昇している。
2.低血糖になると、交感神経が刺激される。
3.チアノーゼは、貧血で出現しやすい。
4.体重は、バイタルサイン(生命徴候)に含まれる。
5.浮腫は、血漿膠質浸透圧(けっしょうこうしつしんとうあつ)の上昇により出現する。
 
 
D.症候に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.浮腫は、血漿膠質浸透圧の上昇により出現する。
2.鮮血便は、上部消化管からの出血により出現する。
3.腹水は、右心不全により出現する。
4.吐血は、呼吸器からの出血である。
5.JCS(Japan Coma Scale)は、認知機能の指標である。
 
 
 
 

続いて回答と解説。
 
 
 
 
 
A.正解4
 
1.
腋窩温<直腸温
温度測定部位としては「腋窩(わきの下)」「口腔(舌の下部分)」「直腸」「耳(鼓膜)」の4か所。
温度の高い方から、「直腸」「耳」と「口腔」が同じくらいで、低いのが「腋窩」の順番。
 
2.
血液中の「酸素濃度」が低下した時にみられます。
 
<チアノーゼ>
血液中の還元ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビン)が増加し、皮膚や粘膜が暗紫色(あんししょく)となる状態。
血液中の酸素濃度が低下した時に、還元ヘモグロビンが増加します。
チアノーゼが見られた場合は、低酸素血症もしくは末梢循環不全が考えられる。
 
3.
喀血は「呼吸器(肺・気管支)から」の出血です。
原因としては肺がん・肺結核等。
消化管(胃・食道)からの出血は、「吐血(とけつ)」です。
 
4.
正答
ヘモグロビンのヘムから鉄を取り除いたのがビリルビン
過剰なビリルビンが組織に沈着する事で、黄疸が起こります。
 
<補足>
黄疸は、通常は肝炎や肝硬変などの肝臓の病気がある場合や胆汁の排泄経路である胆管系に異常がある場合に出現します。
また、血液の中に含まれる赤血球が破壊される(溶血)場合にも出現します。
 
5.
仮面高血圧は、「家庭血圧」が高血圧となります。
仮面高血圧:病院での血圧測定値が低く、家庭での測定値が高くなる
白衣高血圧:家庭での血圧測定値が低く、病院での測定値が高くなる
 

B.正解2
 
1.
直腸温>腋窩
 
2.
正答
起座呼吸:座った状態で行なう呼吸
仰臥位(ぎょうがい)呼吸:仰向けで横になっている状態で行なう呼吸
 
<補足>
寝ている状態で息苦しさがある時、起き上がると呼吸が楽になる事が多い。
心不全の人に多く、横になると売神経への静脈還流量が増加し、肺血流が増加します。
その結果、肺うっ血・肺水腫・呼吸困難などの症状が出やすくなります。
そこから座った状態になると、静脈還流量が減少し、肺への負荷が軽減し、呼吸が楽になるというのが理由。
 
3.
タール便は「上部消化管から」の出血でみられます。
タール便:上部消化管から出血がある際にみられ、消化管内で変化するため黒色の便になる
鮮血便:下部消化管や肛門部から出血がある場合にみられ、鮮やかな赤色の便
 
4.
高張性脱水は、Naに比べてが水多く喪失した場合にみられる。
 
高張性脱水:体内のナトリウム(塩分)濃度が高く、水分が少ない状態。水分欠乏型脱水ともいう。
水分移動「細胞内 → 細胞外」
症状 口渇感、口腔粘膜の乾燥
 
低張性脱水:細胞外液の「Na減少」。水分は保たれているがナトリウムが少なく、血液が薄くなった状態。
水分移動「細胞外 → 細胞内」
症状 嘔吐、下痢、血圧低下 
 
基本的に、水分は浸透圧の「低い方から高い方」「Na濃度が低い方から高い方」へ移動します。
 
5.
JCSは「意識障害レベル」の指標です。
 
 
C.正解2
 
1.
ショック状態だと血圧は「低下」してます。
 
2.
正答
低血糖になると血糖値を高くするため交感神経が刺激されます。
 
血糖値を上げるホルモン
・副腎皮質ホルモン
・副腎髄質ホルモン(カテコールアミン:アドレナリン・ノルアドレナリン等の総称)
甲状腺刺激ホルモン
・成長ホルモン
・グルカゴン(すい臓より分泌)
等、詳細は後日
 
3.
貧血時にチアノーゼは出現しにくくなります。
チアノーゼは血液中の還元ヘモグロビンが増加した状態であり、心不全などでみられます。
貧血ではヘモグロビン濃度が低いため、チアノーゼは出現しにくくなります。
 
チアノーゼだと皮膚や粘膜が暗紫色になりますが、貧血だと顔色は青白くなるので、それでイメージしやすいかな?
 
4.
体重はバイタルサインに含まれないです。
 
バイタルサイン:主に「呼吸」「体温」「血圧」「脈拍」の4項目を基本とし、救急医療現場や集中治療室などではさらに「意識レベル」「尿量」の2つを含める場合があります。
 
5.
浮腫は、血漿膠質浸透圧の「低下」により出現する。
 
血漿膠質浸透圧:血漿たんぱく質によりつくられる浸透圧の事。
この浸透圧が低下すると、毛細血管内に水分を引き付ける力が低下し、組織間液に水分が移動します。
この組織間液に水分が貯留された状態を「浮腫」といいます。
 
 
D.正解3
 
1.
浮腫は、血漿膠質浸透圧の「低下」により出現する。
 
2.
鮮血便は「直腸から」の出血により出現する。
 
3.
正答
心不全の症状:頸静脈怒張・浮腫・腹水・肝腫大・胸水・消化器症状
「浮腫は右(心不全)」という覚え方でも大丈夫だと思いますし、私はそう覚えてました。
 
4.
吐血は「消化器から」の出血
 
5.
JCSは「意識障害レベル」の指標です。
 
 
今回は以上。
問題文に登場する読みが難しそうな漢字には、積極的にフリガナをつけるようにします。
私も受験生時に「これ、なんて読むん?」と調べるのに手間がかかった記憶を思い出しました。

出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!