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加齢・疾患に伴う変化についての問題 3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
 

A.加齢・疾患に伴う変化に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.細胞分裂を繰り返すと、テロメアは長くなる。
2.プログラム化された細胞死を、ネクローシスという。
3.加齢に伴い、細胞内水分量は増加する。
4.加齢に伴う臓器の萎縮を、廃用性萎縮という。
5.脳血管疾患は、認知症の原因となる。
 

B.加齢・疾患に伴う変化に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.褐色脂肪細胞は、加齢とともに増加する。
2.リポフスチンの細胞内への沈着は、加齢とともに減少する。
3.良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が低い。
4.血管透過性は、炎症の急性期に亢進する。
5.肉芽組織(にくげそしき)は、炎症の急性期に形成される。
 
 
C.疾患に伴う変化に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.心停止は、脳死の判定に含まれる。
2.浮腫は、血漿膠質浸透圧(けっしょうこうしつしんとうあつ)が上昇すると生じる。
3.肥大は、組織を構成する細胞の容積が増大する現象である。
4.肉芽組織は、炎症の急性期に形成される。
5.肉腫は、上皮性の悪性腫瘍である。
 
 
 
 

続いて回答と解説。
 
 
 
 
 
 
A.正解5
 
1.
テロメアは短くなっていきます。
細胞分裂の都度短くなっていくので、イメージとして「細胞分裂のための原料で、それが使われるから短くなっていく」というように私は覚えました。
 
2.
プログラム化された細胞死は「アポトーシス」です。
寿命を全うした細胞というイメージで覚えました。
 
ネクローシス(壊死)>
傷害された細胞にみられる細胞死の事。
怪我とか火傷とかで傷ついたり損傷したりする時に壊れて死んでしまった細胞が、これに該当します。
 
3.
細胞内水分量は「減少」します。
 
4.
廃用性萎縮ではなく「生理的萎縮」と言います。
 
<廃用性萎縮>
ある組織を使わない状態が続く事で起こり、長期臥床(がしょう)時、骨折中の骨格筋の萎縮などでみられます。
 
5.
正答
 
認知症の原因>
脳血管性認知症脳梗塞脳出血くも膜下出血などにより脳血管が損傷したことで発症。 糖尿病や高脂血病、高血圧といった生活習慣病を持つ人がなりやすい。
レビー小体型認知症は、神経細胞にできた特殊なたんぱく質のレビー小体が脳の大脳皮質や脳幹に増えすぎたことが原因。
 

B.正解4
 
1.
加齢とともに「減少」します。
 
褐色脂肪細胞には「脱共役たんぱく質」が多く含まれており、ATP生成の代わりに熱を産生します。
新生児の体温維持に有用な役割を果たしており、加齢とともに褐色脂肪細胞は減少します。
 
脱共役とは、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化における電子伝達により形成されるプロトン勾配とATP合成反応の共役を阻害することを言います。
脱共役タンパク質は、ミトコンドリア内膜の内外に形成されたプロトン勾配を解消し、その結果ATP合成に使われていたエネルギーは、熱として放出されます。
 
2.
加齢とともに「増加」します。
 
リポフスチンは、脂質過酸化物質から形成される。
加齢とともに細胞内に沈着しやすくなり、老化や生活習慣病の発症に関係しています。
 
<補足(別資料より)>
リポフスチンは、細胞質内の不飽和脂肪酸の過酸化によりリソソーム内に形成される不溶性色素の事。
リソソームによって細胞内消化された異物の残余物質であり、加齢性色素あるいは消耗性色素とも呼ばれる。
 
3.
細胞の分化度が「高く」なります。
 
<分化>
細胞の形態・機能が変化しながら成熟していくことであり「分化度が高い」とは、正常細胞に近い事を意味します。
正常細胞≧良性腫瘍>悪性腫瘍 といった感じです。
 
4.
正答
<血管透過性の亢進>
通常、高分子物質は血管壁を通過しないが、「炎症の急性期の血管」では、高分子物質が透過する場合がある。
 
5.
急性期ではなく「慢性期」に形成されます。
 
<肉芽組織>
肉芽創傷治癒の過程で生じる血管、線維芽細胞などから構成される組織。
巻き爪の状態といえばイメージしやすいかな?
 

C.正解3
 
1.
脳死判定に含まれないです。
 
脳死判定>
①深昏睡
②瞳孔の拡大と固定
③脳幹反射の消失
④平坦脳波
⑤自発呼吸の消失
 
2.
浮腫は、血漿膠質浸透圧が「低下すると」生じます。
 
血漿膠質浸透圧>
血漿たんぱく質により作られる浸透圧の事。
これが低下すると、毛細血管内に水分を引き付ける力が低下し、組織間液に水分が移動します。
組織間液に水分が貯留された状態を「浮腫」(一般的には「むくみ」と言われます)と言います。
 
3.
正答
 
4.
炎症の「慢性期」に形成されます。
 
5.
上皮性ではなく「非上皮性」の悪性腫瘍です。
 
肉腫は、全身の骨や軟部組織(脂肪、筋肉、神経など)から発生する悪性腫瘍の総称です。
上皮性の悪性腫瘍は「がん腫(癌腫)」と呼びます。
 
 
 
今回は以上。
出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!