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酵素についての問題3問【管理栄養士国家試験過去問解説】

今日も楽しく!
知識を身に着けていきましょう!!
 

A.酵素に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.律速酵素は、代謝経路で最も早い反応に関与する。
2.Km値は、反応速度が最大反応速度の1/4に達するのに必要な基質濃度である。
3.反応速度は、至適pHで最小となる。
4.ペプチダーゼは、二つの気質を結合させる酵素である。
5.アロステリック酵素の反応曲線は、S字状(シグモイド)である。
 
B.酵素に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.ミカエリス定数(Km)が小さいほど、酵素と基質の親和性が低い。
2.アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
3.化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって低下する。
4.酵素の反応速度は、至適pHで最小となる。
5.律速酵素は、代謝経路で最も速い反応に関与する。
 
C.代謝酵素反応に関する記述である。正しいものを1つ。
 
1.グルコースは、代謝されると尿素になる。
2.脂肪酸は、代謝されるとアンモニアになる。
3.酵素反応の速度は、至適pHで最大となる。
4.トリプシンの至適pHは、酸性領域にある。
5.ペプシンの至適pHは、アルカリ性領域にある。
 
 
 
 
 

続いて回答と解説。
 
 
 
 
 

A.正解5
1.
律速」というのが、そもそも聞きなれない言葉だと思います。
言葉の意味ですが、「律速」とは「全体の反応速度を規定する」という意味の用語です。
化学反応を各素反応に分解して考えた場合、「一番反応速度の遅い箇所=律速段階」、「一番時間のかかるところ=律速」になります。
という事で、代謝経路で最も「遅い」反応に関与していきます。
 
2.
一言で言うと「ミカエリス定数(Km)とは最大反応速度Vmaxの1/2の速度をもたらす」なので、キーワードとして「ミカエリス=1/2」と覚えても良いと思います。
後は後述する親和性の部分を覚えておけば良いと思います。
少し掘り下げると、
Km(ミカエリス定数)とは、反応の初速度が最大の反応速度(Vmax)の半分の速度(1/2Vmax)になるときの基質の濃度のこと。
ミカエリス定数はそれぞれの酵素に特有の数値であり、酵素と基質の親和性を知ることができる。
ミカエリス定数が小さい → 親和性が高い(より低い基質濃度で反応速度が最大になるから)
ミカエリス定数が大きい → 親和性が低い(基質の濃度を高くしないと反応速度が上がってこないから)
 
3.
至適な状態(=快適な状態)だったら活発に元気に働くので、至適pHで最大となります。イメージで覚えよう。
 
4.
全てとは言いませんが、「~ゼ」とつくのはほとんどが「分解」に作用する酵素です。
ペプチダーゼは、「ぺプチド結合加水分解酵素」の事。
ぺプチダーゼの「ぺプチ」は「ペプチド」から取ってます。
 
ちなみに、脂質を構成するエステル結合を加水分解する酵素である「リパーゼ」は、ギリシャ語の“lipos(脂肪)”+“ase(酵素)”に由来してます。
 
5.
酵素の活性部位以外の調節部位(アロステリック部位)にリガンドが結合することをキッカケに、酵素の形が変化し、酵素が働くようになったり・働かなくなったりします。
調節酵素の多くは基質濃度に対して反応速度がS字状(シグモイドカーブ)を描くので、これが正答
アロステリック・反応曲線とでたら「S字状のカーブ」と知識が出てくるようになってれば正解を導けるが、消去法でも行けるようになろう。
ちなみに
「リガンド」= 特定の受容体(receptor; レセプター)に特異的に結合する物質のこと
 
 
B.正解3
 
1.
ミカエリス定数が小さい → 親和性が高い(より低い基質濃度で反応速度が最大になるから)
ミカエリス定数が大きい → 親和性が低い(基質の濃度を高くしないと反応速度が上がってこないから)
 
2.
アポ酵素は単独では酵素活性を持たないです。
アポ酵素:通常は酵素として不活性であるが、金属原子や補酵素と結合したときのみ活性化する酵素の総称。結合して、活性をもつようになったものはホロ酵素と呼ばれる。
 
3.
正答
酵素が取り込まれると基質の活性化エネルギーを小さくして、反応の速さを数百万~数億倍に上昇させます。
酵素により増大する」のは、活性化エネルギー量ではなく「反応の速さ」
 
4.
至適な状態(=快適な状態)だったら活発に元気に働くので、至適pHで最大となります。イメージで覚えよう。
 
5.
上部Aの1参照。
言葉に慣れていきましょう。
律速」というのが、そもそも聞きなれない言葉だと思います。
言葉の意味ですが、「律速」とは「全体の反応速度を規定する」という意味の用語です。
化学反応を各素反応に分解して考えた場合、「一番反応速度の遅い箇所=律速段階」、「一番時間のかかるところ=律速」になります。
という事で、代謝経路で最も「遅い」反応に関与していきます。
 
C.正解3
 
1.
アンモニアは生体にとって有毒であるため、アンモニア尿素に変えて無毒化する経路が尿素回路またはオルニチン回路という代謝経路があります。
これは、たんぱく質アミノ酸)の代謝なので、グルコースではなくアンモニアが正解です。
ザックリですが、アミノ酸アンモニア尿素という順番で分解・代謝されていきます。
補足
尿素(CH4N2O)は「アンモニア(2NH3)と二酸化炭素(CO2)」が合成すると生まれます。
グルコースブドウ糖 (C6H12O6)のため尿素を含まない。
脂肪酸(多様な種類が存在してますが)共通する特徴は、炭化水素鎖にカルボキシ基(-COOH)が付いた構造(例:CnH2n+1COOH)
アミノ酸は分子内にアミノ基(-NH3)の形でN(窒素)が含まれています。
 
2.
C.1参照
脂肪酸は窒素を含まない。含んでいるのはアミノ酸
 
3.
正答
 
4.
トリプシンとは、たんぱく質加水分解酵素の事。
トリプシンは膵臓から分泌されて腸管内(アルカリ性条件下)で働きます。
補足
「トリプシン」という蛋白質を分解する消化酵素は、すい臓内では「トリプシノーゲン」という消化酵素としては未熟な形でつくられます。
トリプシノーゲンが十二指腸に流れ出ると、十二指腸に存在する「エンテロキナーゼ」という酵素と反応して「トリプシン」に変化し、ここから消化酵素としての本来の働きが始まります。
これが正常に働かないと、強力な消化酵素によってすい臓自身を溶かしてしまう「すい炎」が生まれるリスクが高まります。
 
5.
ペプシンは「胃」で働くたんぱく質分解酵素の事。
強酸性の胃で働くため、酸性領域にあります。
 
 
今回は以上。
出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!