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生体エネルギーと代謝についてと酵素についての問題4問【管理栄養士国家試験過去問解説】

A.ヒトの生体エネルギーと代謝・栄養に関する記述で、正しいのを1つ。
 
1.栄養形式は、独立栄養である。
2.身体の構成成分として、糖質は脂質よりも多い。
3.解糖系は、好気的に進む。
4.脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリアに存在する。
5.電子伝達系では、窒素分子が電子受容体として働く。
 
B.生体エネルギーと代謝に関する記述で、正しいのを1つ。
 
1.褐色脂肪細胞には、脱共役たんぱく質(UCP)が存在する。
2.電子伝達系は、ミトコンドリアの外膜にある。
3.建機的解糖では、1分子のグルコースから3分子のATPを生じる。
4.AMPは、高エネルギーリン酸化合物である。
5.脂肪酸は、コリ回路によりグルコースとなる。
 
C.生体エネルギーと酵素に関する記述で、最も適当なのを1つ。
 
1.クレアチンリン酸は、ATPの加水分解に用いられる。
2.酸化的リン酸化によるATPの合成は、細胞質ゾルで行われる。
3.脱共役たんぱく質(UCP)は、ミトコンドリア内膜に存在する。
4.アイソザイムは、同じ一次構造を持つ。
5.酵素は、触媒する化学反応の活性化エネルギーを増大させる。
 
D.酵素に関する記述で、正しいのを1つ。
 
1.反応速度は、至適㏗で最小となる。
2.酵素と気質の親和性は、ミカエリス定数(Km)が大きいほど高い。
3.アポ酵素は、単独で酵素活性をもつ。
4.乳酸脱水素酵素には、アイソザイムがある。
5.化学反応における活性化エネルギーは、酵素によって増大する。
 
 

続いて回答と解説。
 

 
 
 
A.正解4
 
1.
独立ではなく「従属栄養」。
独立栄養:太陽エネルギーを利用して水や二酸化炭素などの無機物から有機物を作り出す栄養形式。植物が該当。
従属栄養:他の動植物を作る有機物を取り入れて利用する栄養形式。ヒトはこれに該当。
 
2.
脂質>糖質 脂質は約15~17%、糖質は約1%
 
3.
解糖系は、「嫌気的」に働きます。
グルコースは「解糖系→クエン酸回路→電子伝達系」で代謝され、ATP合成に利用されたり貯蔵型であるグリコーゲンとなる。
解凍系は酸素を必要としなくても反応していく。解糖系ではグルコース1分子あたり2ATPが生成。
解糖系で生成したピルビン酸は、好気的条件下おいてミトコンドリアに入りアセチルCoAとなる。
ピルビン酸からアセチルCoAを生成する反応を触媒する酵素は、ピルビン酸脱水素酵素
この反応には、チアミンピロリン酸(ビタミン B1 の活性型)が補酵素として働く。
アセチルCoAは、クエン酸回路を経て、最終的に NADH2、FADH2、炭酸ガス(CO2)となる。
 
4.
正答
脱共役たんぱく質は褐色脂肪組織のミトコンドリア中に多く含まれていて、ATP生成の代わりに熱を発生させる。
 
5.
窒素分子ではなく、「酸素分子」が電子受容体として働きます。
代謝加水分解の過程で水(H2O 2が小さく出来ない。水素2つと酸素1つ)が生まれる事は多いので、覚えておくと楽。
 
 
B.正解1
 
1.
正答
脱共役たんぱく質は褐色脂肪組織のミトコンドリア中に多く含まれていて、ATP生成の代わりに熱を発生させる。
 
2.
電子伝達系は、ミトコンドリアの「内膜」にあります。
 
3.
嫌気的解糖では1分子のグルコースから「2分子のATP」を生じる。
 
4.
エネルギー量 AMP<ADP<ATP。
AMP:アデノシン一リン酸(又はアデニル酸)Mはモノ(1)の事。
ADP:アデノシン二リン酸 Dはジ(2)の事。
ATP:アデノシン三リン酸 Tはトリ(3)の事。
何個「リン」がくっついているかでエネルギー量が変わる。
 
5.
コリ回路でグルコースになるのは「乳酸」
「乳酸→筋肉疲労→肩こり→コリ回路」って感じの連想をして覚えてました。
 
 

C.正解3
 
1.
クレアチンリン酸はリン酸化されたクレアチンで、骨格筋にとって重要なエネルギー貯蔵物質である。 ADPからの無酸素的なATPの生成に使われ、2秒から7秒程度の反応時間でクレアチンキナーゼによってリン酸基が外され、クレアチンに戻る。
筋肉内ではADPとクレアチンリン酸という形で貯蔵され、必要な時にクレアチンリン酸からリン酸を外し、ADPとくっついてATPとなる。
 
2.
ATP合成は、「ミトコンドリア」で行われます。
 
3.
正答
脱共役たんぱく質は褐色脂肪組織のミトコンドリア中に多く含まれていて、ATP生成の代わりに熱を発生させる。
 
4.
アイソザイム:同一の反応を触媒するが、異なる一次構造(アミノ酸配列)を持つ酵素なので、同じではない。
 
5.
酵素が取り込まれると基質の活性化エネルギーを小さくして、反応の速さを数百万~数億倍に上昇させます。
酵素により増大するのは、活性化エネルギー量ではなく「反応の速さ」
 
 

D.正解
 
1.
最適な状態だと最大の結果になります。
 
2.
ミカエリス定数とは、基質と酵素の親和性を示す定数の事。
Kmが小さい酵素だと結合しやすいので親和性は高くなる。
Kmが大きい酵素だと結合しにくいので親和性は低くなる。
 
3.
アポ酵素は単独で酵素活性を「持たない」。
アポ酵素:通常は酵素として不活性であるが、金属原子や補酵素と結合したときのみ活性化する酵素の総称。結合して、活性をもつようになったものはホロ酵素と呼ばれる。
 
4.
正答
アイソザイム:同一の反応を触媒するが、異なる一次構造(アミノ酸配列)を持つ酵素
乳酸脱水素酵素には5種類のアイソザイムが存在します。
参照で5種類のアイソザイムを記載しますが、覚えなくていいです。(どこの臓器に存在するかという分類)
LDH-1 (4H): 心臓、赤血球、脳
LDH-2 (3H1M): 細網内皮系
LDH-3 (2H2M): 肺
LDH-4 (1H3M): 腎臓、胎盤膵臓
LDH-5 (4M): 肝臓、横紋筋
 
5.
酵素が取り込まれると基質の活性化エネルギーを小さくして、反応の速さを数百万~数億倍に上昇させます。
酵素により増大するのは、活性化エネルギー量ではなく「反応の速さ」
 

 
今回は以上。
出来るだけ早めに更新できるようにしていきますね。
繰り返しが大事です!
何回繰り返すの?
正答を導きだすための理論を身につけるまでです。
 
頑張っていきましょう!!