5段階評価の弊害
以前勤務していた所で、自己評価というものがありました。
自分がどれだけの貢献が出来たかとか、成長できたかとかを振り返って報告するものです。
多くはボーナスの査定に使われたり、形式だけのものであったりもしますが、そういった事をやっていました。
いつも不思議に思っていたのが、「5段階の評価になっている」という事です。
5段階の基準は、
とても良い
少し良い
普通
少し悪い
とても悪い
こんな感じが多いと思います。
「普通」って、なんだよ?
という事です。
私の判断基準では、
「普通 = 現状維持 = 何も新しい事をしていない」
というものではないかと考えています。
一般的には、差し障りのない仕事っぷりでしょうか?
この5段階の評価であれば、「普通」にする人は多いと思います。
だいたい普通を選び、成果があれば「少し良い」、少し失敗したものがあれば「少し悪い」を選ぶような感じだと思います。
これで、自己評価と言えるんでしょうか?
私は、「現状維持 = 経時劣化」だと捉えています。
減価償却という言い方でも良いです。
時間が経てば、そのもの自体の価値が無くなるという感じですね。
筋肉でも、刺激を与えなければ可動域が小さくなるように、何も挑戦していないのであれば、変化が起きません。
その挑戦が成功しようとも、失敗しようとも、何かしらのアクションを起こさなければ、何もおこりません。
現状維持で良いという評価をする会社もありませんが、そういった企業が成長を続ける事は出来ないのではないかと感じます。
実際、企業が求められるのは「前年よりも成長する事」です。
上場企業であれば、なおさらです。
売り上げ・利益・経費削減・・・・、色々あると思いますが、より多くの社会貢献を行なう事です。
「シェアを大きくする事」と置き換えてもいいかもしれません。
コンビニもいい例ですが、「前年よりも数字を伸ばそう」と、クリスマスケーキ・おせち・恵方巻等の目標数値は、毎年のように上昇します。
「成長する事」が求められていますから。
それを達成できなかったがために、リベートが得られなくなって大きな損失になってしまう可能性もあります。
ですので、企業は、大きなリターンを得るためにも、目標を設定し、それを超え続けなければいけません。
そんな企業の中にいて、
「普通」
「現状維持」
「差し障りの無い仕事」
って、何でしょうか??
そして、この評価の基準は、
「前回の評価の時よりどうなったか?」
「この期間の中で、あなたの仕事っぷりはどうだったのか?」
を問うものだと思います。
比較・検討した結果、「普通」って、どういう意味だ?と思えて仕方がないのです。
私は過去に、その店舗の責任者になった事があります。
前任者から引き継ぎ、色々な試行錯誤を行ないました。
少し時間がかかりましたが、交渉と経費削減の結果、5%以上の利益を安定的に伸ばす事が出来るようになりました。
現場では、契約上大きな変化を生み出す事が出来ません。
契約に振り回されるので、むしろ仕入れ値の上昇等で運営が圧迫される可能性が大きいです。
周囲の店舗も同様でした。
そんな中で、5%以上の利益を安定的に伸ばす事が出来るようになったのです。
会社にとって、大きな利益です。
こんなことは、ほとんどの店舗では実現が出来ません。
もの凄い差別化です。
で、その時の自己評価で、その成果を大々的にアピールしつつ、その項目を「とても良い」にしました。
また、色々やったおかげで失敗もしましたので、少し悪いの所も多かったです。
ボーナスの査定をとても楽しみにしていましたが、ボーナスの額は、前回と全く同じ出した。
1円のズレもありませんでした。
この会社では、形骸化している自己評価なのだと、確信した瞬間でした。
明細を見た時、とても残念に思いました。
当然この企業でも、「前年比売り上げ増、利益増、経費削減(残業減らせ)」を毎月、当然のように言われました。
結果を出してもこんな評価基準なら、忖度もされないのであれば、社員のやる気を生み出せる訳が無いですね。