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血液系疾患に関する問題 過去問2017年度 第41問

血液系疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

 

(1)腎性貧血は、エリスロポエチンの増加で起こる。
(2)再生不良性貧血は、ビタミンB12欠乏で起こる。
(3)壊血病は、ビタミンA欠乏で起こる。
(4)血友病は、ビタミンK欠乏で起こる。
(5)播種性血管内凝固症候群(DIC)では、血小板減少がみられる。

 


皆さん、こんにちは。

 

今回は、血液系疾患に関する問題の解説をしていきます。

 

 

 

 

 


エリスロポエチン」は腎臓でつくられ、骨髄における赤血球の産生を促進するたんぱく質です。

 

(1)腎性貧血は、エリスロポエチンの増加で起こる。

 

の設問ですが、腎性貧血の原因は、腎臓の機能が低下する事によって引き起こされます。

 

腎臓機能低下により、エリスロポエチンの産生がうまくいかなくなり骨髄からの赤血球産生に影響を与えてしまいます。
それにより赤血球の絶対量も少なくなり、貧血を引き起こす(腎臓が起因となる貧血:腎性貧血)という流れです。

よって、この設問は、エリスロポエチンの「増加」ではなく、「減少」により起きるので、誤りとなります。

 


(2)再生不良性貧血は、ビタミンB12欠乏で起こる。
(3)壊血病は、ビタミンA欠乏で起こる。
(4)血友病は、ビタミンK欠乏で起こる。

 

これらの設問は、ビタミン欠乏によりどういった症状のリスクが高まるかという事を問う問題です。


再生不良性貧血
骨髄における造血幹細胞の減少が原因で起こる貧血。
赤血球だけでなく、白血球・血小板も減少し、原因不明なケースが多い。
治療としては、造血幹細胞移植・免疫抑制療法等がある。


壊血病
結合組織をつくるコラーゲンの合成に不可欠なビタミンCが欠乏する事で、成人では毛細血管壁が脆弱になり出血がいたるところで起きる。
(皮膚の紫斑の原因でもあるが、試験ではここまでは問われないようである。)


血友病
血液凝固因子のうちVIII因子、IX因子の欠損ないし活性低下による遺伝性血液凝固異常症をさします。
遺伝子の異常により、血液凝固因子の欠損や活性が低下し、出血症状をきたします。


ビタミンB12
働きとして、核酸の合成やアミノ酸・糖質の代謝に関与というのがあります。
欠乏すると、「巨赤芽球性貧血」(食欲不振・ハンター舌炎・口内炎・ヘモグロビン減少)のリスクが高まります。

「巨赤芽球性貧血」は、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって引き起こされます。
また、ビタミンB12が欠乏する事で、「悪性貧血」「胃摘出手術後の貧血」に繋がります。

「悪性貧血」は胃切徐により、ビタミンB12の吸収に必要なキャッスル内因子が欠乏する事で引き起こされます。
また、ビタミンB12は肝臓に一定量貯蔵されています。そのため、ビタミンB12欠乏による貧血が発現するのは、胃全摘手術後数年を経過した後になるのも特徴です。

 

ビタミンA
過剰症は頭蓋内圧亢進症、欠乏症としては眼球結膜乾燥症・夜盲症が試験には頻出(どちらかというと欠乏症が出やすい傾向)

 

ビタミンK
過剰症は特にみられていない。欠乏すると、血液凝固障害、新生児メレナ、骨形成障害(骨粗鬆症リスク増大)
また、ワルファリン投与時は禁忌となるため、納豆摂取が制限となるのは試験にも問われやすいです。

 

ワルファリン・・・抗凝血剤(血液が固まるのを防ぐため、ビタミンKの活動を抑える薬効)で、納豆(クロレラも、ビタミンKを大量に含んでいるため)を食べると、薬の効果が得られにくくなります。

 

他にも、ビタミンKは脂溶性ビタミンのため脂質の消化・代謝に胆汁が必要となりますが、必要慢性胆道閉鎖症・脂肪吸収不全症により上手く吸収する事ができず、欠乏が起こりやすいという事も試験では問われた事があります。

 


以上の事から、

 

(2)再生不良性貧血は、ビタミンB12欠乏で起こる。

ビタミンB12欠乏で巨赤芽球性貧血が起こる

 

(3)壊血病は、ビタミンA欠乏で起こる。

ビタミンC欠乏で壊血病が起こる

 

(4)血友病は、ビタミンK欠乏で起こる。

ビタミンK欠乏で新生児メレナ・血液凝固障害・骨形成障害が起こる

 

これらの選択肢は、誤りとなります。

 


(5)播種性血管内凝固症候群(DIC)では、血小板減少がみられる。

 

「播種」とは作物の種(たね)を播(ま)くことであり、播種性は散在性あるいは散布性とも表現されるように、ほかの組織や器官・臓器あるいは全身に広がるという意味です。
血管内の血液の凝固が全身に見られるため、このような名称がついています。
全身でより多くの血液凝固が活性化されるため、血液凝固に関与する血小板が大量に消費してしまうという症状です。

 

そのため、この選択肢が正答となります。

 

 


貧血に関する問題の出題頻度は多い傾向にあります。

例えば、2014年度 第47問では

 

貧血に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)悪性貧血は、悪性腫瘍に合併する貧血をさす。
(2)胃全摘直後に、巨赤芽球性貧血を発症する。
(3)鉄欠乏性貧血では、ヘモグロビンの合成が亢進する。
(4)鉄欠乏性貧血では、血清フェリチン値が上昇する。
(5)腎性貧血は、エリスロポエチンの産生低下による。

 

 

 

という類題が出題されています。

しっかりと貧血の種類・要因を把握して、正解を選べるようにしていきましょう。

 

 

 

 

正解は(5)です。

 


今回は、ここまで。

 

 

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