費用に関する分析 過去問2016年度 第112問
皆さん、こんにちは。
今回は、栄養教育プログラムにおける経済評価の理解を問う問題について、お話しします。
メタボリックシンドローム改善を目的とした栄養教育の経済評価に関する記述である。
( )に入る正しいものの組合わせはどれか。1つ選べ。
栄養教育の総費用は、240,000円、学習者は60人であった。
学習者のうち、教育の結果目標である、「体重を5%以上減少」を達成できた者は、50%であった。
結果目標達成者1人当たりを効果の単位とした場合の( a )は、( b )円であったと計算できる。
(1)費用効果 8,000
(2)費用効果 4,000
(3)費用便益 120,000
(4)費用効用 8,000
(5)費用効用 4,000
この問題は、効果・効用・便益の概念を知っているか?と、計算の仕方を知っているか?を問う問題です。
まず最初に、(費用)効果・効用・便益についてです。
・効果(総費用/総効果)
ある一定の効果を1単位として、そのために必要な費用を算出し、評価をする事。
・効用(効果+主観的評価)
費用効果を主観的な面もふまえて評価したもの。代表的な指標にQALYがある。
( Quality-adjusted life year,質調整生存年)
恐らくQALCの中身まで問われるような問題はでないと考えます。
イメージとして、ある計画を実践して、好ましい印象・結果を与えていると高く評価され、逆だと低く評価されるというものと判断していいでしょう。
QOL(クオリティオブライフ)と同じ(?)イメージでもいいと思います。(もちろん厳密には異なりますが)
・便益(総便益-総費用)
計画を実施したことで得られた効果を、金額に換算して、計画実施にかかった費用と比較・評価する事。
と分類されます。
少しわかりにくいかもしれないので、類題を例にして解説します。
2012年度 第119問目の問題です。
(1)費用効果分析では、教育効果を金額に換算して評価を行う。
(2)費用効果分析では、異なるプログラムを比較分析できる。
(3)費用便益分析では、教育効果を生活の質に置き換えて評価を行う。
(4)費用効用分析では、教育効果を医療費の削減額から評価する。
(5)費用効用分析では、一定量の効果を得るために要した費用を算出する。
この中から正解を1つ選ぶ問題です。
費用効果分析は、単位当たりの効果を得るために必要な費用を比較する方法です。
費用便益分析は、要した費用とその結果を基に金額で評価し分析する方法です。
正解は(2)なのですが、この問題を全て正しく表現すると、こうなります。
(1)費用便益分析では、教育効果を金額に換算して評価を行う。(総便益-総費用)
(2)費用効果分析では、異なるプログラムを比較分析できる。 (総費用/総効果)
(3)費用効用分析では、教育効果を生活の質に置き換えて評価を行う。(効果+主観的評価)
(4)費用便益分析では、教育効果を医療費の削減額から評価する。(総便益-総費用)
(5)費用効果分析では、一定量の効果を得るために要した費用を算出する。(総費用/総効果)
乱暴なまとめ方になるかもしれませんが、
効果・・・効果に対する費用、比較
効用・・・生活の質
便益・・・金額換算・金額の評価
こういったキーワードをあてはめて問題を解くのも良いと思いますし、これは、私も用いた方法です。
最初の問題の方に戻ります。
「単位当たりの効果」「達成割合50%(未達成者50%)」というキーワードがあるので、これが費用効果を求めるものになります。
費用効果の公式は、総費用÷総効果です。
総費用である240,000円
それに対し、目標を達成した(効果を得られた)のは、60人のうちの50%なので、30人
240,000円 ÷ 30人 = 8,000円
となります。
よって正答は、(1) となります。
最後に、効果・効用・便益の2文字目である、果・用・益と計算式として対応する÷(割る)・+(足す)・-(引く)を組み合わせて、語呂合わせをします。
用足す果割り益引く
(用たす代わりに益ひくい)
・ストーリー
仕事中、トイレに行きたくなってしまったんですね。
その分仕事が出来ない訳ですから、時給を差っ引かれる訳なんですね。
そうなると、給料、すなわち利益が低くなるという事です。
という訳で、トイレに用をたしに行く、そのかわりに、利益は低くなる。
つまり、「用足す代わりに益低い」
となるわけですね。
何が「となるわけですね」かは分かりませんが、こんな感じの語呂合わせで私は覚えていました。
今回は、ここまで。