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クッシング症候群 過去問2016年度 第35問

皆さん、こんにちは。

 

今回は、上記の問題で出題されたクッシング症候群に関する話をしていきます。
問題は下記の通りです。

 


内分泌疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)クッシング症候群では、テタニーを起こす。
(2)原発性アルドステロン症では、高カリウム血症を起こす。
(3)褐色細胞腫では、高血圧を起こす。
(4)甲状腺機能低下症では、眼球突出を起こす。
(5)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症を起こす。

 

 

 

 

 

 

 

ここでは、(1)に該当する内容についての解説・補足となります。

 

クッシング症候群とは、コルチゾール過剰症の事です。

 

原因として、副腎の線種・癌・過形成、または副腎皮質刺激ホルモン(ACTH:adrenocorticotropic hormone)産生、下垂体腺腫等があります。

 

症状としては、コルチゾール異常やアンドロゲン過剰などに基づいて出現する。

 

コルチゾール過剰症状

・満月様顔貌(がんぼう)、中心性肥満

体脂肪分布が異常になり、顔面や体幹に脂肪が集中的に沈着する一方、四肢はやせ細る。
中心とは、お腹周りの事であり、欧米型肥満の特徴である洋ナシ型に近い状態。


骨粗鬆症、尿路結石

骨形成の抑制、ビタミンDの作用抑制による腸管からのカルシウム吸収低下し、尿中カルシウム排泄増加するため。


・糖尿病

糖新生亢進、インスリン抵抗性増大による耐糖能低下。
糖新生が促進されるため、血糖値は上昇するが、脂肪沈着によりインスリンの抵抗性も増大するため、高血糖が持続する。


・浮腫、高血圧

コルチゾールのアルドステロン様作用により、ナトリウム・水が貯留するため。
浮腫は下腿に多く、女性にみられやすいのが特徴。

 

・水牛様肩

体脂肪分布異常なのは満月様顔貌・中心性肥満と同じだが、肩甲骨付近にも死亡が沈着し、首の後方が盛り上がったような状態になる。

 


アンドロゲン過剰症状

・多毛、にきび

アンドロゲン分泌過剰による男性化徴候。

※アンドロゲン
男性ホルモン作用を有するステロイドホルモンの総称。
代表例
テストステロン : 精巣
アンドロステジオン : 副腎皮質

 


ここで、問題に戻ります。

 

(1)クッシング症候群では、テタニーを起こす。

 

とありますが、テタニーとはどんなものでしょうか?

 

テタニー

手足・口唇のしびれや顔面の筋肉けいれんを引き起こします。
代表的な原因として、
①低カルシウム血症・低マグネシウム血症
②アルカローシス

副甲状腺機能低下によりみられる症状です。

 

という事で、

クッシング症候群 = コルチゾール過剰症
テタニー     = 副甲状腺機能低下

が原因で発症するため、この選択肢は間違いとなります。


クッシング症候群やテタニー、発症原因とそれらがどういった状態をもたらすのか?は、頻出なので、しっかりと学習していきましょう。

 

 

今回は、ここまで。


おそらく次回で、この問題の解説を完結できると思います。