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リフィーディング症候群について 2016年度 第119問

皆さん、こんにちは。

 

今回は、リフィーディング症候群についての問題解説です。

 

長期絶食患者への栄養補給開始後のモニタリングに関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)リフィーディング症候群の評価には、血清リン値を用いる。
(2)エネルギー投与量の評価には、体重の変化を用いる。
(3)たんぱく質投与量の評価には、窒素出納を用いる。
(4)糖質投与量の評価には、血清クレアチニン値を用いる。
(5)水分投与量の評価には、水分出納を用いる。

 

 

 

 


リフィーディング症候群に関する問題は、試験最後の方で出題される応用問題にもちょくちょく出てくるので、理解を深めた方が良い内容です。

リフィーディング症候群とは、簡単に言うと、栄養不良で短期間に体重が一気に落ちた人に起こりやすい状態で、糖質を中心とした栄養を多量に与えると、血中の電解質バランスが崩れ、場合によっては死に繋がる可能性もあるので、対応を慎重にしないといけないというものです。

 

trdschoolmm99.hatenablog.com


私のもう一個のブログでも書きましたので、一度目を通して頂けると幸いです。


で、このリフィーディング症候群でカギになるのは、

 

数週間でエネルギー摂取量が減ってしまったり、体重が急激に減少しているかどうか
リン・カリウムマグネシウムといったミネラルバランスはどうなっているか

に注目すれば良いかと思われます。

 

栄養状態が悪い時に多くの糖質を摂取してしまうと、インスリンが分泌され、グリコーゲンやタンパク質の合成を促していきます。
その合成に必要なものが、リン・カリウムマグネシウムで、血液中から細胞へと栄養素が移動し、血中の電解質バランスが崩れてしまいます。

そのため、

 

低リン血症

 

血清リンが2.5mg/d未満
筋肉の麻痺が一番一般的な症状である。複視、構音障害、嚥下障害も見られる。 心筋の収縮力が低下し、血圧低下、心拍出量低下が起こる。 心室不整脈を起こしやすい。呼吸不全が出る。ただし頻呼吸になることもある。 神経を障害し、麻痺、錯乱、けいれんが起こる。昏睡になることもある。 赤血球が毛細管を通過する時に形を自由に変えにくくなるため、赤血球がこわれ、溶血性貧血になる。 黄紋筋融解症という筋肉の破壊も起こる。

 

カリウム血症

 

血清カリウムが3・5mEql以下
軽症であれば脱力感や筋力低下など骨格筋の症状、悪心(おしん)、嘔吐、便秘など消化管の症状、そして多尿、多飲など腎臓の症状が主体ですが、重症の場合は四肢麻痺(ししまひ)、呼吸筋麻痺、不整脈、腸閉塞(ちょうへいそく)などに至る。

 

マグネシウム血症

 

血清マグネシウム濃度が1.4mEq/未満
食欲不振,悪心,嘔吐,嗜眠,筋力低下,人格変化,テタニー(例,Trousseau徴候またはChvostek徴候が陽性,または自発性の手足の攣縮,反射亢進),振戦,筋肉の線維束性収縮がある。


のリスクが高まる

という流れです。

リフィーディング症候群の症状が出ている = 低栄養状態 + 急激な栄養補給はリスクが生じる

という事がイメージできれば、この関連の問題は、正解が導きやすくなると思います。

 


では、過去問の解説です。

 

(1)リフィーディング症候群では、血清リン値は評価しないといけない数値なので、正しい記述です。

(2)体重の増減に応じて、投与エネルギー量も変化していきます。

(3)用います。摂取量が多ければ正となり、少なければ負となります。リフィーディング症候群に該当する際は、ほぼ負の状態です。

(5)用います。水の摂取には飲料水・食物中の水分・代謝水等があり、排出には皮膚・呼気からの不感蒸泄、可避尿・不可避尿、糞便等があります。

(4)糖質の投与量は、総エネルギー投与量から、たんぱく質・脂質のエネルギー投与量を引いた値から換算するので、これが誤り。血清クレアチニン値は、腎機能の指標などに用いられます。
クレアチニンは筋肉で産生され、腎臓から排出されるためです。腎機能が低下すると、クレアチニンの排泄が出来にくくなるので、血清クレアチニン値は上昇する事になります。

 

よって、誤っているのは(4)となります。

 

 

今回は、ここまで。

 

皆さんからの、「この過去問の解説をしてほしい」というリクエストをお待ちしております。
その際は、コメント欄に記入をお願いします。